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KADOKAWA Research Memo(8):Webサービス事業は事業構造改革により3期ぶりの黒字転換を目指す

7月5日(金)15時38分配信 フィスコ

■KADOKAWA<9468>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) 出版事業
出版事業の売上高は前期比2.0%増の118,300百万円、営業利益は同15.9%減の6,100百万円となる見通し。書籍事業においては、新人作家の育成や小説投稿サイト「カクヨム」を通じたネット投稿原作の創作支援により良質な原作の発掘強化に取り組むと同時に、デジタル技術を活用したきめ細かいマーケティング活動により、生産部数の最適化と返品率の低減に努めることで、収益の最大化を目指していく。年間5,000点規模の新刊発行を維持し、電子書籍・電子雑誌が引き続き成長することが見込めることから、増収基調が続く見通しだが、所沢プロジェクトに向けた投資を積極的に行うこと等により投資負担増が見込まれるため減益予想となっている。

雑誌事業はWebメディアを取り込んだビジネスモデルの転換が進んでおり、Web広告の収入が拡大するほかコスト抑制を進める方針だ。

電子書籍・電子雑誌事業に関しては、外部販売や海外向け配信の強化に取り組むほか、自社配信プラットフォームの「BOOK☆WALKER」で様々なキャンペーン施策に取り組むなど、独自の付加価値戦略を推進していくことで販売を伸ばしていくことで、増収増益となる見通しだ。

(2) 映像・ゲーム事業
映像・ゲーム事業の売上高は前期比12.6%増の54,400百万円、営業利益は同35.2%増の5,300百万円となる見通し。前期に計上したドワンゴのゲーム事業の赤字約11億円がなくなるほか、映像事業、ゲーム事業ともに今期は増収増益を見込んでいる。

映像事業では、映画やアニメを中心に引き続き原作保有の強みを生かしたメディアミックス戦略を推進し、海外市場向けのアニメ配信収入やライセンス販売収入の拡大なども見込んでいる。

ゲーム事業についてはフロム・ソフトウェアの「SEKIRO」を筆頭に、グループ子会社が開発した「DARK SOULS」等のシリーズタイトルで順調な拡大が見込まれる。「SEKIRO」については3月22日発売から10日間で200万本の販売を達成したが、これは世界的大ヒットを記録した「DARK SOULS III」が発売後約1ヶ月で300万本を販売したのと同様のハイペースとなっている。マルチプレイ機能やRPG要素を排除して、高精細で立体的な迫力あるキャラクターの動きと同時に難易度の高いアクションゲームとなっていることが、ゲーマーの高い評価につながっているようだ。業績計画では保守的に織り込んでいるため、上振れする可能性が高いと弊社では見ている。

(3) Webサービス事業
Webサービス事業の売上高は前期比8.7%減の23,600百万円と減収で見込んでいるものの、営業利益は300百万円(前期は2,576百万円の損失)と3期ぶりの黒字転換を目指す。

ポータル事業では、「niconico」における選択と集中による収益構造の改善と、ニコニコチャンネルにおけるコンテンツの拡充によるチャンネル有料会員数の増加に取り組んでいく。また、VR事業領域における収益確保にも取り組んでいく方針だ。なお、ニコニコ動画の有料会員数については減少傾向に歯止めをかけることを目標にしている。現状は、既存会員の退会ペースが落ち着いてきたものの、新規会員の獲得数が減っていることが課題となっている。このため収益回復施策として、現在売上高の8割弱を占める月額課金収入依存型のビジネスモデルから、都度課金収入や広告収入などを伸ばし収益ポートフォリオを多様化していくことを検討している。

ライブ事業については減収を見込んでいるものの、各イベントの収益構造の見直しを進めることで利益面では改善を見込んでいる。また、モバイル事業については減収減益が続くが、コストコントロールにより利益率は維持していく。

なお、ドワンゴについては2019年3月期第3四半期決算発表日である2019年2月13日に、夏野氏が代表取締役社長に就任して、経営体制を刷新し、「事業の撤退」「組織改編」「アライアンスの推進」等の構造改革を進めてきた。「事業の撤退」では、将来性が見込めない、または収益化に時間がかかると判断したサービスについて撤退を決定している。ゲーム事業では「テクテクテクテク」や「ARTILIFE」のサービスを2019年6月に終了するほか、SNSサービスの「friend.nico」(Mastodonインスタンス)を同年4月に終了している。また、ドワンゴ人工知能研究所(AIの研究)やドワンゴCGリサーチ(CGの研究)についても、2019年3月末に閉鎖している。

「組織改編」では、2019年4月1日付で組織をサービス単位の事業本部制に改変し、収支管理を明確化すると同時に、管理職を3分の1に減らして組織をスリム化した。「アライアンスの推進」に関しては、「niconico」のパートナーづくりを積極的に展開し、国内動画系サイトのハブになることを目指している。直近では、AbemaTVとパートナーシップを締結し、2019年4月よりAbemaTVで配信されているドラマやバラエティなどのオリジナルコンテンツを中心に、ニコニコ生放送で配信開始したほか、ニコニコチャンネルに「AbemaTVチャンネル」を開設した。生放送ではコメントを書き込みながら視聴できるほか、チャンネルでは番組のアーカイブ映像を視聴可能となる。今後も同様のアライアンスを広げていくことで、「niconico」の媒体価値を向上していく戦略だ。

今後の事業計画としては、2020年3月期にWebサービス事業の黒字化、2021年3月期に教育事業を始めとしたニコニコ周辺ビジネスを拡大し、2022年3月期に持続的な成長を可能にする経営基盤を構築し、VR事業や教育事業も含めてドワンゴ単体での黒字化達成を目標としている。

(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比26.9%増の28,100百万円、営業損失は2,100百万円(前期は2,613百万円の損失)を見込んでいる。増収率が高く見えるが、これは社内取引の増加が主因となっている。利益面では、2020年度の「ところざわサクラタウン」のオープンに向けてインバウンド事業の準備等に引き続き取り組むため、損失が続く見通しだ。収益事業の1つとして順調に成長している教育事業については、双方向プログラムのコンテンツ開発や、クリエイティブ分野の人材育成スクールなどの拡大を進めていく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《ST》
株式会社フィスコ

最終更新:7月5日(金)16時07分

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