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イトーヨーカ堂改革案が判明!「首都圏集中・地方店分社化」を検討

6月27日(木)19時00分配信 ダイヤモンド・オンライン

 流通最大手のセブン&アイ・ホールディングスが、傘下の総合スーパー「イトーヨーカ堂」の構造改革について、首都圏の店舗に経営資源を集中させ、地方店は分社化する方向で検討していることが、ダイヤモンド編集部の取材で明らかになった。(ダイヤモンド編集部 田島靖久、重石岳史)

● イトーヨーカ堂改革の 具体的な方向性が固まる

 セブン&アイ・ホールディングスは、2019年2月期決算まで8年連続で最高益を更新中と絶好調。しかし、傘下のコンビニエンスストア、セブン-イレブンに支えられているのが現状で、他事業の業績はいかにも厳しい。

 中でも、イトーヨーカ堂は5年連続の最終赤字と業績不振が深刻で、早急な構造改革が求められていた。

 そのためセブン&アイの井阪社長は、イトーヨーカ堂に対し抜本的な構造改革案の作成を指示。4月から本格的な作業を進めてきたが、このほどその具体的な方向性が固まった。

● 首都圏に経営資源を集中させ 収益性の低い地方店を分社化

 関係者の話を総合すると、このほど固まった改革案は、北海道から兵庫県にかけて163店ある店舗のうち、もうかっていて効率のいい1都3県を中心とした「首都圏」の店舗に経営資源を集中させ、それ以外の地方店については「分社化」する計画だ。

 その上で、分社化した地域会社について、各地域の有力スーパーなどに第三者割当増資を引き受けてもらって資本提携したり、業務提携したりして、セブン&アイ本体から切り離そうというものだ。

 背景にあるのは、首都圏の店舗と地方店舗との“収益格差”にある。

 「イトーヨーカ堂はもともと東京都足立区の北千住が発祥の地で、1都3県を中心にした首都圏に強い。一方で、拡大路線を勧めた際に進出した地方店が弱点となっている」(セブン&アイ幹部)

 確かに、事情に詳しい関係者の話を総合すると、「首都圏」と「その他の地方店」との売上高は、首都圏の方が2.5倍程度大きい。“稼ぐ力”である売上高キャッシュフロー比率も4~5倍程度の差が出ている。

 こうした結果、ROA(総資産利益率)は3倍以上の開きが出ているというのだ。

 経費面でも、地方店の苦況は明白だ。

 売上高が小さいことに加えて、店舗運営に関わる経費が首都圏よりも大きいために収益を圧迫、営業赤字に陥っている。

 これは、地域を絞って集中的に出店する「ドミナント戦略」によるところが大きい。

 「首都圏はドミナント戦略に基づいて集中的に店舗展開しているので、極めて効率的に大きな利益が出せている。しかし地方店は、そもそもドミナント戦略が取れていないことに加え、徐々に店舗を閉鎖している影響もあって経費が重くなってしまい、利益が出せない構造になっている」(イトーヨーカ堂関係者)というわけだ。

 こうした現状を踏まえて、今回まとめられたのが首都圏以外の地方店舗の分社化だ。もうかっていて、効率のいい首都圏の店舗に経営資源を集中させることで、収益力の高い、“筋肉質”な総合スーパーにしようというわけだ。

 付け加えるなら、分社化することで、給与をその地域の水準に合わせようという思惑も垣間見える。

 こうした構造改革によって売り上げは減少するものの、少なくとも「数十億円規模の増益効果がある」と見込んでおり、営業利益率は格段に向上すると予想されている。

● 過去の改革は失敗 まとまるまでに迷走も

 イトーヨーカ堂をめぐっては、長きにわたって業績不振が続いており、これまでも改革案は打ち出されてきた。

 老朽化や地域住民の変化に対応できなくなった店舗について、イトーヨーカ堂を核テナントに専門店が入居するショッピングセンター「アリオ」に転換したり、食品専門店にスクラップ・アンド・ビルドしたりといった「店舗構造改革」を推進、同時に店舗閉鎖も進めてきた。

 しかし、その結果は悲惨なもの。19年度に150億円の営業利益を目標にしていたが、半分にも満たない65億円、営業利益率にしても1.3%の目標に対しわずか0.6%の見通しとなっており、「誰の目にも失敗だった」(セブン&アイ関係者)。

 そうした状況を受けて、機関投資家や株主などから、イトーヨーカ堂の早急かつ抜本的な改革が求められていた。そこで、前述のような構造改革案が検討されていたわけだ。

 セブン&アイは、こうした方針に基づいた構造改革の具体策について、8月にも発表予定のグループ戦略、そして10月にも発表予定の中期経営計画に盛り込む方針で、現在、詰めの作業に入っている。

 ただ、今回の案が固まるまでの過程でも、イトーヨーカ堂に対して大なたを振るうことに抵抗する勢力が別の案を策定するなど迷走した経緯があり、しばらく予断を許さない状況が続きそう。井阪体制の“本気度”が問われているといえそうだ。
ダイヤモンド編集部

最終更新:6月27日(木)19時00分

ダイヤモンド・オンライン

 

情報提供元(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

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