ここから本文です

ふぉーかす 7月1日のリスクシナリオ

6月26日(水)9時30分配信 トレーダーズ・ウェブ

 7月1日のリスクシナリオについて検証しておきたい。まず、香港「七一デモ」での「普通選挙」要求の可能性と中国政府による制圧を巡る地政学リスクが挙げられる。人口750万人規模の香港の大学生と市民は、200万人規模の大規模デモによって、香港政府による「逃亡犯条例」改正案の撤回を勝ち取った。7月1日の香港返還記念日に毎年行われている大規模デモ(七一デモ)では、2014年の「雨傘運動」で失敗した「普通選挙」の要求が予想されている。

 2019年1月に習中国国家主席は、「一国両制度」による台湾統一の考えを示し、「武力行使を排除しない」と述べており、「一国二制度」の香港での大規模デモに対して武力による鎮圧に乗り出す可能性、すなわち、極東の地政学リスク回避の円買いの可能性に要警戒となる。

 次に、米中貿易戦争の激化の可能性が挙げられる。6月28-29日の大阪サミットでの米中首脳会談で、通商協議が合意に向かうことなく決裂した場合、トランプ大統領は、対中制裁関税第4弾(約3250億ドル・25%)を発動すると警告している。米中首脳会談で香港に関する人権問題を提示するとも報じられており、習国家主席は、米国との通商問題と香港での大規模デモへの内政干渉に直面することになる。

 中国側の報復措置は、米国が80%程度依存しているレアアース(希土類)の対米輸出規制、世界最大の保有国(約1兆1200億ドル)としての米国債の売却、などが警戒され、米中貿易戦争が激化することになる。中国は、米国債売却の具体的なやり方を検証している、と報じられており、米国と対立が激化しているロシアとトルコは米国債を売却した。

 中国共産党機関紙の人民日報は、中国には貿易戦争に持ちこたえる力と忍耐があり、トランプ政権が貿易戦争を続けようとするならば、最後まで闘う用意がある、と警告している。

 リスクシナリオとしては、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、米中貿易戦争の激化を受けて、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに緊急会合を開催し、予防的な緊急利下げ・量的金融緩和第4弾を発動して、中国が売却する米国債の購入を請け負うという「パウエル・プット」が挙げられる。

 6月18-19日のFOMCでは、フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標は2.25-50%に据え置かれたものの、「政策変更には忍耐強く(patient)臨む」との文言が削除され、「景気拡大を維持するために適切(appropriate)に行動する」に改められたことで、7月FOMCでの利下げの可能性が示唆された。

 パウエルFRB議長は、記者会見で0.50%の利下げの可能性を質問され、「ずっと様子を見続けることの意味は薄れてきている。予防は治療に勝る(an ounce of prevention is worth a pound of cure)」と述べ、金融危機が起きた後での利下げ(FRBビュー)ではなく、予防的利下げ(BISビュー)の可能性を示唆した。

 さらに、消費増税先送りの可能性が挙げられる。自民党の萩生田幹事長代行は4月18日、「(10月の消費税増税は7月1日に発表される)6月の日銀短観が示す景況感次第で延期もあり得る」と警告していた。6月日銀短観は、米中貿易戦争による中国経済への警戒感、中東の地政学リスクによる原油価格高騰への景況感などから、悪化が予想されている。

 安倍政権の下での消費増税(8.0%⇒10.0%)は、これまで2回延期されており、10月1日の消費増税も、延期される可能性が警戒されている。2回の延期は、月例経済報告で景気判断が下方修正され、黒田バズーカ砲が発射され、国政選挙の約1カ月前に表明されている。

 2016年は、伊勢志摩サミット(5月26-27日)で、安倍首相が「世界経済がリーマン・ショック級の危機に陥るリスクに直面」と表明した後、7月10日の参議院選挙前の6月1日に延期が表明された。 今年は、大阪サミット(6月28-29日)と7月21日予定の参議院選挙前の7月1日に延期が表明される可能性に要警戒となる。

 (為替情報部・山下政比呂)

最終更新:6月26日(水)9時30分

トレーダーズ・ウェブ

 

情報提供元(外部サイト)

トレーダーズ・ウェブ

トレーダーズ・ウェブ

DZHフィナンシャルリサーチ

人気の「レーティング情報」など豊富な銘柄情報を毎日配信。会員向け推奨銘柄の結果も公開中!

只今トレーダーズ・ウェブでは、特設ページで株式アナリストによる「信用取引3つのアイデア」の対談を掲載しています。 信用取引は「怖い」、「危ない」とイメージを抱いている投資家の方必見です。

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

ヘッドライン