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キウイのゼスプリ「アゲリシャスCM」人気のワケ

6月20日(木)6時20分配信 東洋経済オンライン

キウイのゼスプリ「アゲリシャスCM」人気のワケ
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キウイのゼスプリ「アゲリシャスCM」人気のワケ
あなたのお気に入りのCMは、何位にランクインしているだろうか? 
CM総合研究所が毎月2回実施しているCM好感度調査は、東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象として、関東在住の男女モニターが、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに思い出して回答するものだ。
最新の2019年6月前期(2019年5月20日~2019年6月4日)調査結果から、作品別CM好感度ランキングTOP30を発表。その中から、CM総研が注目するCMをピックアップして、ヒットの理由に迫る。
 期間中にオンエアされた全3171作品のうち、最も高いCM好感度を獲得したのはKDDI『au』で、「三太郎」シリーズの新たな展開を予感させるCMだ。“ヤバイ鬼”により傷だらけになった鬼ちゃん(菅田将暉)のために三太郎が出陣しようとすると、どこからか「いいね、鬼退治!」と女性の声が。辺りを見回す三太郎の隣で、3人の姫が灯籠の上にたたずむ小さな女性を見つけて「ママ!」と声を上げるというストーリーだ。

 5位には続編となる新作もランクイン。声の主である親指姫(池田エライザ)が姿を現し、姫たちの親だと名乗る。さらには鬼の居場所を知っていると告げ、一緒に連れていくようアピールする。ラストカットでは「いいねぇ」と親指を立てる親指姫のアップにあわせて「おもしろいほうの未来へ。」という新ブランドスローガンも掲げられている。
 同社は5月にKDDIおよびauのブランドスローガンの一新を発表しており、KDDIは「Tomorrow,Together」、auは「おもしろいほうの未来へ。」とそれぞれ改めた。新しい物語の始まりに乗せて、新プランの登場だけでなく“一緒に未来へ進む”というブランドの姿勢も表明した。

■上位には人気CMシリーズの新作が並んだ

 2位は日清食品『カップヌードル SiO』。2017年に『魔女の宅急便』や『アルプスの少女ハイジ』といった国民的人気作品を題材に、パラレルワールドとして現代の高校生となった登場人物の青春物語を描き大きな話題となった「HUNGRY DAYS」の新作だ。
 今期は大人気漫画の『ONE PIECE』とコラボレーション。「もしも、ONE PIECEの登場人物が現代で高校生活を送っていたら」というコンセプトで、第1弾にはゾロが登場した。モニターからは「ワンピース好きには最高。いろいろなキャラクター版を観たい」「キャラクターの誰がどこにいるのか探すのが楽しい。早くルフィの顔が見たい」と続編を待ち望むコメントが多く寄せられ、早くも期待感が高まっている。

 3位は『スポティファイ』のCMだ。飛行機の中で隣の席の女性に誤ってシートを倒され、その勢いでジュースを頭からかぶってしまった男性。慌てて謝る女性を気にも留めず、ヘッドフォンを装着し音楽に没頭するというストーリーで、「音楽さえあればいい。」というコピーで締めくくった。ハプニングにも動じず穏やかにほほ笑む男性を描いたシュールなCMで音楽のパワーを印象づけ、男女幅広い世代から支持を集めた。
■キウイ・ブラザーズが幅広い世代から人気に! 

 注目は4・8位にランクインしたゼスプリインターナショナルジャパンの『キウイフルーツ』だ。2016年からCMに登場しているオリジナルキャラクター“キウイ・ブラザーズ”が『恋のマイアヒ』の替え歌に乗せて「アゲリシャスダンス」を踊るものだ。

 日本でも大ヒットしたポップなダンスミュージックと“気分をアゲる デリシャスなキウイ”→“アゲアゲ!  デリシャス!”→“アゲリシャス!”というキーワードで、「食べると元気になる」という商品イメージを感覚的に表現した。
 モニターからも「楽しいCM。テンションが上がる」「楽しい気分になりついつい口ずさんでいる自分がいる」と好評で、「このキウイのキャラクターがスーパーにも置いてあるのでつい買いたくなる」「キウイ買ってみようかな」と購入意向を示す感想も散見された。

 キウイ・ブラザーズが初登場した2016年のCMでは「♪キウイはビタミンだけじゃない」と歌い、食物繊維や葉酸など多くの栄養素が含まれていることを訴求した。

 翌2017年は「ゼスプリのシールは甘さと栄養たっぷりの印」と、ゼスプリブランドの価値を伝え、2018年には「酸っぱくないから食べてみて!」と、酸味が苦手でキウイを敬遠している人々へストレートにアピール。どの年も訴求ポイントは非常に明確だ。
 いずれも商品特徴を紹介するというオーソドックスな宣伝内容ではあるものの、かわいらしいキャラクターがわかりやすく伝えたクリエイティブが強い印象を残し、幅広い世代から安定して支持を集めてきた。

 2015年以前には、藤原紀香や石原さとみ、剛力彩芽といった、そうそうたる顔ぶれのタレントがCMキャラクターを務めてきた。彼女たちがキウイを食べて元気になったり、栄養バランスのよさを伝えたりする内容で、主に成人女性から高評価を得ていたが、キウイ・ブラザーズが登場してからは子どもも含め支持層の拡大に成功している。
 とくに今期は味や栄養素といった機能性ではなく、“気分をアゲる”という情緒的な価値を訴求し、ブランドとして自己最高のCM好感度を獲得した。

■未完成のミュージック・ビデオは参加型

 4位に入ったCMは、ほかの果物のキャラクターを「一緒にやろうよ」「バイト代払うよ」とアゲリシャスダンスに誘うもので、検索窓の「アゲリシャス バイト」というワードでホームページへの誘引を図っている。

 ホームページにはキウイ・ブラザーズ自作の未完成ミュージックビデオが公開されており、「みんなで完成させたビデオでめざせ、音楽番組出演!」と消費者参加型のキャンペーンを展開している。
 ほかにも“食べるバイト”=キウイを食べて動画を撮影する、“拡散するバイト”=ゼスプリ公式アカウントの投稿をリツイートするといった仕事が紹介されており、“バイト代”として抽選でキウイ1カ月分がプレゼントされるというもの。

 キャンペーンを話題化させるために自然発生させたい消費者の行動を、企業が先手を打ち「バイト」として具体的に示している点は、非常にユニークだ。

 「音楽番組出演」という目標の共有によってブランドと消費者の距離をぐっと近づけたのではないだろうか。
 こうしたSNSを使ったキャンペーンへ積極的に参加するのは、主婦層というよりも中学生や高校生と思われる。だがこのキャンペーンは中高生に対するキウイの購買行動促進といった、売り上げに直結する近視眼的な発想によるものではなく、ブランドのプレゼンスを上げ“楽しい遊び友達”のような感覚で、ブランドに愛着を感じてくれるファンを増やすという意味合いが大きいはずだ。

 商品特性に明確な差異のない市場において、また、これから本格化する人口減少に向けて、“選ばれるブランド”を目指すという姿勢はますます重要になる。ブランドと消費者は、ただ「売る」「買う」というビジネスライクな関係性ではなく“好き”“応援したい”という気持ちでつながる絆を作ることが求められているのではないだろうか。
関根 心太郎 :CM総合研究所 代表

最終更新:6月20日(木)6時20分

東洋経済オンライン

 

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