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不動産仲介業者の思惑を知り、一歩先行く大家に《楽待新聞》

6月20日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
不動産投資家が物件の売買を行う際に必要不可欠なのが、「不動産仲介業者」の存在だ。不動産の売買契約手続きだけでなく、投資物件の情報を紹介してくれることもあるが、彼らはどのような思惑で物件を紹介しているのだろうか。

今回は元不動産仲介業者の筆者が、主に初心者の方に向けて仲介業者の基本的な業務について解説。仲介業者が普段どのような意識で動いているかを紹介する。

■仲介業者がやっていること

不動産仲介業者のメインとなる収入は「仲介手数料」だ。この仲介手数料を稼ぐために、日々優良物件を探しては顧客に紹介している。「仲介業」とは、売主が所有している売却希望の不動産を買主へ紹介し、公正かつ安全に売買契約が行えるように努める業務のことを指す。

よく売主の所有物を買主へ移しているだけのように思われ、他の業界人などからは「他人のふんどしで相撲をとっている」と揶揄されることもある仕事だ。筆者も実際に言われたことが何度もある。

しかし、不動産の売買は数千万円、数億円など高額な取引になる場合が多く、専門的な知識と経験を有した仲介業者がいなければ適正な不動産取引が行われなくなってしまう危険性もある。仲介業者の活動は宅建業法によって規制されており、国内の安定した不動産流通を維持するためには欠かせない存在といえる。

仲介業者のメインとなる業務は以下の通り。

1. 新規物件情報の確認
2. 顧客に対する追客(電話や物件資料の配布)
3. 買主へ資金計画・金融機関融資の提案や物件の現地案内
4. 法務局・役所・現地での物件調査
5. 売買契約書・重要事項説明書等の作成
6. 売却物件の査定
7. 他の不動産会社との情報共有など

不動産流通機構が運営するREINS(レインズ)や楽待などの不動産情報サイト、新聞広告といった媒体で、新規に売りに出された物件がないかチェック。物件情報と顧客情報を照らし合わせながら、「この物件に合った顧客がいるか」もしくは「この顧客に最適な物件はあるか」などを考えて営業計画を立てる。この「物件に合った顧客」「顧客に合った物件」のどちらを優先して活動するのかは、営業マンの人柄や状況によって異なる。

顧客は個人の投資家から法人までさまざま。買主が希望しているエリアの物件があれば、直接電話をかけて情報共有をしたり、ヒアリングをして顧客の状況や希望などを聞き出したりする。買付が入れば実際に物件調査の業務に移行、契約に必要な書類を用意し、次の契約を取るために別の顧客へのアプローチなどを平行して行う。

「所有している不動産を売りたい」という依頼があれば、売却物件の査定をして売主と媒介契約を結び、すぐに買主を探す業務に移る。

■不動産仲介業者のタイプ

不動産仲介業者は大きく元付け業者と客付け業者の2つに分かれる。元付け業者とは、不動産を売りたい人(売主)から売却の依頼を受けて媒介契約を締結している不動産会社のこと。客付け業者は、買主を探してきて売買契約を締結する不動産会社のことをいう。

このほか、「不動産コンサルタント」という存在もいる。元付け業者・客付け業者の両方の立場で動いてはいるが、宅建業者としての業務を行わずに、売主または買主を不動産会社へ紹介するのが主な業務となる。つまり、不動産コンサルタントが買主を見つけてきて売買契約を決めたとしても、物件調査や契約書の作成といった業務はすべて不動産会社へ任せて紹介料だけを得ている。

顧客を紹介してもらった不動産会社は、仲介手数料を売主または買主からもらうことができ、顧客を見つけてきてくれた謝礼の意味で不動産会社がコンサルタントに紹介料(コンサル料)を支払う仕組みだ。

■とにかく仲介手数料が欲しい

前述の通り、不動産仲介業者は売買契約を決めれば決めるほど仲介手数料が入ってくるのだが、売主・買主から受け取れる仲介手数料には上限がある。物件価格が400万円を超える取引の場合は売買代金の3%+6万円+消費税が上限となっており、それ以上の報酬をもらうと宅建業法違反になってしまう。

例えば5000万円の一棟アパートの売買を仲介した場合は、「5000万円×3%+6万円+消費税=168万4800円」となり、約168万円が仲介手数料として収入になる。

一棟マンション・アパートなどの高額な収益物件だけを仲介するのか、一般の住宅(戸建や区分マンション)も仲介するのかは、仲介業者の活動方針によって違う。仲介業者としては、不動産の売買は基本的に1件の契約による収入が大きいため、「何か売買の案件があればできるだけそこに絡みたい」というのが本音だ。

広大な土地を事業用地や分譲マンションの建設地として仲介すれば、売買価格が数億円になることもあり、それだけ仲介手数料も大きくなってくる。広い面積の土地を求めている企業や建築会社とのつながりを重要視している仲介業者も多い。

例えばホームセンターや回転寿司チェーンなど大きいサイズの店舗を全国展開している企業と一度つながりを持てば、また出店する際に「土地を探してほしい」と依頼がくるケースもある。また、賃貸用の一棟マンションを建築している工務店とつながりをもっておいて、マンション建設に適した用地が出てくれば工務店に紹介することもある。

■仲介業者同士の思惑とは?

不動産仲介業者といっても、会社としての規模はさまざまで、社員が50人以上いる不動産会社もあれば、社長1人で営業活動を行っている会社もある。2018年度末の時点で日本全国に宅建業者は約12万社いるが、宅建業者として登録せずに活動している不動産コンサルタントなども含めると、さらに多くの不動産業者が存在している。

ただ、全国の不動産会社すべてが潤うほど仲介が決まりやすい優良案件が多いかというと、そういうわけでもない。最近では投資用の収益物件だけでなく、企業が店舗や工場を建設する事業用地の取得に対しても金融機関の融資が厳しくなってきており、仲介業者としては収入になりそうな案件は確実に拾っていきたい。

そこで、仲良くしている仲介業者同士が「報酬(仲介手数料)を分け合う」といった方法をとっているケースもある。

■横のつながりを大切に

例えば、4月に「仲介業者A」が一棟マンションの売買契約を仲介した。売買代金は1億円で、仲介手数料は330万4800円になる。そのときにAは、仲介業者として「B不動産」も案件に加わらせて、仲介手数料を半分ずつ分けることにした。AとBが仲介手数料を分け合ったとしても、それぞれ165万2400円ずつの収入になるので、額としては大きい。

今度は、5月に「B不動産」が売買価格5000万円の事業用地の売買を仲介した。このときも同様に、「B不動産」は「仲介業者A」も売買案件に加わらせて仲介手数料を分け合うのだ。仲介手数料168万4800円を2業者で半分ずつ取っても、それぞれ84万2400円の収入となる。

売買案件に対して仲介業者が増えたとしても売主・買主が支払う仲介手数料の額に変化はなく、ただ業者同士が報酬を分け合っているだけにすぎないので、売買契約の当事者には何ら影響がない。

小規模な不動産会社など、少数精鋭で営業している仲介業者はこうした方法を取っていることがあり、横のつながりを特に大切にしている。場合によっては、多少自社の報酬が少なくなったとしても、同業他社の信用・信頼を勝ち取るために売買情報を持ち込むこともある。

■仲介業者の情報戦
前述したように、レインズや不動産ポータルサイトなどで物件情報を収集するのに加えて、仲介業者は過去に仲介をした顧客から売買の依頼が入ってくることもある。

例えば飲食店を全国展開している企業Aに事業用地の売買を仲介したことがあれば、その後も「新規出店のために、○○市○○町で土地を探してほしい」といった依頼がきたりする。依頼を受けた仲介業者は顧客が希望するエリアで土地を探し、元付け業者に連絡して物件資料を送ってもらい、実際に現地まで足を運ぶ。その後に物件資料を持って顧客のところへ行って土地を紹介する、といった流れだ。

このとき、飲食店チェーンの「企業A」は、1社だけの仲介業者に土地探しを依頼しているとは限らない。複数の不動産会社に声をかけている場合もあり、もし希望エリア内にある飲食店の用地に適した土地が限られていれば、まさに仲介の奪い合いになってしまうこともある。

また、最初に「企業A」から依頼を受けて動いていた「仲介業者B」が土地の元付け業者に買主の情報を与えてしまったがために、元付け業者と仲が良い「不動産会社C」に購入案件の情報を流されてしまうケースもある。こうした元付け業者の行いは信義則に反しているとも言えるが、不動産会社Cが買主(企業A)と話をつけてしまえば、そのまま売買契約を進めることができる。

当然ながら、最初から動いていた仲介業者Bは他社に契約を奪われてしまうと土地を探していた時間と労力が無駄に終わってしまうので憤慨する。そこで、余計な軋轢が生まれるのを防ぐために、仲介業者Bと不動産会社Cとで仲介手数料を分け合うことで収めるのだ。元付け業者は土地の所有者(売主)から仲介手数料がもらえるので問題ないが、仲介業者Bにとっては収入が減ってしまい、後味の悪い結果となってしまう。

■仲介業者の思惑を理解する

元付け業者は売主と専任媒介契約を結んでさえいれば、他の業者に横槍を入れられる心配はない。しかし、客付け業者にとっては顧客との信頼関係が大切になる。後から他の仲介業者が入ってきて、「仲介手数料を安くする」など魅力的な条件を突き付けて買主を奪っていく可能性があるからだ。契約締結に至るまでは安心できない。

不動産投資家が投資物件を探すときも、複数の不動産会社に購入の相談をすることがあるだろう。そんなとき、投資家からは見えない水面下では、前述したような仲介業者間による物件の情報戦が行われているかもしれない。

仲介業者によっては、新規顧客から問い合わせがあった場合、懇意にしている顧客に問い合わせがあったことを伝え、買い付けを急がせるようなケースもある。そういった思惑も踏まえ、投資家としては問い合わせ後に買い付けか見送りを判断するまでのスピードを早めていくことが、買いたい物件を確実に買うのには必要になってくるかもしれない。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:6月20日(木)20時00分

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