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テクマト Research Memo(8):情報基盤事業は新規セキュリティ対策製品や新サービスの提供を開始

6月19日(水)15時38分配信 フィスコ

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■テクマトリックス<3762>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前期比6.1%増の18,000百万円、営業利益は同1.2%増の1,800百万円を見込む。年々、巧妙化するサイバー攻撃に対して、最先端のネットワーク・セキュリティ関連技術の動向を先取りし、積極的に新規商材の発掘を行い、自社の高品質な監視サービス等と組み合わせることで競合との差別化を図り、受注を拡大していく戦略となっている。利益率が低下するのは、高度な監視サービスを実現するための人材投資を積極化することが主因となっている。

注目される新規セキュリティ製品としては、米Cyxtera Technologies Inc.(以下、Cyxtera)の次世代セキュアアクセスソリューション製品「AppGate SDP※1」の販売を2019年1月より開始している。同製品はゼロトラストモデル※2により開発された製品で、CyxteraはSDP製品の代表的ベンダーの1社であり、国内初進出となる。

※1 SDP(Software-Defined Perimeter):情報資産に安全にアクセス可能なフレームワーク。
※2 「利用者や利用者のデバイス、ネットワークすべてを信頼しない」という性悪説のアプローチ。


クラウド環境の普及により、企業内ネットワークはオンプレミスとクラウドを利用するハイブリッド環境となっているほか、モバイルデバイスの普及で社外からも社内ネットワークにアクセスすることが常態化するなかで、企業のネットワークにおける社内と社外の境界線が曖昧となってきており、従来のセキュリティ製品やリモートアクセス通信方式のSSL-VPN(Virtual Private Network)で防御することが困難になりつつある。こうした課題を解決する製品が「AppGate SDP」となる。具体的な流れとしては、モバイルデバイスで社外から社内ネットワークにアクセスする場合に、デバイス及びユーザーの認証を同製品で実施し、認証後にユーザーに対して最小限のアクセス権を付与して暗号化通信を許可、接続許可後も継続して状況監視と制御を実施することで、不正侵入を防御する仕組みとなる。まずは、セキュリティ対策に対して先進的なアーリーアダプターの顧客に提案活動を行いながら、需要を掘り起こしていく考えだ。

また、ここ最近のサイバー攻撃の高度化により、セキュリティ機器の導入だけにとどまらず、より専門的な人材を配置して高度な監視サービスを行う重要性が増しており、こうした需要に対応するため2019年7月から新たにセキュリティ統合監視サービス「TechMatrix Premium Support powered by TRINITY」の提供を開始する。AIや機械学習技術の活用等による高度な監視サービスや、最先端の脅威シナリオに基づく独自開発の相関分析基盤を活用したインシデントハンドリングの提供などにより、「包括的な脅威の検出と可視化」及び「セキュリティ運用の効率化」を実現し、未知のマルウェアに対するセキュリティ対策を強化するサービスとなる。

大企業では情報セキュリティ担当者を社内で配置する企業も多いが、高度な専門的知識がなければ重大インシデントが発生した場合の対策が遅れるケースも多く、こうしたリスクに対応するため今後は監視サービスを専門的に行っている企業に委託するケースが増えてくるものと予想される。同社はこうした需要を取り込むため、高度な専門スタッフの採用・育成を強化していく方針としており、2018年にはサイバー攻撃のトレンドなどを専門的に分析する「セキュリティ研究所」も社内で組織化し、最新技術の収集に取り組んでいる。現在、ICT基盤の運用監視サービスとしては「TRINITY」があり、年間で数億円規模の売上となっているが、新サービスの導入により早期に二桁億円以上の規模まで拡大していくことを目指しており、ストック売上の一部として同事業セグメントの安定収益基盤に育成していく考えだ。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比4.0%増の8,800百万円、営業利益は同3.1%増の660百万円を見込む。医療分野やCRM分野、ビジネスソリューション分野でクラウドサービスを加速度的に推進していくほか、顧客向けの受託開発を担当していた技術リソースの一部を、自社サービスの新規開発や既存のクラウドサービスの拡充に戦略的にシフトしていく方針となっている。売上高の伸びが鈍化する計画となっているが、前期末の受注残高水準(7,340百万円)や、足下の受注が順調に推移していることを考えると、上振れする可能性もあると見られる。

a) 医療分野
医療分野については「NOBORI」が導入施設数の増加を背景に安定成長が続く見通しであり、同事業で生み出した利益を新規事業の開発投資に積極的に投下していく計画となっている。新規事業としては、スマートフォンアプリで自身の医療情報を確認できる個人向けPHRサービスを自社開発し、複数の地域中核病院と実証実験を開始している。アプリの機能としては、通院予定や検査結果、X線検査等の画像情報、薬剤記録などの確認ができ、今後も機能を拡充していく予定となっている。実証実験ではおおむね好評のようで、今後参加医療施設と利用者数が一定規模まで増加した際には、有料サービス化して利用料として月額課金することを検討している。

一方、AIを活用した医療画像診断支援サービスについても、複数のベンチャー企業と協業しながら進めている。なかでも、2018年10月に出資したエルピクセル(株)は、2019年1月に国内で初めて医用画像解析ソフトウェアの医療機器製造販売認証(頭部MRI画像が対象)を取得している。医療データは認定事業者がデータを匿名化することで2次利用が可能となるが、現在は認定事業者が存在せず、今後の動向が注目される。いずれにしても、数年内にはAIによる画像診断支援サービスが実用化されるのは間違いない。同社は現在、複数のベンチャー企業と共同開発を進めている。法整備が進めば、AIによる画像診断支援サービス市場において同社がキープレイヤーの1社として成長していくことも期待される。

b) CRM分野
CRM分野ではコンタクトセンター向けCRMソリューションにおいて、AIを活用したチャットボットシステムとの連携を図りながら、コンタクトセンターの運用効率化を支援していくほか、自治体の広聴業務向けの導入にも注力していく方針となっている。また、ASEAN地域(特にタイ、インドネシア)については現地企業、日系企業問わず顧客の開拓を進め、売上規模を拡大しながら今後の黒字化を目指していく。

c) ソフトウェア品質保証分野
ソフトウェア品質保証分野では自動車だけでなく、医療機器や家電製品、鉄道等、IoTで繋がる様々な電子機器に搭載される組込みソフトウェアの品質向上や機能安全(セイフティ)に対する需要が高まると同時に、複雑化する組込みソフトウェアを検査するテストツールの需要増加も見込まれている。ただ、米中貿易摩擦の影響で輸出企業を中心に企業収益が悪化し、投資需要が冷え込む可能性もあるため、保守的な売上計画を立てている。

d) ビジネスソリューション分野
従来の特定顧客向け受託開発ビジネスで積み上げた技術力を生かして、新しい分野でのクラウドサービス創出に取り組んでいくほか、金融工学の技術を活用して金融機関向けのリスク管理分野でのビジネス拡大にも注力していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》
株式会社フィスコ

最終更新:6月19日(水)15時56分

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