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買い取り制度が廃止? 太陽光発電投資はもう終わりなのか《楽待新聞》

6月17日(月)20時00分配信 不動産投資の楽待

(PHOTO:花火/PIXTA)
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(PHOTO:花火/PIXTA)
6月12日、経済産業省が電力の「固定価格買取制度(FIT)」廃止を検討している、と新聞などの大手メディアが一斉に報じた。同省はいまのところ詳細を明らかにしていない(後述)が、FIT制度について政府は、2020年度末までに「抜本的な見直し」を行うと明言している。制度廃止を含めた議論が進んでいることは想像に難くない。

太陽光発電への投資はかつて大きなブームとなったものの、その後は年々買い取り価格が引き下げられ、投資妙味が薄れてきたと指摘する投資家の声も聞かれる。今回は、楽待新聞編集部が実施したアンケートのうち、太陽光発電投資に関する設問の回答を基に、太陽光発電投資の未来を考えてみたい。

※アンケート実施概要
調査時期:2019年6月5~9日
有効回答数:244

■「国策」だった電力買取制度

2012年にスタートした「固定価格買取制度(FIT)」は、太陽光や風力などで発電した電力の買い取りを、電力会社などに義務付ける制度。2009年にはその前身である「余剰電力買取制度」が既に始まっていたが、2012年7月には現行制度のFITへと移行した。

これらの制度は環境汚染対策のほか、多様なエネルギー源の確保を推進することを目的としている。そして電力会社が制度に基づく買い取りに要した費用は、私たち消費者の電気料金に「賦課金」の形で上乗せされている。つまりこの制度は、国民全員が参加する「国策」だと言える。

このような買い取り制度に加えて設備費や工事費への補助金などが追い風となり、2012年以降、太陽光発電への投資がにわかに熱を帯び始めた。所有するアパートの屋根にパネルを設置したり、地面に架台を設置してその上にパネルを載せる「野立て」と呼ばれるタイプ(本記事冒頭の写真参照)で発電し、売電によって利益を得たりする投資家が増えていった。

太陽光発電への投資がブームとなると、参入する事業者が急増。それに伴ってパネルなどの設備も低価格化が進み、さらに事業者が増えていった。事業参入者が増加すれば供給される電力量が増え、買い取りのための費用もかさむ。この買い取り費は前述したとおり「賦課金」として消費者から徴収されるため、事業者が増えるほど消費者への負担は大きくなる。これを避けるためには、買い取り価格を順次引き下げざるを得ない。国策として始まった事業は、こうした微妙なバランスの元で成り立っていたのである。

余談だが、余剰電力買取制度による買い取り期間は10年間であり、2019年から順次期間満了となる契約者が出てくることになる。当該の契約者は期間満了後、自家消費もしくは自由契約にて売電するかの選択を迫られることになる。これを指して「2019年問題」という言葉も話題となった。

■「太陽光発電に投資している」は25%

FITのスタートから約7年が過ぎた現在、投資家は太陽光発電投資についてどう考えているのか。

楽待新聞編集部が今月5日、読者を対象に行ったアンケートでは、全体の約25%が「太陽光発電に投資をしている」と回答。また今後、太陽光発電への投資に賛成か反対かという問いについては、「どちらでもない」とする回答が最も多く、「賛成」(30%)と「反対」(26%)がほぼ同数という結果だった。

以下に、賛成派と反対派の意見の一部を紹介したい。

■今後の太陽光発電への投資に「反対」する意見

・現在の太陽光発電は供給過剰であり、買い取り価格の値下げも続いているから(新潟県・33歳)

・買い取り価格が下がっているので。パネルの耐久性にも不安がある(神奈川県・50歳)

・買い取り価格が不安定なので、手を出す気が起こらない(愛知県・51歳)

・買い取り価格が下がる一方で、今後利回りがさらに低下すると思うから(千葉県・45歳)

・かつての政権交代時の政商によって税金が投入された分野だが、ドイツの例を見てもこの政策に未来はないと思うから(滋賀県・48歳)

・設備の故障リスクと買い取り制度の変更リスクがあり、長期的な収益を考えると不安が残るため(愛知県・46歳)

・アパートやマンションに比べ資産性が低く、出口戦略が描けないから(愛知県・51歳)

・寿命を迎えた後のパネルの廃棄を考えると、環境に悪いと感じる(熊本県・38歳)

反対派の理由として最も多かったのは電力の「買い取り価格の低下」だ。実際、2012年は40円/kWhであった買い取り価格は、2018年には18円/kWh(いずれも産業用)にまで下落している。早期に認定を受けた事業者ほど大きな収益が得られることになる。例えば月間の発電量が1500kWhであった場合、月額3万3000円、年間約40万円の違いだ。これから新たに参入しても旨みがないと考えるのは自然かもしれない。他にも、出口戦略や環境への悪影響などの理由も挙がっていた。

また44%と最も多かった「どちらでもない」との回答理由も、「買い取り価格の動向による」(東京都・51歳)、「利回りがよく利益が出るのなら検討したいが、買い取り価格の動向が分からないのでなんとも言えない」(福岡県・40歳)、「買い取り価格が上がれば考える」(千葉県・50歳)と、買い取り価格の動向を見守りつつ静観しているという意見が目立った。

では、賛成派の意見はどうか。一部を以下に紹介する。

■今後の太陽光発電への投資に「賛成」するの意見

・環境に優しく、エコであるものに先行投資することはよいことだと思うため(神奈川県・54歳)

・社会的な意義があると思うから(東京都・33歳)

・脱原発に貢献したいから(京都府・49歳)

・新時代のエネルギーへの投資だから堅実だと感じる(東京都・55歳)

・買い取り価格が安定しているので事業計画が立てやすい(三重県・44歳)

・国策に沿った次世代の資産であり、投資しない理由がない(東京都・52歳)

・単体ビジネスではなく、アパートの屋根に載せるなど不動産賃貸業と合わせて考えるならアリ(神奈川県・47歳)

・買い取り価格は下がっているが、パネルの製造技術が進化して設備費用が割安になれば投資効果は変わらないと思うから(東京都・44歳)

・固定買い取り期間である20年間は安定した収益が得られ、リスクが少ないから(東京都・30歳)

※本アンケートは、冒頭で紹介した報道以前に実施したものです

最も多かったのは環境への貢献に関する意見だ。再生可能エネルギーへの投資を通じて環境・社会への貢献を望むという声が多く見られる結果となった。その他、固定価格買取制度により、安定的な収入が見込めるという意見もあった。

■固定価格買取制度は廃止されるのか

ところで、冒頭で触れた固定価格買取制度廃止に関する報道について、今のところ経済産業省の公式な発表は行われていない。報道の内容は各社で微妙に異なっているが、固定価格買取制度が廃止され、新たな制度の導入が検討されている、という点は共通している。

報道の内容が事実であるのか、楽待新聞編集部が経済産業省に問い合わせたところ、「一部のメディアでは制度廃止の方針が決定したかのように報道されているが、本件については現在議論を深めている最中であり、現時点で具体的な方針は何ら決まっていない」との回答だった。

一方、現在行われている議論については「これから新たに認定を受けて事業を行おうとする案件に対しての対応を検討しているのであり、既に認定を受けて事業を実施している案件については、制度上の契約の変更を加えることはない」としている。したがって既に認定を受け、10年、あるいは20年の固定買取期間にある事業者が突然、固定価格での売電ができなくなるということはなさそうだ。

■投資家はどう考える

太陽光発電への投資実績がある投資家は今回の報道を踏まえ、太陽光発電投資の未来をどう見ているのか。

現在、マンションの屋上に太陽光設備を設置し、36円/kWhで売電しているというmasashiさんは、「買い取り価格の低下が続き、太陽光は今後難しいだろうと思っていました。そのため最近は情報収集もしておらず、興味も遠のきました」と冷ややかだ。

「FITはいずれ終わると思っていた」と話す投資家のGody523さんは、今後太陽光発電投資のあり方が大きく変わると見ている。

「国は将来的に7~8円/kWh程度の買い取り価格を目標としているようですが、そうなればさすがに投資とは呼べない。これからの太陽光発電は、蓄電池と組み合わせて停電時の備えにするといった保険的な位置づけに変わっていくのでは。それでも、設備費や工事費への補助金が出なければ売れなくなると思います」

今後、FITが廃止された場合については「補助金が現状の倍以上になるのであれば投資の範囲に入ってくるのかなと思います」と話す。

所有する物件の屋上など5カ所に太陽光発電設備を所有する投資家のPascalさんは、「仮にFITが存続するとしても、買い取り価格は既に14円です。太陽光への投資は終わっていると思っていました。14円では、採算をとることがかなり難しいと思われます。個人的にはもう太陽光への投資はしません」と話した。



収益を固定価格での買い取りに依存する以上、太陽光発電投資は社会の情勢や国の政策に左右されることになる。今後FITが廃止となった場合、それに変わる新たなスキームが誕生する可能性もあるが、送電線の不足などインフラ面での課題も残る。前述の通り今後の国の方針は未定だが、太陽光発電設備の規模が急速に拡大した現在、FITは当初の役目を果たしたと言える。今後、再生可能エネルギー産業が成熟期に向かうにつれ、太陽光発電投資のあり方も変化していくことになりそうだ。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:6月17日(月)20時00分

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株式会社ファーストロジック

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