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幼児の英語習得には「動画」が最強ツールなワケ

5月27日(月)6時10分配信 東洋経済オンライン

幼児の英語学習には動画が最適な理由とは(写真:8×10/PIXTA)
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幼児の英語学習には動画が最適な理由とは(写真:8×10/PIXTA)
 わが子には英語で苦労してほしくはないが、何からやっていいか、いつ頃から英語を習わせればいいのかわからない。そもそも、日本で英語を話せる子どもを育てるのは可能なのか――。自らの子ども2人をバイリンガルに育て、幼児から小学生までの英語教室を主宰する小田せつこ氏が、1歳半~幼稚園までの英語学習法について紹介します。

■英語習得には大量の「インプット」が必要

 子どもでも大人でも、語学習得の成功に欠かせないのは「質・量ともに十分なインプット」と「適切なアウトプット」の機会です。何かすごい秘訣があるわけではありません。
 インプットは「聞く」「読む」、アウトプットは「話す」「書く」です。子どもの英語教育というと「早く子どもが英語を話せるようになってほしい」と、「アウトプット」の部分を期待される親御さんが多くいらっしゃいます。しかし、大量のインプットなしにアウトプットができるようになることはありません。

 これは、赤ちゃんが日本語を身に付けていくプロセスを考えてみるとわかりやすいでしょう。赤ちゃんは、生まれたその日から、自分の周りで話される日本語をずっと聞いて育っていきます。両親や祖父母など周りにいる人たちが話す日本語に、つねにさらされていますよね。
 それだけではありません。日本語がわからない赤ちゃんに対して、みんな寄ってたかって話しかけますよね。その状態が約1年続いてやっと、赤ちゃんの口から単語がひと言、ふた言出てくるのです。

 このように考えれば、英語を話せるようになるためには、大量のインプットが必要であることがわかるでしょう。インプットの作業は、家庭でしかできません。英語教室に通わせるという選択肢もありますが、英語教室のメインの役割は「英語での直接のコミュニケーションを楽しむ」ことです。レッスン中にもインプットはありますが、それは「家でのインプットのきっかけを作る」程度ですから、レッスンだけでは不十分です。
 ですから、たとえ英語教室に通っていたとしても、家庭でのインプットは欠かせません。英語のインプットを日々の習慣にしてしまえば、親も一緒に子どもと楽しむことができます。英語教室に通っていても、なかなか英語を口にしないお子さんもいます。個人差はありますが、十分なインプットがたまってくれば、子どもは必ずアウトプットし始めます。

 幼児期にはあまりアウトプットのことを気にせず、とにかくたくさんインプットをするようにしましょう。無理に英語をしゃべらせようとすると、子どもは英語を嫌いになってしまうかもしれません。幼児期には「英語を楽しむ」ことが何よりも大切。私たち親は「子どもを幸せにするために」英語をプレゼントするのです。
 英語への最適な取り組み方は、発達段階に合わせて変わりますから、もちろんどの時期も大切です。でも、最も重要なのは、1歳半~幼稚園までの、英語耳が作られる「黄金期」です。そして、その時期における最強のインプット方法は「英語の動画を見せる」ことです。

 CDや絵本などもありますが、動画は「英語は言語」であると子どもに認識してもらうのに便利です。毎日の生活の中で「周りの人たちがみんな英語を話している」という状況に子どもを置くのは難しいものですが、動画であれば、登場人物やキャラクターたちが英語で会話をしている様子を、子どもに見せることができるのです。
■子どもが嫌になっては意味がない

 また、英語が聞き取れない段階では、視覚からの情報が役に立ちます。これは大人でも同じですが、何を言っているのかわからない音声を聞き続けるのは苦痛ですよね。英語のインプットは、とにかく続けることが大切ですから、子どもが嫌になってしまっては意味がありません。動画であれば、キャラクターたちの動きややり取りを見ることができるので、子どもも楽しんでくれます。

 そして何より、動画は親の負担が少ないのがいいところ。YouTubeなどを使えばお金はかかりませんし、動画を流しておけば、親が手を離せないときも子どもは楽しみながら英語に触れることができるのです。
 「18歳でバイリンガル」がうまくいくかどうかは、1歳半~幼稚園までの「黄金期」にしっかり英語でのインプットができるかどうかにかかっています。ですから、この時期は「動画は英語のものだけにする」ことを徹底するといいでしょう。

 また「日本語も英語もどちらも見ればいい」というのは、無理に等しいと思います。両方見ることができるなら、子どもはなじみのある日本語のほうを見たがるようになってしまうからです。しかし、英語の動画しか見せていなければ、子どもたちは「日本語の動画」の存在を意識することがないのです。
 幼稚園以降は、どうしても十分な英語のインプット量を確保するのが難しくなります。この年齢になれば、日本語も一通り理解して会話ができますから、CDも絵本も動画も、日本語のほうが楽しめるようになりますし、本人もそれを自覚し始めます。

 また、周りのお友達の影響で、魅力的な日本語のアニメの存在を知ってしまうと、「私も日本語のアニメが見たい!」と主張する日がやってくるのです。ですから、その日までは、なるべく英語のコンテンツに集中してください。英語に十分なじみ、日本語・英語どちらのコンテンツも楽しめるような状態にしておくのです。
 「けっこう強引なやり方だなぁ」と思われるでしょうか。でも、日本でバイリンガルを育てる以上、これくらいのことをしないと必要十分なインプットは確保できません。そして、この時期の十分なインプットが、子どもの将来の英語力をぐんと伸ばしてくれるのです。「何もしなくても気づいたら自然とバイリンガルになっていた……」なんていうのは、きれいごと。バイリンガルは「きちんと計画してこそ」作られるものなのです。

 私も、2人の子どもが小さい頃から、「動画は英語で見る」を原則にしていました。もちろん当時は、完全に内容を理解していたわけではありませんが、2人とも嫌がることなく見ていました。仮に、子どもが4~5歳になってから英語で動画を見せようとすると、「英語は嫌だ!  わかんないから日本語にして!」と拒否されます。
 しかし、幼稚園に入る3歳頃までに英語をある程度インプットしておくと、4~5歳になっても、もっと大きくなっても、英語で動画を見ることを嫌がらないのです。

■「英語の音」を聞き取る耳が出来上がる

 幼稚園に入る頃までに、動画で英語のインプットを繰り返してきたお子さんは、英語を耳から取り入れています。しかも、インプットしているのは、ネイティブの子どもたちが楽しむ自然な英語です。大人がテキストや単語帳から英語を学び、自分なりの発音で覚えていくのとは、やり方が正反対なのです。
 自然なコミュニケーションの中で使われる英語を聞いて育っているお子さんは、聞いた英語をすぐにまねすることができます。発音もクリアです。私の教室の子どもたちは、もし発音が間違っていても、少し直してあげるだけですぐにクリアになります。これまでしっかりインプットしてきたため、「英語の音」を聞き取る耳が出来上がっているのですね。

 インプットが少なく、発音の基礎が身に付いていないと、「聞いた英語をそのまままねしてみる」のは無理に等しいです。なんとか言わせようとすると、とても短い不自然なセンテンスになってしまいます。
 一方で、十分なインプットがある子どもは、長めの文章でもすぐに暗唱できるようになります。聞いた音をそのまままねしたり暗唱したりする力は、適切なアウトプットにつながるので、その後の英語習得をスムーズにしてくれます。

 英語の動画は、毎日子どもに見せることが大切です。「昨日は見たけど、今日は見なかった」というのは避けてください。理想は、英語の動画を毎日見るのが当たり前、見なかったら気持ち悪い、と思えるような状態を作ること。そうは言っても、「わが子に動画を長時間見せるのは抵抗がある」「もしハマってしまい、何時間も見続けるクセがついたら将来が心配」という方もいらっしゃるでしょう。気持ちはよくわかります。
 でも、英語の動画は「英語のインプットのためのツール」です。大人が英語を学ぼうと思ったら、英語を毎日聞く、英語に触れない日は作らない、というのが理想的だと思いますよね。子どもの場合も同じです。英語習得のためには、大人と同じく毎日コツコツ、休まずインプットを続けることが大事ですし、そのためには動画視聴を日々の習慣にしてしまうのが手っ取り早いのです。

 長時間の動画視聴を懸念している方には、私はこのようにもお伝えしています。「基本的に、健康的で規則正しい生活を送っていれば、そんなに何時間も動画を見る時間はないものですよ」と。反対に「動画視聴時間が長い」と感じるときは、今の生活が子どもにふさわしい健康的なものなのか、省みるチャンスなのかもしれません。ごく一般的な、子ども中心の生活をしていれば、そんなに心配するほどのことはありません。
 そうは言っても、そもそも外遊びに興味がないお子さんもいますし、さまざまな事情で家にいる時間が長いお子さんもいるでしょう。そうなると、動画を見せようと思ったら何時間でも見せられる、というケースがあるかもしれません。その場合には、「動画は1日何時間まで」と、あらかじめ時間を決めておくといいでしょう。

 その際、日本語での動画視聴時間は限りなくゼロに近づけることで、動画の見せすぎを防ぐことができます。

■プロに頼ることも大切
 もう1つぜひ取り入れていただきたいのが「週1回の英語教室」です。英語教室は、無料のYouTube動画と違ってお金がかかりますが、やはり英語に関しては、直接のコミュニケーションに勝るものはありません。たとえ、まだまだ英語を話せなくても、先生やお友達との英語を使ったコミュニケーションは、子どもに「英語は言語」だということを実感してもらうための最も手っ取り早い方法です。

 英語教室は親にとっての強い味方でもあります。家では「動画を使って英語をインプット」すればいいのですが、実際にこれを実践しようとすると、さまざまな疑問が出てくることでしょう。例えば「英語のアニメはどんなものを見せるのがいいのだろう」 「親の発音がきれいじゃないから、家では英語で話しかけないほうがいいのだろうか」といった疑問です。
 ここで親御さんが悩んだり、うまくできない自分を責めたりしてしまっては、誰も幸せになれません。ですから私は、ここはプロの手を借りることを勧めています。

 子どものことを大事にできる英語のプロ、つまり英語教室は幼児英語教育の強い味方になるのです。幼児期の英語に欠かせないインプットは、量もさることながら質も大切。絵本や歌、動画など、子どもが興味を持つことができ、きちんと英語習得につながる「プロのお勧め」を知ることは、英語の習得を効率的かつ効果的にしてくれます。
 また、英語教室に通えば、子どもの英語教育に熱心な親との出会いがあります。英語に興味のある親と情報を交換できたり、相談に乗ってくれる人たちができたりすることは、とても心強いことでしょう。子育ても、子どもの英語教育も、孤立しないことが大切です。

 家庭で動画を使って英語の大量インプットを続け、週1回の英語教室で子どもに英語でのコミュニケーションを楽しんでもらうことで、「ムリなく、ムダなく、18歳でバイリンガル」を実現しましょう。
小田 せつこ :金城学院大学人間科学部 現代子ども教育学科 教授

最終更新:5月27日(月)6時10分

東洋経済オンライン

 

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