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交渉下手な人は「準備」のやり方を知らなすぎる

5月26日(日)5時40分配信 東洋経済オンライン

プレゼンや交渉が苦手という人は事前の「伝えるための準備」が足りないだけなのかもしれません(写真:ijeab/PIXTA)
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プレゼンや交渉が苦手という人は事前の「伝えるための準備」が足りないだけなのかもしれません(写真:ijeab/PIXTA)
 あなたは「準備」という言葉に、どんな印象を持っていますか? 

 多くの人は、「ちょっと面倒くさい」「できればやりたくない」ものだと思っているのではないでしょうか。

しかし、実は「準備」こそが、人生のさまざまな場面での成功・失敗を決めているファクターなのです。拙著『すごい準備 誰でもできるけど、誰もやっていない成功のコツ!』でもご紹介していますが、この「準備の力」さえ身に付ければ、誰でも人生を変えるきっかけをつかむことができるでしょう。
■「準備を制する者は、人生を制す」

 私は日本テレビで25年以上にわたり、テレビ番組を制作してきました。1つの番組をつくるためには、社内で企画を通す、撮影したいお店などから取材許可をもらう、人気タレントに出演を依頼するなど、交渉の連続です。

 なかには取材NGのお店や、多忙でなかなか出演してもらえないタレントさんもいて、それを何とかして口説き落とさなければ番組を完成させることはできません。交渉に臨む日々の中で、私が実感したのは「準備すること」の大切さです。
 私がやっている準備とは、「相手に自分の思いや考えを伝える準備」、つまり、コミュニケーションのための準備です。

 この「伝える準備」ができているかどうかで、交渉の結果は大きく違ってきます。準備というと、書類をそろえたり、日程調整をしたり……という作業にばかり目を向けがちですが、本当に大切なのは「伝えるための準備」なのです。

 私は実際、準備の力で『¥マネーの虎』のMCを吉田栄作さんにお願いしたり、織田裕二さんやマツコ・デラックスさんにスペシャルドラマへの出演を依頼したりするなどして、数々の番組を作り上げることができました。
 「伝える準備」さえできていれば、仕事はもちろん、恋愛などプライベートな人間関係でも、自分の思いをしっかり相手に伝えることができ、自分が望んでいる最高の結果を手に入れることができるでしょう。

 まさに、「準備を制する者は、人生を制す」なのです。

 交渉は登山に例えると考えやすいです。登山家は、難易度の高い山に挑戦するとき、用意周到な準備をします。危険な山であればあるほど、なんとか攻略しようと山岳ルートをいくつも探ります。
 準備不足の状態で難しい山に挑んでしまったら、遭難という取り返しのつかない事態に陥る可能性があるからです。

 交渉にも、これと同じことがいえます。登山家が地形図で山岳ルートを探るのと同じように、「戦略ルート」を探したうえで交渉に臨むことが、成功への近道なのです。

 この戦略ルートは、ただ頭の中で考えているだけでは出てきません。「今回の交渉の問題点は何か?」「相手はどんなことを不安に思っているのか?」という現状をまとめて、相手を攻略するための戦略図をつくる必要があります。私はこれを1冊のノート、通称「準備ノート」にまとめています。
■「準備ノート」のつくり方とは? 

 この「準備ノート」に、いま抱えている問題点などを洗い出し、整理していけば、相手の攻略ポイントを「見える化」することができます。そうすれば、交渉の戦略ルート=相手の心を動かすための糸口を発見することができるのです。

 「準備ノート」をつくるポイントは3つあります。

1. 相手の情報を徹底的に集める
 まずは、交渉相手の情報を徹底的に集めます。仕事に関することだけでなく、「出身地はどこか?」「家族構成は?」「趣味は何か?」など、調べられる限りの情報を集めます。集めた情報から、その人の人物像がイメージできるようになれば、「どんなことに心が動くのか」というポイントが見えてきます。
 例えば、相手の食べ物の好みがわかれば、打ち合わせの手土産にその人の好きな物を用意していく。これだけでも印象がよくなり、話がスムーズに進むきっかけになることもあります。自分と相手との出身地が近ければ、その話で盛り上がり仲が深まるということもあるでしょう。

 どんな人なのか、まったく知らないまま交渉を始めるのは、高さも地形もわからない山にいきなり登るようなもの。それでは失敗してしまうのも当然です。事前に、相手の人物像をつかんだうえで交渉に臨むことが、「最高の結果」に結びつくのです。
2. 自分が達成したいことと、相手のメリット・デメリットを整理する
 自分が達成したいことと、それに対する相手のメリット・デメリットを整理してまとめていきます。例えば仕事で「新商品を売り込みたい」という目標であれば、そのことにより相手にはどんなメリットがあるのか?  逆にデメリット=交渉の妨げとなるのは何か? を書き出していきます。

 ここでいちばん大切なのは、「相手の立場に立って考え抜く」こと。仕事でもプライベートでも、交渉はいわゆる「一方的な片想い」で、決して両想いではありません。つまり、「相手にとっては迷惑なもの」として考えたほうがよいのです。
 もし、自分が相手の立場だったら……という視点で一つひとつ考えていけば、相手にとってのメリットをいくつも提案できるようになります。そうすることで、一見「問題点ばかり」「解決するのは難しい、うまくいかない」と思っていることでも、必ず解決策が見つかるものです。不安に負けることなく、問題点を一つひとつ整理・検証していけるのが、「準備ノート」のメリットです。

■最後のポイントは? 

3. 自分と相手の「共通点」=「口説きのポイント」を探る
 1と2でまとめてきた情報の中から「何度も登場する言葉」を探します。ラインマーカーなどで、色分けしてみてください。必ず何カ所かで、同じ言葉が出てきているはずです。

 それが、この交渉のキーワード、つまり「口説きのポイント」です。このキーワードは相手と自分との共通点なので、これを探し出すことで、お互いに歩み寄れる部分(=交渉の糸口)が見つけられます。

 プレゼンや交渉がうまくいかなかったり、自分の思いがうまく伝わらなかったりして悩むことは多いものです。しかし、その原因のほとんどは、「伝えるための準備」が不足しているからです。話すことの得手不得手や、いわゆるコミュニケーション力のせいではありません。
 事前にしっかり情報を収集して分析し、冷静に問題点をひも解いていけば、どんなことでも解決策を探し出すことができるでしょう。
栗原 甚 :日本テレビ 演出・プロデューサー

最終更新:5月26日(日)5時40分

東洋経済オンライン

 

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