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プラス成長もGDPの中身は要注意 否定できない3度目の消費増税延期

5月24日(金)13時25分配信 THE PAGE

[写真]2016年6月1日、消費税率10%への増税を再度延期することを表明する安倍晋三首相。今年10月に予定された消費増税は予定通り行われるのか(ロイター/アフロ)
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[写真]2016年6月1日、消費税率10%への増税を再度延期することを表明する安倍晋三首相。今年10月に予定された消費増税は予定通り行われるのか(ロイター/アフロ)
 市場関係者の間では、2019年10月に予定される消費増税が延期される可能性が意識されているようです。今のところ、政権内部から増税延期に関する具体的メッセージは出されていませんが、過去2回の増税延期がそうだったように、事態は急展開する可能性があります。(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

「輸入減少」と「在庫」が成長押し上げる

 日本経済は、失業率がバブル期並みの低水準にあるなど、過去数年の景気回復が蓄積された状態にあります。この点を重視すれば、現在の景気を「良い」と評価することに違和感はないでしょう。一方で、増税に耐えられるかという視点で現在の景気を評価すると、「黄信号」「微妙」という判断になります。財政をめぐる議論は立場や時間軸などによってさまざまな“正解”があり、実に複雑ですが、一般論としてマイナス成長下における増税は理に適っていないのです。増税して景気が冷え込んでしまうと、政府は景気対策を施す必要がありますから、結局のところ財政は改善しません。

 これを踏まえ、20日に発表された2019年1~3月期の実質GDP(国内総生産)を振り返ってみます。まず、全体の数値は前期比で年率+2.1%という力強い数値でした。18年7~9月期に▲2.5%と明確なマイナス成長を記録した後、10~12月期に+1.6%とリバウンドし、そこから2四半期連続のプラスを確保したわけですから、 “まずまず”と言っても良いでしょう。

 しかしながら、問題はGDPの中身です。需要項目別にみると、個人消費、設備投資、輸出の3本柱が軒並みマイナスとなる反面、輸入(の減少)と在庫が押上げに寄与しました。成長を押し上げた輸入の減少と在庫の増加は、双方とも需要の弱さに起因していますので、それを額面通り受け止めてはいけません。特に輸入は、たった一つの項目でGDPを+3.4%ポイントも押し上げていますから要注意です。また、当期に積み上がった在庫は、それが意図的なものであろうとなかろうと、翌期以降は成長抑制要因へとなり代わるため、こちらも注意が必要です。

萩生田発言以降、冴えない経済指標続く

 こうした中、市場関係者を中心に消費増税の再々延期の観測が浮上しています。4月18日に自民党の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行が消費税に慎重な構えを見せて以降、市場参加者はこの話題に敏感になっています。5月13日には内閣府が景気動向指数の基調判断を6年2か月ぶりに「悪化」に下方修正し、その後発表されたGDPも冴えない内容でしたから、足もとでは延期観測に注目が高まっています。また5月22日には日銀の原田泰(ゆたか)政策委員会審議委員からも「増税が景気を後退させ、需要減が物価を引き下げる可能性がある」という発言がありました。市場関係者が増税延期を意識するのは当然でしょう。

 現段階では、政権内部から増税延期に関する具体的なメッセージは出ておらず、公式には「予定通り増税」という見解が繰り返されています。ただし、過去2回の延期決定(2014年11月、2016年6月にそれぞれ表明)の経験を踏まえると、政策の方向性が急旋回する可能性は否定できません。
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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

最終更新:5月24日(金)13時25分

THE PAGE

 

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