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無借金で家賃年収3300万、「区分のプロ」が明かす管理の極意《楽待新聞》

5月22日(水)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
今回、「区分物件」の管理にフォーカスする。

話を聞いたのは、1990年代半ばから区分マンションの現金買いを続け、無借金で総投資額約3億円、家賃年収3300万円を実現した「区分のプロ」芦沢晃さん。長年の経験に基づく「管理のポートフォリオ」の組み方や「VIP顧客」になるテクニック、ワンルームの特性を生かした戦略的なセルフリフォームまで、20年以上にわたってほぼ満室経営を維持している秘密に迫っていく。

■「ずさんな管理でスラム化する」は真実か

まず区分管理の基礎知識から確認したい。区分物件最大の特徴は、共用部を区分所有者による自治組織「管理組合」で共同管理すること。運営方法や修繕については管理組合が意思決定し、管理の実務は管理会社に委託するのが一般的だ。共用部の管理費は空室でも毎月払う必要があるが、管理人業務や定期清掃、クレーム対応などの手間を省ける。また、全戸のオーナーが支出する修繕積立金によって、共用部の修繕費用がいきなりオーナー1人に降りかかってくることはない。

ただ、一棟物件のようにオーナーの一存で建物の修繕やバリューアップを図れるわけではないため、管理に問題を抱えた物件を所有してしまうと、オーナー1人の力で大きく改善することが難しい面がある。「マンションは管理を買え」と言われる所以だ。また、区分所有者の中で実需入居者に比べて投資家の割合が多い場合、物件の管理状態への関心が薄いことから、ずさんな管理で物件のスラム化が早まるといった懸念が指摘されることもある。

しかし、芦沢さんは「30年ほどにわたって数千の区分物件を見てきましたが、スラム化して賃貸商品足り得なくなった建物はほぼ見たことがない」と断言する。「いくら投資用でも自分の資産がスラム化するのを望むオーナーはいないし、スラム化して賃貸価値がなくなっては管理会社も飯の種を失う。物件は管理組合、管理会社、入居者によって監視されているわけで、賃貸商品として稼働できる平均点の管理状態で保たれていくんです」

■「管理のポートフォリオ」

この前提の上で、芦沢さんが区分管理で重要だと考えていることについてみていきたい。

芦沢さんは「区分物件の最大のメリットは、一棟物件と違って部屋ごとに管理手法を最適化できること」と語る。「同じ部屋でも入居者が変われば状況も変わるため、入れ替わるたびに最適な管理手法を選択することでコストと手間を省いて効率を上げる。つまり区分の管理で最も重要なのは、『入居者に合わせて部屋ごとに最適な管理システムを構築すること』です」

芦沢さんは現在、中古ワンルームを中心に55棟・56室を所有しているが、管理手法は以下の4タイプを使い分けている。

■A:家賃保証
毎月家賃の10~15%程度の手数料で、空室時でも家賃を保証。更新料や礼金は業者の取り分となる。オーナーの手間がかからないのがメリットだが、保証額が減額されるなどのリスクもある。

■B:家主代行
毎月5~7%程度の管理委託料と、入居時1カ月分・契約更新時0.5カ月分の手数料がかかる。家賃回収やクレーム対応、修繕などは全て管理会社が行う。

■C:一般管理
毎月の管理委託料は発生しないが、管理会社が簡単な家賃催促や退去立ち合い、内装リフォーム、クレーム対応なども行ってくれることがある。契約更新時の手数料は管理会社に支払い、入居者募集などはオーナー自身も行う。
 
■D:自主管理
Cに近いが、家賃回収から退去立ち合い、クレーム対応、内装リフォームなどほぼ全ての管理業務をオーナー自身が行う。

芦沢さんによると、所有物件の管理形態はA~Dが1:4:4:1程度の割合だという。「私が『Dでやりますから』と言って客付け業者さんに入居付けしてもらった後、その業者さんが『うちの方でもこれぐらいやりますよ』とCに移行してくれるパターンがけっこうあります。最近は競争が激化しているので、サービスの向上で物件を取り込もうとするケースが増えているようです」

■「最適化」の考え方

「部屋ごとに最適な管理システム」はどのように判断すればいいのだろうか。芦沢さんの不動産投資経験を基に考えてみたい。

芦沢さんは1995年に自宅を賃貸に出したのが大家業の始まりだった。バブル崩壊後はローンが焦げ付いたAの家賃保証付き物件を買い、保証期間が切れればBの家主代行に切り替えて投資効率を上げていった。「管理形態は基本的に、実質利回りと自分が取れるリスクのバランスを考えて選んでいくことが重要だと思います。私の場合は最初の物件で自ら入居付けをして管理する練習をしたことで、のちのち業者の入居付けや管理能力が測れるようになりました」

購入後に別の管理形態に切り替えるケースも多い。「例えば物件近くの優良企業が寮として借り上げているのにAで管理されているような部屋なら、購入と同時にCに切り替える。逆に、自分が直接業者さん経由で埋めた入居者に手間がかかりそうであれば、後から管理会社を入れるかその業者さんに代行管理してもらう。また、もしBで買った物件に生活保護受給者が入居したら、行政から毎月自動的に家賃が振り込まれるように契約してCに切り替えてもいいんです」

区分は同じ建物内で部屋ごとにオーナーと管理が分かれているため、トラブル時は権利関係が複雑になる。例えば自分の所有する部屋で漏水が発生した場合、自分と自分の部屋の入居者・管理会社、下の部屋のオーナー・入居者・管理会社、さらに管理組合、共用部管理会社といった利害関係者が絡んでくる。「専有部同士や専有部と共用部など、複数の利害関係者にまたがる問題が発生する物件は、共用部管理会社に専有部管理もまとめて任せた方が良いこともあります」

■家賃保証システムを活用した「裏技」

Aの家賃保証はオーナーにとっては安心できる管理形態だが、手数料が高いという問題がある。しかし、芦沢さんによると「使える会社が限定されますが、空室リスクを抑えながら手取りを増やす『裏技』もある」という。

「例えば、家主代行から家賃保証への切り替えは前月までに連絡すれば可能、という場合。家主代行の状態で退去連絡があったら、すぐ家賃保証に切り替えれば従来の家賃の85%ほどで入金が続きます。そして次の契約更新時に入居がついていたら、家主代行へ切り替えれば入金額は自動的に上がり、業者が取っていた礼金と更新料もオーナーに入るようになる。同じ管理会社であれば空室時は家賃保証に戻れるので、空室リスクを抑えながら戸数を増やすことができます」

■こういう管理会社には注意

管理会社を選ぶ際は、事業拡大の基本方針を見極めることが重要だという。「区分物件に重点を置いたまま管理戸数を増やす方針なのか、短期で一棟物件にシフトする予定なのか。例えば区分で管理戸数500室まで増えたら一棟にシフトする計画でも、表向きはあえて公表しない会社もある。そうなると、500室以降に区分の部屋を管理委託した場合、表向きは『引き受けます』と言っても捨て置かれる可能性があるので、会社としての大きな流れを見ておくことです」

管理物件を高めの家賃設定にし、空室を理由に過剰なリフォームを提案してくる会社にも注意が必要という。「初心者の方が見ると『こんなにきれいで家賃も上がってすごい』と思ってしまうんですが、その付加価値は会社と折半になる。私が運営しているような狭小区分ならそこまでしなくても入居は付きます。利益優先主義にシフトしていると分かった場合は、契約を切ることもあります」

大手チェーン系だと、不要なオプションメニューを提案してくるケースも多い。「例えば『芦沢さんの物件は3点ユニットなのでこのままじゃ入居がつきません。テレビも冷蔵庫も家具も置けば入居つきますよ』と言ってくる。どんな成功事例があるのかと聞いてみると、駅から遠く離れた木造アパートの話なんです。当然、同じ3点ユニットでも都心の区分と郊外の木造アパートでは全く違うわけですが、初心者大家さんだと分からないこともあると思います」

■一点集中で「VIP」になるために

次に、入居付けについて考えていきたい。Bの家主代行の場合、オーナーはどのような方法で早期入居を実現していけばいいのだろうか。

芦沢さんは「相場賃料であれば結局、成約は本気を出したプロの腕とやる気次第」と断言する。「私の部屋を本命物件だと業者さんが考えてくれれば、成約しそうな顧客を一本釣りして、私の部屋より低品質・高価格の部屋を2、3件同行し、最後に私の部屋を見せてから店舗でクロージングして決める。『本命』になるためには自分と自分の物件の優先度を上げてもらうことが必要なんです」

入居付けの優先度を上げてもらうための一般的な手段は、懇意にしている管理会社に管理物件を集中させること。支払う管理料の総額を上げ、その管理会社の中で自分と自分の物件の地位を高める戦略だ。「ただ、区分オーナーの場合は普通の管理会社にこの作戦を取ったとしても、一棟物件のオーナーのようにVIP扱いされることはなく、ワンオブゼムのままになってしまう」と芦沢さんは言う。

では、どうすればいいのだろうか。「区分のオーナーがVIPになる方法は、創業間もなくて管理物件を欲しがっている小さな会社や、夫婦二人で区分管理だけをやっているような小さな管理会社に、その会社の得意エリアにある物件だけを集中させることです。ただしそういった小さな会社は不安定なので、優秀な社員が退職してしまったり、管理以外の業態を始めて管理が手抜きになったりと、明らかに管理能力が低下した場合は別の会社に変える必要があります」

■「空室が出たら最優先で」

区分の管理会社は既存会社の社員が独立して起業するケースが多いため、起業前からの関係性をうまく生かす方法もある。「起業時に投資家の紹介などでサポートしていた会社は、社長が『管理料も仲介手数料もいらない』と言って、空室が出たら最優先で1週間以内に入居付けするよう社員指導してくれていました。内装工事も業者の見積りのままでマージンゼロ。社長が変わった途端に特別扱いはなくなって見積りもとんでもない額になったので、契約を解消しましたが」

芦沢さんはこういった会社ではなく、全国チェーンの大手管理会社にも管理を委託している。「大手の場合は完全にオートメーションシステムで、何があっても平均点で淡々と回る。ただ、いわばロボットのようなもので、オーナー1人1人の名前なんて知らないし、『空室を埋めたら商品券』といった個別インセンティブなど通じない。大手でワンオブゼムとなってシステムに乗るか、小さな会社を転々としてVIPであり続けるか、どちらを選ぶかという判断になります」

■入居者より営業マン目線

Cの一般管理やDの自主管理の場合は、空室対策を自らの判断で実行し、賃貸ニーズを肌で感じながらPDCAサイクルを回すことができる。

芦沢さんは自ら行う客付けについて「内見客より先に、まず営業マンに『この部屋なら案内すれば決まる、自分の成績につながる』と思ってもらうことが第一歩」という考え方。「広告料や謝礼を上乗せする前に、まずリフォームや設備などで賃料相応の商品価値に仕上げるのが基本。営業マンに『この価格でこの部屋は無理』と思われたら、大家がどれだけ頑張っても意味がない。目先のインセンティブに走りがちですが、まずは現場を見て問題点を把握することです」

空室が出た場合は、Cで管理してくれる複数の会社に一斉に客付けを依頼。真っ先に入居を付けた会社に管理委託することを繰り返していくと、客付けの力があって管理手数料不要の会社に物件が集中していく。「区分は一棟と比べて管理契約が重くない商習慣で、管理会社の乗り換えは嫌がられない。最悪の場合は1カ月程度の違約金を払って手切れし、実力のある管理会社に任せる方が合理的です」

管理会社の動きが鈍い場合、直接客付け業者を店舗ごとに回って広告料を提案し、シャワートイレやテレビインターフォン、サーモ水栓など差別化した要素の写真をつけた自作のマイソクを渡す。「マイソクを自作しても各社は自社のフォーマットに作り替えるので、入居者に届くことはない。私が作るマイソクは、入居者のためではなく営業マン向け。電話一本で連絡するオーナーと、自作のマイソクを持って店舗まで出向くオーナーとでは、見る目が全く違ってきます」

定期的な御用聞きも欠かさない。「業者は個人のワンルームの1室など記憶に残らないので、定期的に顔出しして覚えてもらう。一棟もののオーナーは当たり前にしていることですが、区分のオーナーでそこまでする人は少ないので差別化できる。日ごろの営業活動の成果で、今では入居中でも『空いてませんか?』と優先的に連絡がもらえるようになりました。あとは電話がいつでも通じること。内見確認時に電話してつながらない大家は客付けのプロから相手にされません」

■ワンルームならではの戦略的セルフリフォーム

昨年5月に定年を迎え、自由に動ける時間が増えた芦沢さん。フルタイムのサラリーマン時代は不可能だった現場作業ができるようになったことで、長年温めていたワンルームの戦略的なセルフリフォ―ムの実験を始めた。

「区分ワンルームの零細大家が差別化仕様の工事を依頼しても、断られるか非常に割高になり、繁忙期には工期を後回しにされます。私の所有物件は56戸全て単純なワンルーム仕様なので、同じノウハウで自ら現場対応ができ、効率的に最小のコストと時間で完成できる。設備品のアップグレードは知恵と技術があれば対応でき、一度施工すれば効果は入居入れ替え後も長年持続するんです」

昨年11月、この実験目的で、自宅から3分の距離で1991年築の区分を空室で購入。募集してすぐに4月から大学に入る女性の入居が決まったが、リフォームを依頼する職人が捕まらなかったため、さっそくセルフリフォームのモデルとして試すことにした。

インターネットで必要な部材を調べて購入し、2カ月ほどかけて電気周りから水道まで、一通り業者に力を借りずに修繕やアップグレードを行った。30年物の古い電気コンロを外してIHを設置し、ユニットバスにシャワートイレを付け、水道蛇口栓を最新のサーモ式に取り換え、シャワーはイオン水流切り替え式にするなど、全て独学で行った。

「最新設備の業者用施工マニュアルや、プロが買う特殊な工具なども、今は全てネットで購入できます。プロは多種類の在庫や工具を持つ必要がありますが、私はほぼ同じ仕様のワンルームなので、一度覚えた工法は横転換でき、配電部材や水道配管径、ネジピッチなども全室で使い回せる。多彩な間取りの一棟物件だったら膨大な種類と金額になるので、これこそワンルームの強みだと思います」

古い玄関ドアチャイムをカラーインターフォンに変える作業は、管理会社を通すと5万円ほどかかるところ、今回は材料代9000円で30分以内で完了した。「こういった工事は建物の配線自体に手を加えなければ一般の方もしていいんですが、例えば裸の線を専門の工具でインターフォンの電源端子に固定するような作業は、私のように電気工事士資格を持っていないとできないので注意が必要です」

どれだけのコスト削減につながったのだろうか。「IHとユニットバス、キッチン、シャワートイレで通常は16万円ほどかかるところ、約4万円で済みました。業者さんは多忙ということで4月以降の工事予定でしたが、私は2月中に完成したので、時間の面でも前倒しすることができました」

この実験はその後も生きているという。「3月に5室退去が出たんですが、リフォーム依頼をかける前に全て申し込みが入ってしまったんです。もう入居者が決まっているので、今回も全て自分でリフォームしました。海外旅行用のスーツケースに部材と特殊工具を詰め込んで毎日電車で通い、3月中に完了。ただ、この方法をずっと続けるのは体力的に難しいので、それが新しい課題ですね」



長年の経験に裏打ちされた管理の最適化・グルーピングで、低コストでの満室経営を実現している芦沢さんだが、大前提として、貴重な上流情報を得て鉄板の立地に物件を購入していることを忘れてはいけない。長きにわたって満室経営を実現している実績があるからこそ、管理会社とも信頼関係を築けているのだ。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:5月22日(水)11時00分

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株式会社ファーストロジック

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