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最低賃金の全国一律化で所得格差は縮まるか 一方で経営維持が困難な企業が出てくる懸念も

5月20日(月)11時41分配信 THE PAGE

全国平均で最低賃金1000円を目指す方針

写真はイメージ(写真:アフロ)
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写真はイメージ(写真:アフロ)
 地域によって差が付けられている最低賃金の全国一律化が検討されています。首都圏と地方の所得格差縮小が期待される反面、地域によっては経営が維持できなくなる企業が出てくるとの懸念もあるようです。

 現在、最低賃金は地域の実状に合わせる形で、都道府県ごとに水準が決定されています。2018年度の最低賃金を見ると、もっとも高い東京は985円でしたが、もっとも安い鹿児島では761円でした。このところ物価上昇が顕著となっていることから、政府は最低賃金を徐々に引き上げ、最終的には全国平均で1000円を目指す方針ですが、今回の一律化の議論は、夏の参院選に向けて自民党内から出てきたものです(菅官房長官が一律化の検討を否定するという出来事もありましたが、党内での検討は続いているようです)。

 首都圏と地方の賃金格差は激しく、地域によってはフルタイムで働いても年収が200万円程度というのが常識となっています。潜在的に地方への移住を希望している人は多いと言われますが、現実に移住を実現した人はごくわずかしかいません。移住を躊躇する理由の一つは賃金の低さであることはいうまでもないでしょう。

 最低賃金が上昇したからといってすぐに平均年収が上昇するわけではありませんが、もし最低賃金の全国一律化が実現すれば、地方の事業者に昇給を促す効果があるのは間違いありません。首都圏と地方の格差がなくなれば、地方移住も促進されると考えられます。

賃金上昇によって雇用が失われる可能性も

 しかしながら、現実には様々な問題が発生する可能性があり、実現するのは簡単ではないとの声もあります。地方の場合、最低賃金ギリギリで社員を雇うことで何とか経営を維持している企業が多く、一律の最低賃金が適用されてしまうと、こうした企業の経営は一気に苦しくなります。大手メーカーは消費地である大都市からの距離が遠い地域にも多くの工場を建設していますが、その理由は賃金が安いからです。もし地方の賃金が上昇すれば、最悪の場合、工場が撤退し、逆に雇用が失われる可能性もあるわけです。

 もっとも日本経済は製造業からサービス業にシフトしており、現時点で製造業に従事している労働者は全体の16%に過ぎません。これからは工場の誘致ではなく、消費拡大によって地域経済を活性化させる政策が求められています。労働者の所得が増えれば、それに伴って消費も拡大しますから、一律賃金をうまく導入できれば、地方経済を活性化させるひとつのきっかけになるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月20日(月)11時41分

THE PAGE

 

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