ここから本文です

米中協議は何らかの形で合意する公算大!?米ドル/円はすでに底打ちした可能性も

5月18日(土)14時01分配信 ザイFX!

■米中貿易戦争はもはや「文明の対決」にまで発展する勢い

世界の通貨VS円 日足 (出所:ザイFX!)
拡大写真
世界の通貨VS円 日足 (出所:ザイFX!)
 米中貿易戦における応酬、もはや「貿易戦」の枠組みをはみだし、大袈裟に言えば「文明の対決」にまで発展する勢いを見せている。

 ゆえに、マーケット全体はリスクオフの流れに包まれ、また円高の進行が確認されるのも当然の成り行きと思われる。

 しかし、冷静に考えてみれば、「文明の対決」だからこそ、歴史的な長期戦になるはずなので、短期間の決着は望めない。

 ゆえに、米中対立が激化したとの理由でマーケットがベア(下落)トレンドに入り、リスクオフの流れが続く、といった発想もおかしい。

 なぜなら、どんな材料であれ、マーケットにおける「賞味期限」があるので、目先の値動きが市場の内部構造に沿わないのであれば、いずれ本来のトレンドへ戻るはずだからだ。

■トランプ氏の決断自体は非難される点は少ない

 このような可能性を、まずファンダメンタルズ上の理由から説明したい。

 対中関税の引き上げを実施した米国に対して、中国も報復措置を発表したが、その実施が6月1日(土)からだという。このような発表から、決してキリのいい日付を選んだのではなく、対米合意、または妥協を探る期間を残したい、という中国側の意図が透けて見える。

 ギリギリまで合意の可能性を探る戦術は、別に中国のみではなく、世界各国が外交の場において多用してきたが、中国はその手口に精通しており、また上手いことは周知のとおりだ。

 もっとも、今回の米側の関税引き上げは、唐突に行われたものではなく、随分延期してきた経緯があっただけに、トランプ氏の決断自体、非難される点は少ないかと思う。

■「瀬戸際戦術」を仕掛ける中国だが、実情は…

 トランプ氏を激怒させたのは、中国がいったん合意した内容をほぼ白紙に戻したことだ。統治集団(即ち中国共産党)の利益を守るため、「瀬戸際戦術」をもってギリギリまで有利な条件を引き出す習近平氏の思惑が強いと思われるが、このまま決裂したらまずい、という実情もうかがえる。

 なにしろ、対米完全決裂ということは、WTO(世界貿易機関)の形骸化が進む目下において、中国が世界貿易体系から締め出されることを意味する。

 完全決裂なら、米国は圧倒的な力で遠慮なく中国をたたける(ファーウェイ製品禁止令は最新の好例)から、いくら習近平氏とはいえ、ここまで無知また傲慢に米国を敵に回す可能性は小さい。

 急速な景気後退があれば、国民や党内の不満を招き、自らの地位を揺るがしかねないから、ここでいったん妥協点を探り、鄧小平氏の教えである「蹈光养晦(とうこうようかい・能ある鷹は爪を隠す、あるいは力をためてこれからのリベンジに備える)」路線に戻るのがもっとも現実的であり、また、そうするしかないと思う。

■中国が表面上強硬姿勢をとる理由とは?

 では、なぜ中国は表面上、ここまで強硬に出ているのか。

 1つは、習近平氏をはじめ、最近の中国共産党指導部は自国の力を過信するところが大きい、ということがある。高度成長を続け、庶民の生活レベルの著しい向上やIT技術の発達など、大きな成績を収めてきた中国共産党は、自らの体制を正当化することができ、また自らの「能力」や「正義」に確信を深めている。

 その上、習近平氏がリーダーに選ばれて以降、「中国夢」が象徴するように、また「一帯一路」の推進に見られるように、習氏は自らの指揮で世界をリードする大国のイメージ形成に腐心してきた。

 ここで安易な対米妥協があれば、自ら築いてきた大国の指導者のイメージを崩すことになるから、国内保守派からの避難はもちろんだが、彼自信の「メンツ」がつぶれることを一番恐れているかもしれない。

 人治体制の国家では、いわゆる「首脳のメンツ」がなによりも大事にされるから、北朝鮮ほどではないものの、習近平氏の「鶴の一声」で、すでにできた合意を白紙まで戻させたのもそのためだと思う。

■ギリギリで対米合意がいったん達成される公算は大きい

 いずれにせよ、結論を申し上げると、前述の理由から、米中合意の紆余曲折自体がむしろ当然のことで、米中合意が安易に達成できるといった発想自体バカバカしい。

 この意味では、これまでのマーケットにおける楽観的なセンチメント自体が行きすぎであり、いったんリスクオフへのチェンジも、途中の調整として必要かもしれない。

 しかし重要なのは、中国の置かれている状況から考えて、ギリギリで対米合意が何らかの形でいったん達成される公算は大きく(達成後も闘争が続くが…)、リスクオフの流れも、あくまで途中の調整と見なすべきであろう。

■NYダウは再上昇、米ドル/円は底打ちの可能性も

(出所:Bloomberg)
拡大写真
(出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足
拡大写真
米ドル/円 日足
 テクニカル上の視点において、まず強調したいのは、米国株のブル(上昇)基調だ。確かにNYダウは史上最高値の再更新には至らなかったが、ナスダックやS&P500指数の高値更新が確認された以上、このままベアトレンドへ復帰するよりも、途中の調整を経てブルトレンドを一段と加速していく公算が大きい。

 昨年(2018年)から米ドル/円は、日米金利差よりも米国株との連動性を強めてきているから、そのような相関性を維持しているとみる。

 したがって、前回のコラムでも指摘したように、米ドル/円の下値余地は限定的で、もしかしたら109円の節目前後をサポートとした値動きで、すでにいったん底打ちした可能性も無視できない。

■リスクオフの流れ、間もなくいったん終焉?

上海総合指数 日足 (出所:Bloomberg)
拡大写真
上海総合指数 日足 (出所:Bloomberg)
世界の通貨VS円 日足 (出所:ザイFX!)
拡大写真
世界の通貨VS円 日足 (出所:ザイFX!)
 このような視点をもつ背景には、「本家」の上海株の動向を見逃せない。上海株は今年(2019年)第1四半期の急上昇をもって昨年(2018年)の下落分をほぼ取り戻し、その後米中対立の激化で急落してきたが、5月10日(金)安値の2838ポイント前後をポイントに、むしろ横ばいの傾向を示し、200日移動平均線(200日線)にさえトライしていない状況だ。

 これは大きな示唆となるから、詳細は次回にて説明したいが、株式市場の先見性を尊重するなら、リスクオフの流れは、間もなくいったん終焉という可能性を無視できない。

 もう1つ問題はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)だ。クロス円における円高は、単純に円高ではなく、外貨安の側面も大きいから、ドルインデックスの状況からみないといけない。

 結論を申し上げると、クロス円の多くもそろそろ底打ちのタイミングにあるから、次回詳説したい。

 市況はいかに。
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

最終更新:5月18日(土)14時01分

ザイFX!

 

情報提供元(外部サイト)

ザイFX!

世界経済と米ドル/円相場の見通しは? スプレッド最狭のFX会社はどこ? …FX情報サイト「ザイFX!」がFXと為替の疑問をズバリ解決! ビットコイン・仮想通貨情報も!

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

ヘッドライン