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もうネクタイをする夏には戻れない! 社会変化で大打撃の業界

5月17日(金)19時00分配信 LIMO

歴史的な10連休が終り、”クールビズ”の季節へ

写真:LIMO [リーモ]
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写真:LIMO [リーモ]
あの歴史的な10連休が終わってから早10日が過ぎました。今となっては懐かしく感じている人も多いでしょう。

その10連休が終わった途端に、東北地方を除いた全国で一気に初夏という感じの気温上昇が続いています。既に夏日(最高気温が25度超)は珍しくはなく、真夏日(最高気温が30度超)も出始めました。幸い、まだ湿度が低いので“爽やかな暑さ”と言えなくもありませんが、あと2~3週間後には蒸し暑い日々を過ごすことになりそうです。

さて、連休明けの5月7日からは環境省を中心に早くもクールビズがスタートしました。6月1日から導入する企業が多いようですが、9月末までクールビズが続くことになります(一部は10月末まで)。

ところで、クールビズって何のことでしょうか? 

実は、クールビズには厳格な定義はありません。一応、夏期に行われる環境対策などを目的とした衣服の軽装化キャンペーンを意味しているようですが、実態としては“ノーネクタイ、ノージャケットのビジネスカジュアル”と考えていいでしょう。そして、実質的には男性のみが対象になっていると思われます。

さらに最近では、夏季だけでなく通年でノーネクタイを認める企業も増えています。

十数年前は真夏でもネクタイが当然だった

さて、男性サラリーマンの中には、“クールビズのおかげで、昔に比べれば夏の暑さもしのぎやすくなった”と感じている方も多いと推察されます。

今から十数年前までは、どんな酷暑でも社内・社外を問わず、男性会社員はネクタイ着用が当然でした。誰一人、少なくとも表立っては愚痴一つこぼさずにネクタイを着用していたのです。

真夏に喉元を締め付けるネクタイのあの苦しさは、女性に理解してもらうのは難しいかもしれません。あの苦しさから解放されるだけで、少なくとも気分的には涼しくなるのは確かでしょう。

小泉政権によるクールビズの本格導入は2005年から

今では当たり前となった夏季期間のクールビズですが、本格導入されたのは2005年(平成17年)からです。当時の小泉政権が旗振り役となり、多くの国会議員や地方議員にも“奨励”したことで、日本社会に根付くきっかけとなりました。

しかし、この新しいドレスコード(服装基準)が認知されようとした2005年6月、日本ネクタイ組合連合会が当時の小泉首相や各閣僚に抗議声明文を提出しています。ご記憶にある方もいらっしゃるでしょう。

声明内容は正確に覚えていませんが、“クールビズの影響でネクタイの売上が減少する”というものだったと記憶しています。すると、小泉首相は“これをビジネスチャンスに変えてほしい”という内容の返答をしたと、筆者は鮮明に覚えています。

いずれにせよ、日本ネクタイ組合連合会が、クールビズの浸透に深刻な危機感を持ったことは確かです。あれから14年弱が経過していますが、実際にネクタイの需要はどうなったのでしょうか。

ネクタイ需要は信じられないくらいに激減

結論から言うと、ネクタイ需要は激減しています。日本ネクタイ組合連合会を構成する大組織の東京ネクタイ協同組合によれば、ネクタイの国内生産本数は、2005年の約1,164万本から2017年には約398万本へと▲66%減っています。ちょうど3分の1になったわけです。

また、輸入品を含めた本数で見ても、同じく4,026万本から2,085万本へ▲48%以上の減少です。輸入品を含めた本数は国内の需要全体を意味しますが、こちらはザックリ言えば半減でしょうか。

これだけ需要が激減して、何の影響もないはずがありません。しかも、国産ネクタイの需要激減が著しいことを勘案すると、ネクタイ業界では廃業に追い込まれた業者も少なくないと推察されます。

結果として社会ニーズの変化に対応できなかったネクタイ業界

実は、民主党政権が本格始動した2010年、日本ネクタイ組合連合会は当時の環境大臣にクールビズの廃止を陳情しています。自民党が無理でも、民主党なら理解してもらえると考えたのでしょうか? 

心情的には理解できないことはありません。しかし、クールビズ導入から5年も経過してなお、新たな一手を打てなかったところに、ネクタイ業界の限界を感じます。結果として、ネクタイ業界は社会ニーズの変化に対応できなかったと言えるでしょう。

今後も、こうした些細なことで始まる社会ニーズの変化により、消滅する業界、淘汰される業界、そして、新たに興隆してくる業界があるでしょう。それを注目していきたいと思います。
葛西 裕一

最終更新:5月17日(金)21時30分

LIMO

 

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