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トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明(全文3)協調の精神が重要

5月8日(水)17時36分配信 THE PAGE

培ってきた3つの競争力について説明する豊田社長
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培ってきた3つの競争力について説明する豊田社長
 トヨタ自動車は8日午後、2019年3月期決算の説明会を開いた。決算概要の説明後、豊田章男社長が今後の事業方針を説明した。

※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「トヨタ、2019年3月期の決算発表 豊田社長が事業方針説明」に対応しております。

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激化する競争にどう対応するのか

共同通信:共同通信の【ナカジマ 00:44:35】と申します。研究開発費について伺いたいんですが、この20年3月期、1兆1000億円ということで過去最高水準を見込んでおられると思います。今はケース対応など、新しい技術への研究開発費というのがどんどん必要になってきてる状況かと思うんですが、海外のIT大手などがここへの投資を積みます中で、トヨタさんとしてこの水準、十分というふうにお考えなのかということと、今度どうやって、激化する競争に対応していくのかっていう、その辺りのお考えを伺えますでしょうか。

小林:経費というのは【試験研究費 00:45:10】も含めて、出せば出すほど、やっぱり利益を圧縮して、結果的に高いものをお渡しする。ですから原価低減って言ってるわけですけれども、これはプライオリティーといいますか、順番付けの差だと思います。で、今、コネクティッドとかケースとか、それの対応は、だいたい試験研究費の中のだいたい4割弱です。

 これを、おそらく近いうちに5割ぐらいにはもっていくんじゃないか。かと言って、車の基本性能とか、まだいろいろやることが山ほど、まだまだ未熟な産業です、車というのは。お客さんに向けて、もっといい車を造ると、豊田社長も申し上げてますのでね、それにあわせて要素技術とか基礎研究とかいうのも必要ですので、それをうまくバランス取りながらやっていきたいなと。だからこの金額だからだとか、この比率だからいいというのはなかなか難しいです。

司会:はい。よろしいでしょうか。それでは予定の時間となりましたので、こちらで第1部を終了させていただきます。第2部は10分間の休憩を挟みまして、14時10分より開始いたしますので、よろしくお願いいたします。

第2部の出席役員紹介

司会:それでは第2部の出席役員をご紹介いたします。社長の豊田章男でございます。

豊田:こんにちは。

司会:副社長の小林耕士でございます。

小林:こんにちは。

司会:副社長の寺師茂樹でございます。執行役員の白柳正義でございます。それでは社長の豊田より、ご説明申し上げます。

豊田社長、就任以降を振り返る

豊田:お待たせいたしました、豊田でございます。本日はお忙しい中ご足労いただき誠にありがとうございます。まず本年も私どもの車をご愛好いただきました世界中のお客さま、そして1人1人のお客さまへ笑顔をお届けするために、ご尽力いただきました販売店、仕入先の皆さまに深く感謝申し上げます。また、日頃よりトヨタを支えていただいております株主の皆さまや、ビジネスパートナーの皆さまをはじめとする、全てのステークホルダーの皆さまに、厚く御礼を申し上げます。

 平成が終わり、令和の時代が始まりました。私が社長に就任したのが平成21年6月ですので、平成の最後の10年間を社長としてトヨタの経営のかじ取りをさせていただいたことになります。最初の3年間はリーマンショック後の赤字転落、米国に端を発した大規模リコール問題、東日本大震災、タイの大洪水など、危機対応に明け暮れた期間だったと思います。大変つらい時期ではありましたが、多くの危機に直面をし、会社としての一体感、求心力が高まった時期でもあったと思っております。

 私自身でいえば、急成長しても急降下すれば多くのステークホルダーの方々にご迷惑をお掛けするということを痛感いたしました。どんなに経営環境が悪化したとしても、むしろ悪化したときほど年輪を刻むように着実に成長し続ける会社にならなければならない、そのためにはとにかく競争力をつけなければならない。持続的成長と競争力強化、この2つを心に誓い、脳裏に刻み込んだのがこの時期でありました。

 次の3年間は、「意志ある踊り場」と表現した期間です。いったん立ち止まってでも、トヨタ生産方式、TPSに根付いた競争力のある生産現場を実現する、TNGAをベースに競争力のある、もっといい車づくりを実現する、未来に飛躍するためにトヨタがもともと持っていた強み、トヨタらしさに磨きをかける期間にしたかったのですが、十分にはできなかったというのが私の自己評価です。

 この3年間で痛感したことは、平時における改革の難しさです。直近の4年間はトヨタらしさを取り戻すことと、未来に向けてトヨタをモデルチェンジすることの両方に同時に取り組んだ期間といえると思います。トヨタの真骨頂であるTPSと原価のつくり込みの再強化を掲げ、生産現場のみならず事務職場や技術職場でも、無駄・むら・無理の徹底的な排除に取り組んでおります。

ぶれない軸こそがTPSと原価をつくり込む力

 いつも申し上げてることですが、100年に一度といわれる大変革の時代、変化することが求められる時代だからこそ、ぶれない軸、変えてはいけないことを明確にしておくことが必要だと思っております。そして、ぶれない軸こそがTPSと原価をつくり込む力だと思うのです。

 この10年間、トヨタの経営のかじ取りをしていく中で、また、大変革期に突入したという認識を持つ中で、トヨタをモビリティーカンパニーにフルモデルチェンジすることこそが私の使命であるとの思いに至りました。モビリティーカンパニーとは、物づくりを中心に、モビリティーに関わるあらゆるサービスを提供する会社です。

 これまでの自動車産業は、確立されたビジネスモデルの中で成長を続けてまいりました。たくさんの自動車会社がありますが、各ブランドは差別化されていて、それぞれのお客さまがいらっしゃる。魅力的な新型車を出せばお客さまが買い換えてくださる。買い換えられた車は中古車となり、そこでも市場が存在する。車を買っていただいたあとも、保険やメンテナンスなどのバリューチェーンが確立されている、非常によくできたビジネスモデルだと思います。

 しかし今、CASEと呼ばれる技術革新により、車の概念そのものが変わろうとしております。これからの車は情報により、まちとつながり、人々の暮らしを支えるあらゆるサービスとつながることによって、社会システムの一部になります。

 それは、これまでのビジネスモデルそのものが壊れる可能性があるということを意味しているのです。CASEにより車の概念が変われば、私たちのビジネスモデルも変えていかなければなりません。しかし変えてはいけないもの、むしろ、磨き続けていくべきものもあると思います。

 まずは磨き続けていくものについて申し上げます。私はこれから先、どんなに車が進化したとしても、決して変わらないものがあると思っております。

 それは車はリアルの世界で使われるということです。私たちは1台のコンセプトカーをつくってきたわけではありません。100万台規模で量産し、一度、世に送り出した製品は、10年後も20年後も安全で安心して使い続けていただける、リアルの世界をつくってまいりました。これは決して簡単なことではありません。このリアルの世界で培ってきた私たちの競争力は、大きくまとめると3つあると考えております。

培ってきた3つの競争力

 1つ目は、TPSに基づく物づくりの力です。先ほど申し上げましたとおり、これこそがトヨタグループの全ての競争力のベースであり、今後も磨き続けていくべき、ぶれない軸と考えております。

 TPSには改善後は改善前という言葉があります。常に今よりもっと良いやり方があると考え、どんどんやり方を変えていく。当然、失敗することもたくさんありますが、失敗の中から学び、さらに良いやり方をつなげていく。私は、イノベーションはどこからか突然訪れるものではなく、インプルーブメントが呼び込むものだと考えております。

 この改善の力こそが、これまでも、そしてこれからも、私たちの持続的成長を支える競争力の源泉になると思うのです。そして、この物づくりの力をグループの視点で強化していく取り組みが、ホーム&アウェイという戦略になります。TPSという共通言語を持つグループ企業だからこそ実現できる物づくりの力があると思っております。

 2つ目は世界中に張り巡らされたネットワークの力です。トヨタ車およびレクサス車の販売拠点数はレンタリース店も合わせますと日本国内に6000拠点。全世界では約1万6000拠点に上ります。また、私たちにはグループ会社や仕入先などの巨大なサプライチェーンもあります。これらのネットワークが自動車の製造販売だけでなく、新たなサービスにも活用していくことができれば、私たちの未来は大きく広がります。
 
 これからはお客さまとの接点となるラストワンマイルが勝負を分ける時代です。車だけでなく住宅やコネクティッド事業を自前で持っていることも、私たちの大きなアドバンテージになると思っております。

 3つ目が保有の力です。トヨタ車とレクサス車の全世界の年間販売台数は950万台ですが、全世界の保有台数は1億台以上に上ります。そこにはトヨタという企業に対する信頼があると思います。豊田喜一郎による創業から80年以上、お客さまに向き合い続け、お客さまと築き上げてきた信頼関係があるからこそ実現できる世界があると思っております。

 これから新しいモビリティーやサービスを提供していく上で、トヨタを信頼してくださるお客さまが世界中にいらっしゃることこそが、何にも代えがたい私たちの財産です。

 こうした3つの力は、物づくりの世界で戦ってきた私たちが持つ、一朝一夕ではつくれないリアルの力です。このリアルの力を磨き続けることがトヨタオリジナルの競争力を高めることになると考えております。

VTRによるCASEに向けた取り組み説明

 次にCASEの時代に合わせて変えていくべきものについてお話をさせていただきます。その前にこちらの映像をご覧ください。

(VTR開始 01:07:56)

豊田(VTR):It's my goal to transition Toyota from an automobile company to a mobility company. 今回の新型クラウンとカローラは、お客さまにリアルなコネクティッド体験を提供するモデルです。

男性(VTR):これまでの完成車の提供だけではなく、トヨタは今後、電動車両化の技術のシステムサプライヤーとして地球規模での電動車両の普及に貢献をしてまいりたいというふうに思います。

豊田(VTR):私ども自動車産業は、世界のさまざまな国でビジネスを展開してきております。その国の経済やその市の人々に求められる存在でありたいと願い、その地がホームカントリー、ホームタウンであるとの思いでやってまいりました。

 それに加えて、これからの自動車産業にはホームプラネットという概念も必要になってきたと考えております。CASEが進んでいけばそのつながりの中では国境という概念は薄れてまいります。また、空を見上げれば、空に国の境はなく、地球規模となっている環境問題など、われわれのふるさとであるホームプラネットへの思いを持って考えていかなければなりません。

(VTR終了 01:12:08)

環境技術は普及しなければ地球環境改善に役立たない

豊田:今、CASEに向けた私たちの取り組みをご覧いただきましたが、特にCASEの中の、E、電動化を例にビジネスモデルの転換について補足をさせていただきます。これまでの私たちは燃料電池自動車FCVでも、電気自動車EVでも、ガソリン車と同じように完成車として販売店に卸し、販売店を通じて個人のお客さまにお届けするという形にとらわれていたように思います。

 確かにハイブリッドカーまでは、このビジネスモデルは有効だったと思いますが、新たなインフラを必要とするFCVやEVでは通用しないかもしれません。FCVやEVの導入を進めるに当たり、あらためて私たちがやらなければならないことはなんなのか、ということを自問自答いたしました。

 そして原点に立ち戻り、出した答えが普及です。環境技術は普及しなければ地球環境改善に役立つことはできません。そう考えたときに、これまでとは違う発想が必要となってまいります。乗用車や個人向けにこだわらず、商用車や官公庁、法人から広げていく、単独開発にこだわらず、仲間と共同で開発する。特許を囲い込むのではなく、開放して仲間を増やす。車だけではなく、使い方とセットでシステムを売る。つまり、これまでの発想を転換し、より幅広く、よりオープンに、より良い社会ヘの貢献を追求することが新しいビジネスモデルにつながるのではないかと考えているのです。

 これから先は人々の暮らしを支える全てのもの・サービスが情報でつながっていく時代に入ってまいります。私たちのビジネスを考える上でも、車単体ではなく、車を含めたまち全体、社会全体という大きな視野で考えること、すなわち、コネクティッドシティという発想が必要となります。コネクティッドシティにおいては、共創と協調、特に協調の精神が重要になってくると思います。

 世の中に目を向けますと保護主義的な考え方が広がっております。資源のない日本が単独では生きていくことができないように、私たち企業も単独では生きていくことはできません。そのことを身にしみて理解しているのは日本という国であり、日本で生まれ育ったグローバル企業なのかもしれません。これからは仲間づくりがキーワードとなります。従来のような資本の論理で傘下に収めるという考え方では、本当の意味での仲間はつくれないと思います。

 どんな未来をつくりたいのかという目的を共有し、お互いの強みを認め合い、お互いの競争力を高め合いながら協調していくことが求められると思っております。私たちトヨタでいえば、地球環境に優しく、交通事故のない社会、全ての人が自由に楽しく移動できる「FUN TO DRIVE」な社会の実現を目指してまいります。

【書き起こし】トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明 全文4に続く

最終更新:5月8日(水)18時10分

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