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「若者に逃げられる会社」が知らない4つの視点

4月26日(金)5時20分配信 東洋経済オンライン

3年以内の早期離職率が3割を超える昨今。若者が長くいたいと思う会社は何が違うのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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3年以内の早期離職率が3割を超える昨今。若者が長くいたいと思う会社は何が違うのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
 デジタルネイティブとして育った現在20代後半~30代のミレニアル世代、それより若いジェネレーションZと呼ばれる現在の20代前半が、労働人口の約1/3を占めるようになってきています。彼らは、仕事や労働に対する価値観も多様化している世代で、総じて一律的なものの見方が多い今の管理職世代との価値観とはちょっと違います。

 仕事の取り組み方に関して言えば、彼らにおける会社の「位置づけ」が大きく変わってきています。それは「就社」から「就職」への意識の変化といえるでしょう。1つの会社への忠誠から自分の成長へ軸がシフトしているのです。
■「自分が成長できるかどうか」が大切

 今年の就活も売り手市場と言われていますが、就活生の意識にもそれが表れています。リクルートキャリアの調査で、就職予定の学生に入社の決め手となった項目を尋ねたところ、1位となったのは、「自らの成長が期待できる」で全体の約半数(47%)に上りました。次に「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」の項目が続いています。年収や企業規模などの項目ではありませんでした。
 成長志向と関連してもう1つ興味深いデータがあります。アデコグループが13カ国の若者に対して行った2017年の調査で、「あなたは将来の職業に必要なスキルを身につけていますか?」と尋ねたところ、「持っている」と回答したのは日本ではわずか30%だけで、世界で最下位の数字でした。13カ国平均では73%が持っていると回答しているのと比べて半分以下です。

 これらを見ると、日本の若者はまだまだ自分のスキルに不安を持っており、将来に備えてもっとスキルを身につけたい、だからこそ自分が成長できる機会のある企業へ就職し、自分磨きを行いたいとの意識が高まっていると言えます。
 海外でも、若い世代ほど成長志向が強まる傾向にあるようです。アメリカのHRテック企業のレポートによれば、企業で働く人の68%が、働く環境において最も重視することとして、その会社の人材育成方針を挙げており、ことミレニアル世代に関しては87%が、専門性を伸ばせることが非常に大事であると答えています。

 一方で、厚生労働省の調査によると、大卒以上の新卒社員が3年以内に離職する率(早期離職率)は、恒常的に3割を超える水準にあり、人材不足が叫ばれる中で若者のリテンション対策は待ったなしとなっています。そこで今回は、せっかく入社してもらった人材に長く活躍してもらうために、企業ができることを4つ紹介しましょう。
 1. 社内SNSなどオンラインコミュニティを通じ、社員同士の対話を促す

 企業はまず社員を理解することから始めましょう。社員が働くことを通じて何を得たいのか知って、そのうえでどうしたらそれを支援できるのか考えるのです。成長に貪欲な若者はスキルアップの機会を求めています。

 この会社で働くことでどんなスキルが身につくのか、キャリアが積めるのか、周りのほかの社員はどんな仕事をやっていて、どんなキャリアの可能性があるのか知ることが大切です。いろんな部門の先輩の経験や試行錯誤など知ることは、ロールモデルを見つけるのにも有効です。
■オンラインコミュティの強みとは

 例えばA社では、新入社員が入社したらまず顔写真と名前、履歴、現在の所属部署や担当分野などを人材データベース化して公開。得意分野や趣味を含めた自由記入の自己紹介欄も設けています。

 さらに、社内におけるコミュニティを誰でも作れる仕組みにしており、例えば、「新入社員研修」のグループでは、研修に集まった社員が、すぐにお互いの顔と名前がわかるだけでなく、研修の予定や講師の経歴などを検索することが可能。コミュニティ内で質問をすることもできます。
 もちろんカジュアルなランチ会なども有効ですが、オンラインでのデジタル空間を活用するほうが活発化します。自分の都合のいい時間にいつでも見ることができ、デジタルでのほうが若者にとっては自由に発言もしやすいものです。

 自由参加型のオンラインコミュニティがあれば、自分の仕事のテーマや興味に合わせて探求することもできます。役職や立場に関係なく、オープンに話せる環境をこうしたコミュニティで作りましょう。会社への帰属意識も高まります。
 さらにコミュニティでは集合知を活かせるので、若手社員からの質問なども解決策を見つけやすくなります。「8月発売予定の新製品情報」「創業の経緯」などのコミュティも社員同士で学び合うことができる環境です。情報を仕事に活かすこともでき、社員の生産性の向上にも役立ちます。

 2. メンター制度を取り入れる

 先輩社員が相談相手となり後輩にアドバイスを行うメンター制度の活用も有効です。デロイトが世界36カ国のミレニアル世代の社員を対象に行った調査によれば、「いまの会社で5年以上勤めるつもりだ」と答えた人の割合は、メンター制度のある会社ほど多く、制度のない会社と比べると2倍以上の開きがあるということです。
 先輩だけでなく同僚の社員同士のメンタリングも効果的です。できれば、他部門の社員同士でメンタリングができるとよいでしょう。オンラインコミュニティでのコミュニケーションが習慣化されていれば、コミュニティでの発言を見てメンターになってもらいたい人を見つけることもできます。

 前述のA社では、新入社員はコミュニティを通じて先輩の発言を見て、この部署の○○さんにメンターをしてもらいたい、と希望が出せるそうです。自然と積極的に会社に関わるという点でよい仕組みだと思います。タテとヨコ、両方のつながりで助言が得られれば、視野が広がり、自分の今後のキャリアを考える際に役立ちます。職場の連帯感も強まるでしょう。
■頻繁にフィードバックが欲しい

 3. 建設的なフィードバックを継続的に行う

 世の中のスピードはどんどん上がってきています。あふれる情報を日々取捨選択して過ごしているデジタル世代は、すぐに返信や反応を見ることに慣れています。いまどきの若者は、1年や半年ごとの人事考課だけでなく、頻繁にフィードバックをもらいたいと考える傾向にあるようです。

 そしてそのフィードバックとは上司からの正式なものだけを指しているわけではありません。多くの参加者がいるオンラインコミュニティやチャットでの「いいね!」に相当するさまざまな反応を含みます。コメントがなくても簡単ないいね! だけでも賛同してくれている人の数でモチベーションも上がります。
 社員それぞれのニーズに応じたフィードバックが得られることで、やる気が向上し、仕事の効率や生産性も上がるでしょう。得られたフィードバックは長期的な目標達成のための糧になるのです。

 最近ではこれらのフィードバックを視覚化し、ゲームの要素を取り入れて(ゲーミフィケーション)ポイントを加算、ポイント獲得に応じて優秀賞などのバッジを自分のプロフィールにつけ、モチベーションを上げる人材マネジメントの機能もあります。
 コーナーストーンオンデマンドでもリーダーボードという機能でバッジ表彰を人材ハブのページで行っています。弊社では、どれだけ自主的に学習コースを履修したかということも奨励しているので、他者からのフィードバックだけでなく、自主学習時間も考慮したアルゴリズムによりポイントが加算されており、これをチームや部門での上位10名をデジタル表彰しています。

■最新のテクノロジーで学習をしたい

 4.最新のテクノロジーで成長を促す機会を提供する
 いまどきの若者にとっては、テクノロジーの導入が進んでいるか否かも重大な関心事です。最新のテクノロジーを企業が取り入れていれば、それを自在に使えること自体が楽しみでもあります。

 また、能力開発のための学習管理システムを取り入れれば、社員のエンゲージメントが50%向上するとの調査データもあります。オンライントレーニングのあり方も、今やその人にあった学習教材をAIが判断し自動的に推奨してくれたりします。
 さらにゲーム感覚で学べる教材や、eBookや動画、ポッドキャストなど、短期集中で勉強できるマイクロラーニング向けの教材もあり、社員が自ら成長の機会を見つけやすく、また継続して自分のペースで自由に学べるようになってきています。

 自動化やデジタル化はあらゆる方面で進んでいますが、学習においても、新しいテクノロジーで自分の弱みや好みを可視化しいろんな学びができるのは、成長したい若者にはとても魅力的です。
 社員のキャリアアップにかけるコストを惜しまず、テクノロジーも取り入れたスマートな人材育成戦略を実践することは、すなわち「われわれはあなたたちの成長と能力開発を非常に重視していますよ」というメッセージを社員に伝えることです。

 それは、上辺だけの言葉より何倍も説得力のある方法なのです。成長に重きを置くいまどきの若者たちも「この会社は自分の将来のためにこれだけ投資してくれているのだ」と実感できれば、仕事の満足感も高まり、組織の屋台骨を担う戦力として長く活躍してくれるに違いありません。
小谷 敦子 :コーナーストーンオンデマンド マーケティングシニアディレクター

最終更新:4月26日(金)5時20分

東洋経済オンライン

 

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