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「仕事の段取りが悪い人」ができていないキホン

4月26日(金)5時10分配信 東洋経済オンライン

仕事の段取りが良い人と悪い人の差はどこから生まれるのでしょうか(写真:iStock/taa22)
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仕事の段取りが良い人と悪い人の差はどこから生まれるのでしょうか(写真:iStock/taa22)
仕事において「いい段取りで、相手の期待を上回るパフォーマンスを示すことができれば、信用を高めることができる」というのは頭では分かっているものの、なかなかできないのがつらいところ。
偏差値30台の問題児からケンブリッジ大学大学院進学、ベストセラー作家となった塚本亮氏の新著『ケンブリッジ式1分間段取り術』では、読者がその効果をすぐに感じられるよう、ケンブリッジで学んだ心理学の知見を交えて、段取り力を劇的に高める方法を記しています。今回は、その一部を塚本氏が解説します。
■「ここだけの話」で情報の質を高める

 いい段取りをするためには、いい情報が欠かせません。今の時代はインターネットによる情報革命のおかげで、あらゆる情報が手に入るようになりました。しかも多くの情報が無料で手に入るので、何か調べたいことがあるときは、すぐにネットで解決、としてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。

 しかし、誰でもアクセスできる情報にはあまり価値がありません。価値を生むのは、いつも誰もが手に入れられない情報です。それらを入手するために必要なのは、自分で体験することで得られる一次情報。そして、信頼できる人から聞いた情報です。私はさまざまな業界の方とお仕事をさせていただきますが、飲み会の席や打ち合わせで出てくる話は、ネットはもちろんのこと、本にも書かれていない情報が山ほどあります。書けない情報、と言ったほうが早いのかもしれません。
 どこの業界がどのように動いているか。どういうところに課題があるのか。考えたら当たり前の話なのですが、ライバル企業に知られたくない新プロジェクトの計画を、誰にでもベラベラと話したり、ネットに公開したりするはずがありませんよね。水面下でじわじわとプロジェクトを進めて、ここぞというときにそれをパブリックにします。見えている世界というのは、氷山の一角にすぎないのです。

 だから、「ここだけの話」はあちこちにいっぱい存在します。業界のトップは話せない話を話しています。だから水面下の動きを把握するためには、異業種の人と交流しなければいけない。そのためにも日頃から、社外にも飛び出して、さまざまなジャンルの業界の人とのつながりを持ち、深めておく。そうすると新鮮で、質の高い情報が入ってくるようになるのです。
 また、現場に行って得る一次情報の価値は、ますます高まっています。なんと言っても一次情報には説得力があります。なぜならば、「なにを言うか」はもちろん大切なのですが、「誰が言うか」も同じくらい大切なのです。留学したことがない人が留学の魅力を語るよりも、経験がある人が語ったほうが説得力がありますよね。自分はやらないのに良いことを語られても心が動きません。

 ネットや本で情報を得るのも、もちろん大切。しかし、自分で行って、見て、聞いて、嗅いで、触れて、味わってと、五感すべてから入力された情報が一次情報なわけですが、ただどこかから入手した情報を元に考えることと実際体験したことを元に考えることでは、深さが違います。
 100点満点の段取りなんて、そもそもありません。しかし、情報をたくさん持っているかどうかが段取りに大きな影響を与えることは事実です。コツコツと積み上げる質の高い情報は、あなたならではの価値を生むうえでの、大きな資産となるのです。

■やることを2つに分類する

 段取りを考えるうえで重要なのは、脳が最も活発な時間帯に最も集中力を必要とする仕事をすることです。脳が疲れた状態のときに気合でなんとかしようと思っても、全然進まなかったり、クオリティーが低いものができてしまったりするからです。夜に眠い目をこすって頑張って仕上げた資料を翌朝見直ししたら、「全然ダメじゃんこれ。やり直さないと」となった経験がある人は少なくないでしょう。
 ですから、高いパフォーマンスを発揮するためには、まずタスクを大きく2つに分類することが重要です。それは、集中力が必要なタスクと、それほど必要でないタスクです。

 例えば、重要な書類作りや、文章の作成、企画を考えることなどは集中力を要します。一方で、メールのチェックや電話をかけること、プリントやコピーをすることなどは、とくに集中力を必要としませんよね。私の場合で言うと、本の執筆をしたり、講演や仕事の資料を作成したりすることが多いのですが、まさにこれらは集中力を要します。脳が働かない、集中できる環境がないときにいくら頑張ろうと思っても、手が進みません。
 逆に簡単な書類の確認作業やメールの返信などは、それほど集中力がなくてもできますから、スキマ時間にでも十分できますし、集中力があまり保てない脳が疲れているときでも問題ありません。段取りの悪い人は、まとまった時間が取れる時間帯に、スキマ時間でもなんとかなることに取り組んでしまって、集中力が必要な仕事にちゃんと時間を割けない、脳がもう疲れて働かない、という事態に陥ってしまいます。

 何をやるか、ということも大事ですし、いつやるかということも同じく重要なのですが、それをないがしろにして自分を追い込んでしまっていては、自信を失いかねませんよね。タスクをしっかりと分けて、それぞれいつやるのかを段取りしないと、このようなマイナスのスパイラルにはまってしまいます。
 ついでに言うと、これは何も仕事の話だけではありません。キャリアアップのために英語や資格などの勉強に励んでいる人もいるでしょう。例えば英単語を覚えるとき、単語帳を覚えるようなタスクの場合は、別に机に向かっていなければならないということはありませんよね。電車の中や、バスの中、テレビを見ながらでもできます。一方で文章問題を解いたり、小論文やレポートを書いたりということはまとまった時間と集中力を要します。
 まとまった時間を必要としないような作業系のタスクは細切れの時間を活用すればいいですが、まとまった時間で集中して取り組まなければならないものはそのための時間を確保して取り組まないと、非効率のスパイラルにはまって「ああダメだな」となってしまいます。人間の脳は集中できる時間帯が1日の中で限られているので、その時間帯に集中力を要するタスクを入れていかないと、仕事や勉強は思うように進まず、無力感へとつながっていくのです。
 まずは仕事でも勉強でも、タスクを思考系と作業系に分類しましょう。そしてそれぞれを「いつやるのか」ということをしっかりと考えましょう。あなたのポテンシャルを最大限に引き出す段取りは、そこから始まります。

■パターン化でメッシになる

 世界一のサッカー選手だと言われるバルセロナで活躍するリオネル・メッシは、走らないことで有名です。1試合あたりの走行距離はトッププレーヤーの中でも平均値以下。それでも毎年世界トップのゴール数を記録しています。それも世界トップのリーグで、です。
 それは、闇雲に90分間走り続けるだけではなく、勝負のポイントを見極めてダッシュして、高い技術や得点能力を発揮しているからなのです。つねにダッシュしているのではなく、力を抜いている。しかし、勝負のポイントだと見極めた瞬間にダッシュして、持てる力を発揮するのです。

 仕事で結果を出している人を思い浮かべると、同じことが言えますよね。逆に頑張っているのに結果が出ていない人は、力の入れどころ・抜きどころを意識していないから、ここぞというときにジョギングしている感じになってしまっているわけです。段取りにおいて大切なことは、力の入れどころと抜きどころを明確にすることです。
 すべてに頑張る必要性はなく、むしろ手を抜いていいところは抜いたほうがいい。その1つの方法としては、パターン化しておけるものはパターン化しておくことで、余分なエネルギーをそこに割く必要がなくなります。

 その典型的なものがメールではないでしょうか。スマホであれば、「おは」と入力したら候補のところに「おはよう」「おはようございます」というものが表示されるので、それを選択すれば入力がラクです。

 この便利な機能を使わずに、毎回1文字ずつ入力することには意味はありませんよね。私は仕事柄、日本語だけでなく英語でもメールを書く機会がありますが、どちらの言語においてもメールで使う言葉というのはある程度パターン化できるのではないでしょうか。
 「先日はありがとうございました」などの簡単な挨拶に始まって、要件を伝えて、締めの挨拶をして、それで終わりです。挨拶文や締めの文はたいてい決まっていますよね。毎回入力するのは時間とエネルギーがもったいないですから、常套句をパソコンやスマートフォンのユーザー辞書に短文登録しています。

 「め」と入力して変換するだけで、「いつもお世話になっております」「ご無沙汰しております」「お手数ですが、ご検討ください」「今後とも、よろしくお願いいたします」 のような常套句が20ほど出てくるようになっているので、一発で入力できてしまいます。
■力を抜けることは徹底的にパターン化する

 メールのほとんどがハンバーガーのような構成ですから、バンズはパターンでこなして、メインパーツに力を入れる、ということはすぐにできるはずです。英語も同じように登録しておくことで、素早く常套句を引っ張り出せるので、メールに割く時間を一気に短縮できてしまいます。

 マーケティングにおいて全体の2割である優良顧客が売上の8割を上げているという「パレートの法則」はビジネスではよく登場する言葉なので、今さら説明する必要もないかと思いますが、ある仕事の成果を左右するポイントは全体の2割にすぎないかもしれません。そこにエネルギーの8割を割くことが大きな成果を上げるためには必要で、残りの8割はこれまでにこなしてきた仕事から抽出したパターンやテンプレートなどの型でこなすことができるのではないでしょうか。
 段取りを組むときには、どこに最も自分のアイデアやエネルギーを費やす必要があるかを徹底して考えましょう。そして力を抜いてパターンでこなせるものは、徹底してパターン化してしまいましょう。
塚本 亮 :ジーエルアカデミア 代表取締役

最終更新:4月26日(金)5時10分

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