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「テロ未対策原発」に規制委が厳しく停止を迫る裏事情

4月26日(金)14時40分配信 ダイヤモンド・オンライン

原発勝ち組である関電と九電が最終赤字に転落する悪夢に再び襲われるかもしれない Photo:PIXTA
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原発勝ち組である関電と九電が最終赤字に転落する悪夢に再び襲われるかもしれない Photo:PIXTA
 “お上”が怒りの鉄槌を下した。原子力規制委員会は4月24日、各原子力発電所に設置を義務付けているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、原則として原発の運転を認めない方針を決めた。

 今のところ、対象になるのは関西電力、九州電力、四国電力の原発10基。そのうち、関電の大飯原発(福井県)4号機、高浜原発(同県)3、4号機、九電の川内原発(鹿児島県)1、2号機、四電の伊方原発(愛媛県)3号機の計6基が運転中で、運転停止を余儀なくされる可能性が高い。

 なぜ原子力規制委はテロ対策未完の原発を停止する方針を決めたのか。

 きっかけは、4月17日に原子力規制委と各電力会社の原子力部門の責任者の間で行われた意見交換会だった。“ご説明”に上がった電力会社側は、あれこれと理由を付けてテロ対策施設の設置が1~3年ほど遅れるという見通しを明らかにした。

 テロ対策施設は、11年の東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発事故への反省から13年7月に施行された新規制基準(安全対策の新基準)の中で、一律に18年7月までに完成させるよう定められた。その後、原子力規制委の安全審査の長期化などもあり、同委は15年11月に経過措置として原発ごとに原発本体の工事計画認可を得た日から5年以内の猶予期間を与えた。
 電力会社側は今回、この猶予期間を延長してくれるよう“特段の配慮”を求めた。「最悪の事態にはならないだろう」と高をくくっていたところ、原子力規制委の更田豊志委員長は「規制に不適合な状況を見過ごすわけにはいかない」と要求を突っぱねた。「工事だけでなく、規制当局の出方に対する認識が甘かった。(窮状を)訴えれば何とかなると思ったら大間違い」と憤りを隠さなかった。

 業界関係者は、「“あの判決”以降、原子力規制委員会はより厳しくなった」と語る。

 あの判決とは、伊方原発3号機の運転差し止めを命じた17年12月の広島高裁決定を指す。この仮処分決定の理由の中で、伊方原発3号機が新規制基準に適合するとした原子力規制委の判断が「不合理だ」と指弾された。のちにこの仮処分は取り消されたものの、原子力規制委は存在意義を問われる目にあった。

 以来、原子力規制委はより厳しい姿勢で電力業界と向き合うようになったというのだ。各原発は稼働前に原子力規制委の安全審査をクリアする必要があり、直近で安全審査をクリアした日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)は、その期間が4年を超えた。電力業界側の不手際もあるのだろうが、「嫌がらせかと思うほど、細かい指摘もある。自分に火の粉がかからないよう必死なのでは」と別の業界関係者はこぼす。
● 電力会社が陥るLNG高値掴みのリスク

 テロ対策が未完成の原発が止まったからといって停電するわけではない。各電力会社は日々、お題目のように“電力の安定供給”を唱えている。この最大のミッションを果たすために、代替で火力発電所をフル稼働させることになる。

 これは、東日本大震災による東京電力福島第一原発事故後に、全国で原発が次々と停止に追い込まれた状況と全く同じだ。

 原発の再稼働が他社より進んでいる関電や九電の場合、代替の火力発電所をフル稼働させれば、燃料費が年間でそれぞれ現在より1000億円前後かさむことになる。主に原発の代替対象となるのは液化天然ガス(LNG)が燃料の火力発電所で、当然原発より発電コストが高いからだ。

 原発依存度がもともと高かった関電や九電は東日本大震災後にLNG購入費で収益が圧迫され、両社とも12年度から4期連続で最終赤字を計上した。震災以降、電力各社は同じ轍を踏まないよう、LNGの調達先の多様化や契約の柔軟性などに取り組みコスト削減に努めてはいるが、それでも関電、九電は再びLNGを高値でつかまされるリスクに直面するだろう。

 というのも、両社はテロ対策施設完成の猶予期限をほぼ2020年代前半に迎える。この時期、世界のLNGマーケットは、経済成長が見込まれる中国、インドをはじめ東南アジアでも需要が旺盛になり、需給がタイトになると予想されている。

 震災後にコツコツと再稼働に漕ぎ着けた“原発勝ち組”が、再び最終赤字に転落する悪夢に襲われるかもしれず、それは電気料金の値上げという形で消費者も巻き込みかねない。

 (ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ダイヤモンド編集部/堀内 亮

最終更新:4月26日(金)14時40分

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