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不動産会社もア然、「2000万円」指値の現場《楽待新聞》

4月26日(金)15時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
「20数年間この業界で働いていますが、こんな指値は通ったことがない」。物件を仲介した不動産会社の専務は振り返ってこう語る。

そんな「非常識な指値」を成功させたのは、地方高利回り物件を中心に投資規模を拡大している中島亮さん。売り出し価格7500万円のアパートを、最終的に5400万円まで値引くことに成功した。指値を成功させた秘訣は何だったのか? 中島さんの実例とともに振り返る。

■普通に公開されていた物件

「物件概要書を見た段階で、指値できそうだなと思いました」

そう語る中島さんが不動産会社から紹介を受けたのは、群馬県館林市・築30年の軽量鉄骨造のアパート。国道近くの物件ではあるものの、24世帯中16世帯が空室の状態。売り出し価格は7500万円と、地方高利回り物件を探す中島さんにとっては少し高額の物件だった。しかし、そこに指値ができるチャンスを見出したのだ。

「7500万円で利回り16.5%の地方物件となると少々高額、つまり投資家が数字だけを見て検討から外している可能性が高い。また、空室率がここまで高いと融資がつきづらいため、買える投資家が減っていくんです」と中島さん。ライバルが減るということは、自分の買付が通りやすくなることを意味する。

「この物件は立地がいいし、大手ハウスメーカー施工だから、建物や地盤などに致命的な問題はないのでは」。そう考えた中島さんは、すぐに金融機関に融資の打診をした。その結果、他の所有物件を共同担保に出すことで融資の内諾がでたため、そのまま物件の内見を申し込んだ。

■原状回復がされていない部屋は「チャンス」

後日、中島さんは物件の内見へと向かった。当日は指値の材料を集めるため、リフォーム業者と、地場で賃貸仲介を行う管理会社の担当者に同行してもらった。

物件にはいいところが沢山あった。土地面積が広く、駐車場は1世帯2台確保できる。外壁は再塗装の必要がありそうなものの、クラックや雨漏りなどの致命的な瑕疵は見当たらない。事前に聞いていたよりも空室が3部屋増えていたが、外観を見る限り「買ってはいけない」物件ではないと判断してよさそうだった。ところが部屋の中に足を踏み入れると驚愕の風景があった。2階の部屋の天井が抜け落ちていたのだ。

経験の浅い投資家ならこれだけで尻込みしてしまうだろう。しかし、中島さんは「これだけの戸数が空室なのに、原状回復をしていないのは売主が賃貸経営にやる気がなくなっている証拠。指値が通るチャンスだ」と捉える。

幸い、天井は致命的な欠陥ではなく、1部屋4万円ほどで修復できるとリフォーム会社に確認できた。一通り物件をチェックした後は、不動産会社から売主の情報を集めていく。

■ライバルからの満額買付

不動産は相対契約。売主と買主で価格を決めるため、交渉相手の売主の情報を集めることは必須となる。大幅な指値が成功する可能性はどれくらいあるか。また、どこまで指値できるかは相手によって大きく変わる。

「不動産会社の担当から、売主は地主で、お金に困っているわけではない、という情報を得ました。そうなると空室をそのままにしていることにも合点がいきますね」。地主の場合、不動産価格の相場を知らない可能性は高い。投資家や不動産会社ではなく、交渉しやすい相手であることが確認できた。

次は、競合となる購入希望者の調査。中島さんは「内見申し込みの状況や、買付が入っているか、また、どれくらい指値が効くかの基準となる『過去に指値が入っているか』を聞いていきます」

【中島さんが不動産会社に聞いておきたい質問】

・売主はどんな人か(地主・不動産投資家・不動産会社等)
 →地主なら指値がしやすいが、不動産投資家・不動産会社だと難しくなる。
・なぜ売りに出しているのか
 →売却理由が「相続」等であれば、指値がしやすい。
・売り急いでいるのか
 →売り急いでいる場合は、指値がしやすい。
 →「売れても売れなくてもよい」という場合、指値しにくい。
・過去に指値が入ったことはあるか
 →売主が断った指値の金額を把握し、どこまで指値ができるか予測する。
・現在までに買付は入っているのか(ライバルの確認)
 →ライバルがいれば、交渉する金額や条件を優位にする必要がある。

ヒアリングした結果、「利回りが高いので満額で買付が入ったことがある」とのことだったが、加えて「全員融資がおりず、購入に至っていない」との情報を得た。融資がネックとなり、なかなか売れていない状況が続いていると推測できる。ある程度の確信を持ち、不動産会社に「1000万円ほど指値をするかもしれない」と伝え、内見は終了した。

一見、唐突にも思える1000万円という数字。しかしその裏には、中島さんの経験に裏打ちされたさまざまな根拠があった。

■指値の根拠を洗い出す

指値は少しでも安くなればいいというものではなく、シミュレーション上で「利益が出る」金額以上に指値をしなければならない。中島さんはどのように指値の金額を算出したのだろうか。

STEP1:積算価格を1つの基準として計算する

固定資産税評価額:約6300万円
路線価で計算:約5300万円

STEP2:リフォーム費用を計算する

最低限のリフォームを行った場合:約1000万円
更地にする場合の解体費用:約1000万円
(リフォーム会社からの見積り)

STEP3:家賃設定を見直して計算する

物件概要書では想定家賃が4万2000~4万7000円、満室時の表面利回りは16.4%とされているが、管理会社にヒアリングした結果、適正家賃は「3万5000~4万0000円」とかい離があった。適正家賃で再計算を行う。

2DK、3万5000円×8部屋=28万円
3DK、4万0000円×16部屋=64万円
(28万円+64万円)×12か月=1104万円が満室想定家賃収入。

STEP4:見直した家賃設定から利回り20%以上になるよう計算する

現状の売り出し価格から算出すると、利回りは14.7%。
計算式:年間家賃収入1104万円÷売り出し価格7500万円=14.7%
利回り20%以上になるには、5500万円以下の金額にする必要がある。
※「利回り20%」は中島さんの基準

「土地の価格で約6300万円、賃貸できるレベルまで原状回復するにしても、解体するにしても約1000万円かかる。6300万円からを1000万円を引いた『5300万円』で指値します」。リフォーム会社と管理会社の見積りという指値の根拠を沿えて、買付証明書を不動産会社に送信した。

■「大幅な指値」の結果は

後日、不動産会社に出向いた中島さん。買付証明書について説明をする前に、不動産会社から「これは受け付けられません」と一蹴されてしまう。しかしその1週間後、売主からは「5400万円なら」と売り出し価格が提示された。100万円押し戻されたものの、2000万円以上の指値が成功したのである。

仲介した不動産会社の専務は「物元の不動産会社に指値の金額を伝えたところ、最初はあきれたような反応をされました」と振り返る。しかし、これまでの買付と違い融資の内諾をとってきていることを伝え、リフォーム費用についてもプロの見積りであることを話したところ、売主との交渉を行ってもらうことができたという。専務は「融資の内諾がなかったら、絶対に無理だったと思います」と話す。

中島さんは「指値をする自分自身に力をつけておくこと」が重要と考える。買付を通すには多くの買い手の中から選ばれる必要があり、選ばれるには信頼するに足る取引相手になる必要がある。今回中島さんは、リフォーム会社に原状回復費用の見積りをとり、金融機関には事前に融資内諾をとった上で、指値をした。その経緯を不動産会社に説明することで、不動産会社に同意を得ることができたのだ。

契約当日、売主は「相続した物件で、維持もできない状態だったため、値引きがあっても売るしかないと考えていた」と話したという。物件の状態や、事前に不動産会社にヒアリングした情報から、まさに想定していた通りの展開になった。

■これから「指値」を成功させるには

今回の物件購入は「2018年6月」の出来事。スルガ銀行の不正融資問題が報道された2カ月後で、不動産向け融資が引き締まり始めたタイミングだった。中島さんは融資が厳しくなったマイナスの影響を感じる一方、「これからまさに指値ができるチャンス」と意気込む。

「物元の不動産会社も、客付の不動産会社も、どんなに動いても結局決済をしなければ全く利益になりません。買付から契約まで2カ月ほどかかることもありますから、その間の時間もお金もすべて無駄になるわけです。自ら融資先を確保できる人は、これからがチャンスです」。

実際に、中島さんは不動産会社や投資家仲間、インターネットの情報などで得た融資の情報をファイリングするなど、情報収集を怠らない。指値を成功させるために、良き買主になる努力を惜しまない姿勢がそこにあった。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:4月26日(金)15時00分

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株式会社ファーストロジック

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