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就活生がいま知っておくべき「内定のサイン」

4月25日(木)6時30分配信 東洋経済オンライン

選考活動の解禁は実際には6月1日だが、それ以前に企業が内定をほのめかす「サイン」を出す場合がある(写真:shimi/PIXTA)
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選考活動の解禁は実際には6月1日だが、それ以前に企業が内定をほのめかす「サイン」を出す場合がある(写真:shimi/PIXTA)
 2020年卒の新卒採用戦線の動きは早かった。早まった理由は天皇の退位と即位だ。5月1日が即位の日となり、平成から令和へと元号が変わるが、同時に祝日となったことで、4月27日からは5月6日まで10連休となる。その前に採用活動の目鼻をつけたいと考える企業が多く、4月に選考のピークを迎えた。

 すでに多くの学生が内定(内々定)を得ているが、正式な手続きを済ませた学生は少ないはずだ。なぜなら、「採用選考に関する指針(経団連)」が選考活動は6月1日以降と定めているからだ。この指針は2021年卒採用からなくなることになっているが、2020年卒には適用される。
 表向き5月末まで学生を選考しないのだから、内定があるはずはない。しかし、実質的な選考プロセスはとうの昔に始まっており、採用要件を満たす学生を他社に採られないようにしたい。そこで内定の意図を学生に伝えようとする。

 どんな態度や言葉が内定サインとして使われているのか?  2019年卒の学生の経験を紹介してみたい。使用するデータは、HR総研と楽天みん就の共同調査「2019年卒学生 就職活動動向調査」の中で聞いている、「今思えば、あれは内々定のサインだったかも」に対する回答だ。
■4月中に採用のメドをつけたい企業は多い

 今回の調査でコメントしてくれた学生は314人だが、「内定通知書をもらった」(文系・上位私立大)という学生は1人だけだ。この時期までに書類手続きを行う企業はそれほど多いわけではない。ただ「内々定」と明言する企業はかなり多い。

 学生は面接で自分が通ったのかどうかを早く知りたいので、結果を知らせてもらえれば大歓迎だ。

 「内々定が出た際には電話で丁寧に連絡をいただきました」(文系・旧帝大クラス)
 「電話で正式に内々定をいただいた」(理系・上位国公立大)

 「人事の方から、『内々定という形で今後ご案内していきます』という旨の発言があった」(理系・旧帝大クラス)

 「最終面接を受けたときにその場で内々定を明言された」(文系・上位国公立大)

 内定サインでは「6月1日」という期日がよく使われる。現時点での内定を明言せず、「6月1日まで待ってくれ」と言う。まどろっこしい提示だが、実質的な内定サインである。
 「6月1日に来てください、そこで正式に内々定を出します」と言われた(文系・旧帝大クラス)

 「6月1日から順に内々定告知面談をします」と言われた(文系・その他私立大)

 「『内々定とは言えないが、選考は合格です。ぜひ一緒に働きたい。6月1日に会社に来てください』と言われた」(文系・その他私立大)

 要するに「選考活動は6月1日以降」という指針を守るために、内定通知書などの書類手続きを6月1日に始めるという意味だ。
■入社意思の確認の場合も

 内定の意向を伝えずに「6月1日」に来るようにという指示を出す企業もある。今回の回答学生はすべて内定経験としてコメントしているが、確実な内定サインとはいえない。

 企業の意図は、おそらく学生の入社意思の確認だ。明確ならオーケー。はっきりしなければ選考から外される可能性もある。

 「6月1日に自分の気持ちを固めて、来てほしい」(文系・早慶大クラス)

 「6月1日は最終面接だから意思を固めて来てね」(文系・早慶大クラス)
 「6月1日の最終面接前に、『最終面接に来てくれたら内々定を出します』と言われた。最終面接は建前だったと思う」(理系・早慶大クラス)

 次の学生のように昼だけでなく夜の予定も空けるように指示されることがある。これは管理職か先輩が学生の内定を祝って夕食会を開くことを意味している。酒も勧められるだろう。飲みすぎて粗相しないようにしてほしい。

 「電話で6月1日の夜も予定を空けておくように言われた」(文系・上位国公立大)
 学生に対する「一緒に働きたい」というオファーも内定サインとして使われている。「ぜひ」や「働けてうれしい」などの言葉と一緒に使われることが多い。ストレートな内定サインなので、学生は素直に受け止めやすいだろう。

 「『あなたと一緒に働きたい』と言われた」(文系・早慶大クラス)

 「『ぜひ来てほしい、一緒に働きたい』と言われた」(文系・中堅私立大)

 「『これから一緒に働くことができてうれしく思います』と人事から電話が来た」(理系・その他国公立大)
 「一緒に野球がしたいというセリフ」(文系・その他私立大)という変わり種もある。たぶん学生と人事の双方が野球経験者で、学生の話に人事が共感してこの発言が出たように思える。

 バレーボールを使う会話もある。こういう発言はほぼ内々定と考えていい。

 「『次は役員面接ですが、ブロッカーはまったくいないので自分でネットにボールをかけなければ大丈夫です』と、私がバレー部だったことになぞらえて採用責任者に言われた」(文系・早慶大クラス)
■握手も内定サイン

 握手もはっきりした内定サインだ。日本で握手を挨拶として使うことは少なく、合意の身振り言語として使われることが多い。面接での握手は「あなたを評価します。気に入りました」「入社してくれますね」という意思を示している。

 握手は契約ではないが、企業は学生が内定を受諾したものと考える。

 「握手を求められる」(文系・中堅私立大)

 「面接後の握手」(文系・旧帝大クラス)

 握手を内々定という意味で使う企業もある。
 「ぜひうちに来てほしい。6月1日に握手すればいい」(文系・旧帝大クラス)

 笑顔は相手に好感を与える。面接で自然な笑顔を浮かべる学生は評価される。そして、面接官の笑顔は学生に安心感を与え、内定サインと受け取られることもある。

 「志望順位を答えたときに面接官がとても笑顔だったとき」(文系・その他国公立大)

 「面接官が笑顔、またよく褒めてくれる。質問に対して細かく答えてくれる」(文系・中堅私立大)

 「面接官が前のめり、かつ笑顔でこちらの話す内容を聞いていた印象を受けた」(理系・旧帝大クラス)
 注意したいのは「笑顔=内定サイン」とは限らないことだ。握手はほぼ間違いなく内々定を意味していると思われるが、笑顔は表情にすぎない。表情は感情が反映されるので、その面接官が聞き上手だったのかもしれない。

 学生はやさしくされるとうれしくなるようだが、正式に内々定を得るまでは、ぬか喜びしないほうがいい。

■これも内定サインかも

 面接の最中に特別のイベントが組まれることがある。リクルーターとの面談・会食や懇親会がセットされ、ときには管理職や取締役が登場することがある。これらは内定サインであることが多い。ただ、まれに会食を通して「素」の学生を観察するケースもあるので、油断は禁物だ。
 また翌年4月からの研修や業務についての雑談やアドバイスもある。これは入社を前提にした会話だ。

 「内定前に懇親会に呼ばれた」(文系・その他国公立大)

 「面接の帰り際に、来年の4月からの新入社員研修の雑談などをした」(理系・その他国公立大)

 「『うちは入社したら必ず英語が必要だから今から勉強しといて』と言われた」(理系・上位私立大)

 以上は2019年卒就活で先輩が体験した内定サインだ。このほかにも「うちに絞ってほしい」「他社を辞退してほしい」という言い方が見られた。「来年4月に会いたい」という言い方もある。
 ただ、どんな言い方、態度で示されてもサインはサインだ。書面になっていなければ口約束にすぎない。大手企業が正式な内定通知書を出すのは10月1日以降だが、6月1日以降は、「内定」あるいは「内々定」だとはっきり伝えてくれるはずだ。

 もうすぐ10連休が始まる。連休中も採用活動を継続する企業は少数派だろう。「平成」から「令和」に変わる節目でもある。就活生の皆さんにも、できればここで一休みしてもらいたいところである。
佃 光博 :HR総研ライター

最終更新:4月25日(木)6時30分

東洋経済オンライン

 

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