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アメリカ不動産市況は、日本に影響を及ぼさない?

4月23日(火)15時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
世界経済にも大きな影響がある、米国の市況。日本でも報道されることはありますが、実際のところ、米国の不動産市況はどのようになっているのでしょうか?

今回は、米国在住の不動産投資家・石原博光さんが、日々のニュースや自身の体験から、米国の不動産市況のイマと今後を語ります。

■アメリカで物件を買うなら「秋から冬」!?

こんにちは、石原博光です。

米国の春は、不動産市場が活気づく季節です。Tax Return(タックスリターン、確定申告)の時期だからです。日本では3月が締め切りですが、米国は4月です。また、米国には日本で言う「年末調整」のようなシステムがないため、基本的には全員が確定申告を行わなくてはなりません。

この時期は、売買も賃貸も動きます。源泉徴収で払いすぎていたお金が戻ってくる時期だからでしょうか。4月から9月にかけてが引っ越しのハイシーズンです。1年間でアメリカ人は4000万人が引っ越しますが、そのうち80%がここに集中します。つまり売る側からすると、高く売れる時期であり、貸し手市場でもあり、経験上、最も家賃を上げやすい時期だとも思います。

反対に、物件を安く買いたいなら秋から静かな冬にかけてがおすすめです。ハロウィーンやサンクスギビングデー、クリスマスといったイベントが続くせいか、市場に人がいなくなってしまいます。市場が冷え込むので、安く買えるチャンスが多いのです。

さて、今回は「米国の不動産投資市況」を少しご紹介できればと思います。日本でも「米国の物件価格は右肩上がり」など、さまざま報道があると聞きますが、実際のところがどうなのか、僕の経験などからお話してみます。

■「底堅く物件価値(価格)が上昇」している

僕は2014年に永住権を得て、米国に渡りました。初めて米国の物件を購入したのは、渡米前の2012年。この物件の価値は、毎年、対前年比で10%程度ずつ上がっています。

僕の住むカリフォルニア州ベーカーズフィールドでは、2006年ごろに物件価格の最高値を迎えています。その後一度バブルが崩壊して、物件価格が3分の1程度まで落ち込みました。そこからは回復基調で価格が上昇し続けているのですが、いまだバブルのころの価格にまでは戻っていません。

そういう意味では、底堅さのある上昇カーブをキープしているのでは、と思っています。

そんな状況なので、毎週のように「売ってほしい」という手紙、はがき、電話が止まりません。依頼者は投資家グループや、買取再販会社が多いですね。今の価格で買って、リフォームしてまた売っても価値がさらに上がる可能性が高いのでしょう。こういう手法を、米国では「Flip(フリップ、転売)」と呼びます。

ただ、日本人である僕自身は「土地神話の崩壊」の記憶があるため、Flipについてはどうしても慎重に見てしまい、少し怖気づいてしまいます。今のベーカーズフィールドは、大都市圏の物件に手を出せなくなった投資家たちがバンバン入ってきており、僕らが手を出せないボロボロの物件が立ち並ぶブロックや、治安が悪くて危険なエリアの物件も買っていきますが、今後がちょっとコワイな、というのが正直な感想です。

■大都市の物件価格は尋常ではない

ここまでは、ベーカーズフィールドという地方都市の話でした。では、大都市はどうなのでしょうか。

一言でいうと、大都市の物件価格は尋常ではないほどになっています。

例えばロサンゼルスにいる僕の友人の物件は、10年間で物件価格が2倍になったそうです。それに対して、家賃は入居者に配慮が必要なので急に2倍にはできず、なかなか適正価格にしづらいのだと悩んでいました。

先ほどベーカーズフィールドの物件価格は、2006年のピーク時までまだ戻っていないとお話しましたが、サンフランシスコやロサンゼルスでは、このピークの金額を超してしまっているそうです。

なお、この影響なのか、2018年の夏くらいからはこの上昇基調が怪しくなっていると感じています。

日本でも、「アメリカの不動産市場が停滞」というようなニュースが報道されているようです。例えば高い融資金利や所得の増加が住宅価格の上昇に追い付いていない、などの理由で、住宅市場が減速したということですが、基本的にこれらは大都市圏の話です。

アメリカという広い国ですから、1つにはくくれません。もっと言えば、同じ増減率であっても、例えば「物件価格5000万円→1億円」と「1000万円→2000万円」では、総額に対する経済的な許容度が違いますよね。大都市と地方都市でも全く状況は異なりますので、注意していただければと思います。

■なぜアメリカの物件価格は上昇し続けるのか?

では、なぜアメリカの不動産価格はこれまで上昇し続けてきたのでしょうか? その理由として考えられるものはいくつかあります。代表的なものをピックアップしてご紹介しましょう。

・広い国土ながら、都市計画が法律によって厳しく定められているため、むやみに建物が建てられないこと。

・アメリカ全土の人口は8年間で6%増と、増加の一途であること(2018年7月1日現在で約3億2700万人)。

・今後の物件購買層である「ミレニアル世代」(1980年代~90年代生まれの人々のこと)のボリュームが多いこと。

・スクラップ&ビルドの文化ではなく、新規着工件数が落ち込んでいても、その分中古市場への需要が増す市況であること(築100年の木造住宅でも需要がある)。

・最低賃金が上昇の一途であること(1人当たりの所得が2011年から2018年までで25%上昇している)。

・物価上昇率(CPI=不動産を除く商品小売価格)でも、過去36年間で300%上昇していること(日本は同時期に134%の上昇)。

・相続税が低いため、不動産による資産構築が促されること(2019年の連邦税は1人1140万ドル=約12億7680万円、夫婦で2280万ドル=約25億5360万円までが基礎控除額。カリフォルニア州の相続税は無税だが、州法により異なる)。

このように、アメリカの物件価格の上昇の背景には、国としての文化や風土、そして経済状況があると言えます。

■「日本に影響があるか」と聞かれるが…

「こういったアメリカの不動産市況が、日本の不動産市況に影響があると思いますか」と聞かれることがあったのですが、正直に言えばわかりません。別々の状況にある、別々の国の話です。

もちろん、世界経済などに影響を及ぼすことはあるのでしょう。ただ、現在のアメリカの不動産市況が、そのまま日本の不動産市況に直結して影響があるかどうかは疑問です。

また、基本的には上昇しているアメリカの物件価格ですが、「崩壊」が予想されているエリアもあります。それは海面上昇の影響を受けやすい沿岸地域です。聞くところによると、最も危険なのは、マイアミやニューヨークのロングアイランド、サンフランシスコのベイエリアだそうです。

米国内の不動産サイト「Zillow」を使用した調査によると、海面上昇の危険性があるエリアの物件は、同等の物件より7%割安で販売されていたそうです。アメリカでの不動産投資を考えている方は、こうしたこともぜひ、念頭に置いていただければと思います。

■家賃も上がるが、固定資産税も年々上昇

先日、所有する貸家の一つが空きましたが、家賃を1.5割増しで募集したところ一週間で借り手が決まりました。実際には、申し込みが複数あり、審査に落ちる人もいる中で、こちらの条件を満たす方に決めさせていただいたという状況です。

新しい入居者はサービスドッグ(介助犬)を飼っている方で、犬種は「ピットブル」。老犬ですが、実はここで管理会社から待ったがかかりました(ここでピンときた方は、相当「アメリカ通」だと思います)。

というのも、この犬は闘犬用に作られたという歴史があってとても「強い」そうです。国や地域によって飼うことを禁止しているところもあるほど。

そのため、入居者には万が一のことがあってもカバーできる保険への加入をお願いしました。さらに咬傷事故や重大事故が発生しても、貸主責任が訴求されない旨を、保険会社と借主から一筆もらっておくことで解決しました。

おとなしい老犬を前にして、僕には考えがそこまで及びませんでしたので、さすがは管理会社…というお話です。

さてさて、今回も順調に家賃を上げて入居者が決まりましたが、実は固定資産税は年々上がっているので、両手を挙げて喜んでばかりもいられません。そんなインフレの国、アメリカの様子を現地よりリポートさせていただきましたが、今回もお楽しみいただけたらと思います!
不動産投資家・石原 博光

最終更新:4月23日(火)15時00分

不動産投資の楽待

 

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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