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東大生が教える「文章がスラスラ書ける」凄ワザ

4月20日(土)5時40分配信 東洋経済オンライン

面倒な文章作成も、スラスラ書けるようになればストレスはたまりません(画像:D.I.Production /PIXTA)
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面倒な文章作成も、スラスラ書けるようになればストレスはたまりません(画像:D.I.Production /PIXTA)
偏差値35から奇跡の東大合格を果たした西岡壱誠氏。そんな彼にとって、東大入試最大の壁は「全科目記述式」という試験形式だったそうです。
「もともと、作文は『大嫌い』で『大の苦手』でした。でも、東大生がみんなやっている書き方に気づいた途端、『大好き』で『大の得意』になり、東大にも合格することができました」
「誰にでも伝わる文章がスラスラ書けるうえに、頭もよくなる作文術」を新刊『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』にまとめた西岡氏が、「文章をスラスラ書けるようになる」おすすめの「インプット法」について解説します。
■「アウトプットが苦手」には理由がある

 「文章を書こうにも、言葉が1文字も浮かんでこない!」

 「『あなたの考えを話せ』と言われても、何も頭に浮かばない……」

 そんな悩みを持つ人は意外に多いのではないでしょうか? 

 作文にしても説明にしても、なかなか文章を書き始めることができない人は多いです。また、同じように「何か意見はありますか?」「あなたの意見を聞かせてください」と言われたとき、言葉に詰まってしまう人も多いのではないでしょうか? 
 文章を書く場合でも口頭で何かを語る場合でも、「表現する(=アウトプットする)」というのはなかなか大変な行為です。人間、本を読んだり人の話を聞いたりして「知識を吸収する(=インプットする)」ことはすぐできても、その知識をアウトプットするのは時間がかかってしまうものです。

 かく言う僕も、昔は500文字程度の文章を書くのに3時間かけていたり、「あなたの意見を聞かせてください」と言われてから5分経っても話し出せない……なんてことがザラでした。
 「どうして自分はアウトプットするのが下手なんだろうか?」

 そんな風に思い悩んだ時期がすごく長かったです。

 しかし、実は違ったのです。僕は、アウトプットが下手だから文章が書けないものだと思い込んでいたのですが、実際はその逆。

 「インプット」ができていなかったから、「アウトプット」もできていなかったのです。

 そもそも人間は、持っていない情報を語ることはできません。例えばみなさんがAIについてまったく知らないのに「AIについてどう思いますか?」と聞かれたら、どうしますか?  確実に、何も語れませんよね?  自分の持っている情報が皆無なのに、何かを語ることはできません。
 実は表現できない人は、すべての分野においてこれと同じことが起こっているのです。表現できないというのは、そもそも自分の持っている情報がないだけ。ない袖を振ろうとしているから、何も出てこないのです。

 「でも、インプットしているはずなのに話せないんだよね……」「本はたくさん読んでいるはずなのに、語れないんだよ!」

 そういう方もいると思いますが、ここに大きな間違いが存在します。

 実は、インプットには大きく分けて2種類存在するのです。
■2種類の「インプット」を使い分けよう

インプット1:理解・納得のためのインプット
 1つは、「理解・納得のためのインプット」です。

 例えば誰かの説明を聞いたり本を読んだりして、「なるほどね」「そうなのかー」とぼんやり頭の中に入ってくることってありますよね?  これは、自分が理解したり、自分の中で納得するために話を聞いたり本を読んでいる、「理解・納得のためのインプット」です。

 しかし、このインプットは、自分の頭の中には入ってきても、それを誰かに説明したり、それこそ「アウトプット」することは難しいのです。あくまで、「自分が理解・納得できればいい」のですから。
インプット2:アウトプットのためのインプット
 必要なのは、もう1つのインプット。「アウトプットのためのインプット」です。

 例えば誰かの話を聞いたり、ニュースを見たり、本を読んだりする中で、「誰かに話したいな」と思う情報を得ることってありますよね?  「ノートルダム大聖堂が燃えてる!?  早く友達に知らせなきゃ!」って感じです。

 このとき、人は自分が理解・納得する以上の目的を持って情報を吸収しています。つまり、「誰かに話せるレベルまで情報を得る」ということです。アウトプットが前提になっているから、そもそも聞く姿勢も違う。話を聞くときもニュースを見るときも本を読むときも、「あとで自分が話すときがくる!」という意識をもってインプットすることになるのです。
 そういう「アウトプットが前提になっているインプット」ができて初めて、得られる情報があるのです。

 実は多くの人は、「理解・納得のためのインプット」しかしていないのです。「アウトプットのためのインプット」ができていないから、アウトプットすることが難しくなってしまうのです。

 「読む」と「書く」。「聞く」と「話す」。「インプット」と「アウトプット」というのは、実は同時にやることで効果を発揮します。アウトプットを前提としたインプットをしていないと、いつまで経っても1文字も書くことができないのです。同時に実践して、初めて両方ともうまくいくものなのです。
 僕も、「読書」と「作文」を同時に実践して始めて、文章がより深く読めて、そして書けるようになりました。「書けない!」とお悩みの人は、実は書けないのではなく、読めていないから書けないだけなんです。だからこそ、アウトプットが苦手な人は、インプットを見直したほうがいいのです。

■「アウトプットのためのインプット」3ステップ

 さて今日は、そんな「アウトプット」が苦手な人のためにオススメの「インプットの3つのステップ」をご紹介したいと思います! 
STEP1:初歩からインプットしよう! 
 文章が書けるようになって、自分の意見も表明できるようになる究極のインプットとしてすごくオススメなのは、「めちゃくちゃ初歩的なインプットをしてみる」ということです。

 ……「え、何言ってんの?」って感じだと思うのですが、これ、実はアウトプットをするうえで非常に重要なことなのです。

 先ほど僕は、「インプットには2種類ある」という話をしました。「理解・納得のためのインプット」と「アウトプットのためのインプット」。そして、目指すのが後者である場合、難しい本から読みはじめたり、難しい内容の話ばかりを聞こうとするのは絶対にNGなんです。
 なぜなら、アウトプットとは難しいものだからです。

 理解するだけであれば、難しい本を読んでも「わかった!」となると思います。でも、それをいざアウトプットしようと考えてみると、実はすごく難しいのです。

 例えば、みなさんが『上級者向け!  テニスがうまくなるコツ』という本を読んだとします。そのとき、多分みなさんがテニス上級者でなくても、書いてある内容を理解することはできるでしょう。どんな人でも、それこそテニスをやったことがない人でも、「へえ、こうすればテニスがうまくなるんだー」というのは理解できなくはないはずです。
 しかし、それをみなさんは実践できるでしょうか?  それを本当に実践して、テニスの技量を伸ばすことができる人というのは限られてきますよね。

 なぜなら、「わかる」と「できる」には大きな違いがあるからです。理論的にわかっていても、それを実践できるかどうかというのは別問題なのです。

 インプットとアウトプットも、まったく同じです。難しい本を読んだり複雑な話を聞いて、理解することはできるかもしれません。しかし、それをアウトプットできるかは、また別の話なのです。
 真に必要なのは、「アウトプットできるレベルのインプットを心がける」ことです。「AIについて」という文章を書こうとしているときに、すっごく難しいAIの本や専門性が高いAIに関する論文を読んでも、まったく意味がないのです。

 だから、まずは「AIってなんなのかご説明します!」というくらい簡単なレベルの情報からインプットすることです。「そんなのわかってるわ!」と腐らず、とりあえず初歩的なレベルの話をよく聞いてみるのです。そこから始めれば、かならずアウトプットすることができるようになるはずです。
 多くの人がアウトプットできないのは、「難しいことを語ろう」としすぎてしまっているからです。テニス初心者なのに「上級者向け」の内容の本を読んで、その内容を実践しようとしてしまっているからテニスがうまくならない。たったそれだけなのです。

ちなみに僕が東大に入って先輩からオススメされたのは、『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』という本でした。「マクロ経済学のテストでいい点を取りたいんだったら、まずはこの本から読み始めたほうがいいよ。そのほうが、いい答案が書けるようになると思う」とアドバイスをもらって、僕はそのとおりそのテストでいい点を取ることができました。
 難しい本を読んだり複雑な情報をインプットしたからといって、いいアウトプットはできないのです。みなさんも、簡単な本から始めてみてはいかがですか? 

■文章の中の「名言」を探してインプットする

STEP2:名言を探してインプットしよう! 
 さて、初歩的なインプットを進めていく必要性はご理解いただけたと思うのですが、具体的にはどのようなところに気をつけてインプットすればいいのでしょうか? 

 アウトプットできるようにするために、僕は「名言を探す」というインプットをオススメしています。
 例えばどんな文章でも、どんな人の話でも、「力を入れて語っている部分」が存在します。それは、長さとしては短いかもしれませんが、その文章全体のことを表している重要な部分です。

 オバマ前大統領は演説で「Yes, we can.」と語り、キング牧師は「I have a dream.」と語りました。最近だと東大の祝辞で上野千鶴子名誉教授が「恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください」と語ったことが取り沙汰されていますね。どんな文章でも、全体の中で一際目立つ「名言」が存在する場合が多いです。
 文章を聞いたり読んだりするときは、そういう「名言」を探してみましょう。それが、アウトプットにつながるインプットなのです。

 例えば、次の文を見てください。みなさんなら、この中のどこが「名言」だと思いますか? 

人間は、対等な相手からの話のほうが耳に入りやすいものだ。教育学の研究で、実は「教える」という言葉を使うよりも「共有する」という言葉を使ったほうが、生徒の学習効果が高いということがわかっている。たしかに我々の実感としても、上から目線で言われるよりも対等な関係性にある友達や先輩の言葉のほうが耳に入ってくると思う。
先生と生徒には明確な上下関係が存在するが、たまにはそれを取っ払って対等になるのもいいのかもしれない。

 さて、この文章のどこが「名言」でしょう?  「教育学の研究で、実は『教える』という言葉を使うよりも『共有する』という言葉を使ったほうが、生徒の学習効果が高いということがわかっている」でしょうか?  「上から目線で言われるよりも対等な関係性にある友達や先輩の言葉のほうが耳に入ってくると思う」でしょうか? 
 たしかにそうした具体例はわかりやすくて記憶には残りやすいのです。しかし実はそこは「理解・納得のために」書かれている部分です。「アウトプットのための」インプットをしたいと考えた場合、目を向けておくべきは1カ所。「人間は、対等な相手からの話のほうが耳に入りやすいものだ」という1文です。

 みなさんが文章を書きたいと思ったとき、たしかに具体例を使って文章を書くこともできるでしょう。でも、具体例って存在しなくても通用しますよね?  重要なのは、「その具体例を通じて何を話したいか」のほうです。
■「それだけで完結している一言」が重要

 この文章で言うならば、「人間は、対等な相手からの話の方が耳に入りやすいものだ」だけで文章が完結しています。この情報が、この文章が本当に伝えたかったことであり、みなさんが文章を書こうと思ったときに利用できるかもしれない部分なのです。

 言葉というのは不思議なもので、一見すると「長い言葉」のほうが情報量を詰めやすそうですが、本当に必要なのは「短い言葉」でいろんな意味が込められている言葉のほうです。そして、そういう言葉のほうが、文章を書く上で参考になる場合が多いのです。
 何か教育について意見を求められたときに、「教えるという言葉を使うよりも、共有という言葉を使ったほうがよくて、理由は……」とグダグダ話していると、何が言いたいのか、途中からわからなくなってしまいます。

 そこを「人間は、対等な相手からの話のほうが耳に入りやすいものです」と一言で相手に伝えると、それを取っ掛かりにして自分の論を展開することも可能になります。こういう「名言」のストックがある状態だと、どんな文章も書きやすいのです。
 本を読むうえでも人の話を聞くときも、「名言」をインプットする癖をつけると、アウトプットも楽になるのです。

 さて、「名言」を見つけた後は、いよいよ自分が「アウトプット」できるようになるための訓練です。

 インプットした内容を、他の内容と「つなげて」みてください。

■「つなげる」習慣がアウトプットの質を高める

 STEP3:つなげてインプットをしよう! 

 例えば教科書でもネット記事でも、インプットした内容というのはただの情報でしかありません。「日本の人口は約1億2600万人」とか「少子高齢化によって地方が消滅しようとしている」とか、そういう言葉はただの情報でしかなくて、それだけではなんの価値もありません。情報として文章の中に切り貼りして置いておくことは可能ですが、それだけでは絶対に文章になりません。
 先程お話しした名言だって、「切り貼りしやすい情報」でしかありません。たしかに文章を書くうえで使いやすいけれど、それだけで1つ文章が書けるわけではないのです。

 大切なのは、切り貼りしてきた情報を、自分の持っている他の知識や自分の意見・他のインプットとつなげることです。切り貼りした情報にまた新しい情報をくっつけて、それにまた新しい情報をくっつけて……というふうに、情報と情報とをつなげることができて初めて、アウトプットとして成立するのです。
 だからこそ、インプットしているときに「この本で書いてあることって、前に読んだ本と同じことを言っているぞ!」とか「まったく違う分野の話だけど、これって前聞いたこととつなげられそうだ」と、他のインプットとつなげてみようと考えてください。

 例えば先程のように、「人間は、対等な相手からの話のほうが耳に入りやすいものだ」という情報を聞いたときに、これを教育学の話としてインプットするだけでとどまらず、「これって、文章を書くうえでも使えるテクニックかもしれないな」「普段の日常会話の中でも使える、コミュニケーションのテクニックかも」とか、そういう風に「自分の知っている他のこと」とつなげてみようと努力してみるのです。
 まったく関連のない情報を100個持っていても、アウトプットはできません。1つの情報だけでは決してアウトプットはできないからです。必要なのは、情報と情報とをつなげて記憶しておくことです。インプットとインプットが重なり合って、アウトプットという形になるのです。

 さて、いかがでしたでしょうか?  ちなみに今回僕がみなさんに伝えたかった「名言」は、「アウトプットのためのインプットができていないから、アウトプットすることが難しくなってしまう」です。
 この記事を読むことを、みなさん1人ひとりが「アウトプットのためのインプット」にしてもらえたのなら、僕はとても嬉しいです。
西岡 壱誠 :東京大学4年生

最終更新:4月20日(土)5時40分

東洋経済オンライン

 

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