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都立高にも個別指導塾、まずは中堅2校に導入へ

4月19日(金)5時30分配信 東洋経済オンライン

スクールTOMASが導入された私立高校では、図書室に自習室が併設された(撮影:尾形文繁)
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スクールTOMASが導入された私立高校では、図書室に自習室が併設された(撮影:尾形文繁)
 ついに都立高校の中にも個別指導塾がやってくる――。

学校内個別指導塾(「中堅高校が『学校内個別指導塾』を導入するわけ」参照)を展開するリソー教育の子会社「スクールTOMAS」社が、今度は東京都教育委員会と東京都の新事業「進学アシスト校」事業の業務を受託する。

 進学アシスト校事業とは、放課後や土曜日などに塾講師らが受験指導を行う事業だ。都は2019年度からスタートさせる計画で、いわゆる中堅の都立高2校を選び、国語、数学、英語の指導を始める。
■目的は中堅高校の大学進学実績の向上

 目的はずばり、大学以外に専門学校へ進学したり、就職もする「進路多様校」における大学進学実績の向上だ。都教育庁指導部の鈴木宏治・主任指導主事は「中堅校では指導の主な対象が、成績上位層より下の層になりがちで、学習意欲のある上位層への指導が手薄になるきらいがある。そうした生徒を外部の力を借りながらアシストして、より上の大学への進学を目指してもらう」と狙いを説明する。
 中堅校で成績が上位の生徒は、私立大学の指定校推薦制度を利用して進学するケースも多い。もし学校側がこうした生徒をサポートして学習を続ければ、一般入試でワンランク上の大学に挑戦し、合格を勝ち取る可能性も高くなる。

 都が危機感を抱いているのはやはり少子化による生徒数減少だ。リーマンショックで公立校への需要は全国的に高まったが、都立高の将来は必ずしも楽観できない。2018年の入試(2018年2月)では、志望者が前年度に比べ約3000人減り、一部の学校では定員割れが生じた。第2次募集でも定員割れした全日制31校で433人の第3次募集を実施したが、これほどの規模での募集は初めて。2019年(2019年2月)も流れは変わらず、学校数こそ20校に減ったが、418人の第3次募集を実施している。
 公立高校は2010年度から授業料が無償化されているが、だからといって、都立高を無条件に選んでもらえるわけではないのだ。私立高校の授業料一部無償化が2020年度から始まれば、都立高の競争条件は悪化する。差別化できるものがなければ淘汰される。生き残るには、進学実績で訴求していくのが近道だ。

 ただ、進学実績だけならどの成績層に手をかけるかを変えれば、外部の力を借りなくとも改善はできそうだ。都立高に個別指導塾を導入する狙いは、実はもう1つある。ノウハウの移転だ。
 「対象となる2校では、外部講師の指導を教師が見学して、大学受験に対応した教科指導(力)の向上を図ってもらう」(鈴木主任指導主事)。日比谷高校などの進学指導重点校では、受験指導を学校全体で実施するシステムがすでに出来上がっていて、教師の異動の影響を受けにくい。しかし、中堅校以下になると属人的要素が大きく、受験指導に長けた教師が異動すると、その学校の受験指導のあり方が様変わりすることがままあるようだ。つまり、生徒の学力を底上げすると同時に、教師の指導力も高めたいというわけである。
■5月の連休明けに「スクールTOMAS」開始

 そこで白羽の矢が立ったのが、私立校で学校内個別指導塾を展開しているスクールTOMAS社。都は2018年8月に同社に接触し、9月には数年前に導入して進学実績を上げている中高一貫校を視察した。予算化し、今年3月の入札でスクールTOMAS社が落札した。現在、5月の連休明けの運営開始に向けて、現場での話し合いが進んでいる。

 スクールTOMAS社は私立高で、自習室の運営やカリキュラム型個別指導を担っている。しかし、都立高では予算制約などもあり、こうした仕組みすべてが採用されるわけではない。
 都とスクールTOMAS社の話を総合すると、既存のシステムをかなり簡略化した仕組みで導入するようだ。「3教科の講師が校内に入るのは土曜日で、年20回(長期休暇を除くと1週間おき)」「個別指導ではなく、少人数授業だが、個人の学習計画や進捗状況チェックはスクールTOMAS社が行って、学校と共有」「高1から高3まで利用できるが、通年利用できるのは高2のみで、高3は12月まで、高1は12月から」「スクールTOMAS社の社員が常駐しないので、平日はIT機器を使った質問型個別指導(モニターを通して、生徒がわからない箇所を質問し、講師が答える)を実施」といった内容のようだ。
 都は今年度から3年間、2校でこうした運用をして実績を評価。4年目以降に拡大するかどうするかを決めるという。全国の公立高校で個別指導塾の展開を目指すスクールTOMAS社としては、首都・東京で成果を挙げれば最高の営業ツールになる。そのため、この事業にはエース級の人材を投入する構えだ。

 問題もないわけではない。学校内個別指導塾のベースにある、生徒の自発性を高めるスクールTOMAS社による自習室運用は都立高には存在しない。予算の縛りがあるとすると、金のかからないソフト面での工夫が必須になる。
筒井 幹雄 :東洋経済 記者

最終更新:4月19日(金)5時30分

東洋経済オンライン

 

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