ここから本文です

賢く「売却」する投資家たちが実践していること《楽待新聞》

3月22日(金)15時00分配信 不動産投資の楽待

(PHOTO:iStock/PrathanChorruangsak)
拡大写真
(PHOTO:iStock/PrathanChorruangsak)
保有している物件の売却を考えたことはあるだろうか。2013年ごろから始まった不動産価格の高騰で「いまが売り時だ」という声を聞くことも多かったが、融資姿勢の変化もあってか、以前のような盛り上がりは少し収まったように思われる。

そんな中、2018年4月以降に所有物件を売却したオーナーに取材を行った。市況に左右されずに売却を成功させるにはどうしたらよいのか、売却力を磨くポイントを探っていこう。

■買った瞬間から「売却予定価格」を考える

北関東在住の専業大家・大野健さん(仮名)は昨年5月、茨城県に所有していたRCマンションを売却した実績を持つ。購入時の価格3億円に対し、売却額は3億7000万円と、7000万円の売却益を得ることができた。成功のカギとなったのは、利回りアップに徹したことだった。

大野さんがこの物件を購入したのは今から4年ほど前のこと。購入時は築16年で、稼働率は約80%。大野さんは「まず既存の入居者が定着するようにしよう」と考え、入居者がいる部屋から設備の改善を行った。古いエアコンの交換から、無料インターネットの導入、空室だった和室は洋室にするなど、DIYでコストを削減しつつ、バリューアップに取り組み続けた。

その結果、稼働率は98%まで上昇し、家賃も平均1万円上げることに成功。近隣と比較しても、ダントツの稼働率を誇る物件となった。

運営は順調そのものだったが、自己資金をより手厚くし、返済比率を40%以内に抑えることを目標に、物件の売却を決意する。85室保有している中でもこの物件を選んだのは「残耐用年数が長く、稼働率が高い」ため。実はこの売却、大野さんは購入当初からイメージしていたことだった。

「耐用年数が残り少ないと融資が難しくなりますよね。だから、次買う人が『買いやすい金額』で買えるのはいつまでか、購入した時から数年先の積算価格と利回りを予想しているんです」と大野さん。

売却時は築19年。RCの法定耐用年数は47年のため、残耐用年数は十分ある時期だ。また、稼働率を上げ、家賃をアップすることで実質利回りも向上している。まさにイメージしていた通り、購入する人にとって「買いやすい」物件となっていた。

売却を決めたら、次に考えるのは「売り出し価格」。返済比率40%以内の目標を達成するためには3億6000万円以上で売却する必要があった。この金額を「下限」とし、指値が入ることも想定して「3億8000万円、利回り8.6%」で売り出すことに。すると1カ月後には「3億7000万円」という想定内の買付が入り、承諾した。

売却するにあたって「思いっきり売却益を出そうとは考えない」と大野さんは話す。しかし、運用益を最大化する動きは、売却力の向上にもつながっている。

【売却力アップ!】
・購入時から、売却する時の価格や時期を考えておく
・稼働率が高い物件は魅力的にうつる! 既存入居者の長期入居も狙う
・指値が入ることを想定し、売り出し価格は高めに設定する

■理想の買主とつながれるかが勝負

「どんな不動産会社に売却を依頼すればいいのだろうか」。不動産会社選びに悩むオーナーは多いかもしれない。そんな中「物件ごとに売りたい人をイメージして、その人につながる不動産会社を選ぶようにしている」と話すのは、投資歴10年の三浦隆さん。2015年から年10棟ペースで売却を行っており、2018年5月には東京都にある築27年の1棟RCマンションを売却。1億7000万円で購入した物件を2億6000万円で売却することに成功した。

売却した背景には、危険な入居者の存在があった。「2階から4階の住居部分は引き合いが強かったのですが、1階に入っている飲食店に問題を感じていました」。飲食店に行列ができた際に、近隣住民とトラブルがあった履歴や、相場より低い賃料を値上げしようとした交渉で揉め、その際に感じた「危うさ」から、1年半と短い保有期間だったが売却することに決めた。

不動産投資において「サラリーマン投資家目線で安く買い、資産家目線で高く売る」と考える三浦さん。

「買った自分自身と同じ層が手を出すような物件であれば、物件を仲介してくれた不動産会社に売却を頼んでもいいと思います。しかし、資産家であればまた購入する目線が違う。『預金金利よりも高利回りだから』と投資家目線ではあり得ない価格で売れたりするんです」

前述した物件も、買主は資産家をイメージし、不動産会社を選択。実際に資産家が購入し。利回りは約5.6%と、投資家には売りにくい利回りで売却に成功した。

最適な売却先を選ぶため、三浦さんはこれまで出会った不動産会社の情報を集めているそう。「地主とのつながりが強い会社」「○○エリアの売却に強い会社」「相続物件に強い会社」など、物件によってイメージできる会社がある状態だという。「実績が少ない人は不動産会社と接点を増やすという意味で『相続フェア』などのイベントに参加するのはいいと思います」と話す。

■媒介契約は「一般媒介」で結ぶべき?

また、売却を依頼する際、「媒介契約」をどうするかも悩むところだろう。不動産会社の利益やモチベーションを考えると、確実に売り上げがあがる「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」が望ましいと考えられるが、三浦さんはこれまで「一般媒介契約」でほぼすべての物件の依頼をして売却をしている。

「むしろ、専任には絶対しないですね。理由は多少の競争があったほうが、不動産会社のモチベーションが上がると考えるから。ただし、『心の専任はあなただよ』と伝えられるよう、コミュニケーションには気を付けます」

例えば、指値がされた買付が入った時に「一切受け付けません」と厳しい姿勢を見せすぎないなど、仲介会社の話をよく聞き、提案するように心がけているそう。

売却を依頼する不動産会社は、売却を成功させるためのキーパーソンである。物件力を高めることはもちろん、誰をパートナーに選ぶか、パートナーと良い関係を結べるかは成功するために重要だ。

【売却力アップ!】
・売りたい人をイメージし、その人につながる不動産会社へ売却依頼をする
・売却活動をする不動産会社には、適度な刺激と柔軟なコミュニケーションを心掛ける

■「実需向け」で戸建てをスピード売却

沖縄県在住のNさんは、「売却先=マイホームが欲しい人」と定め、実需向けに売却を成功させている。沖縄県南部に所有していた戸建て5戸を、2カ月で売却を決めた。すべて、民泊用に建てた戸建てだった。

一昨年、築浅戸建てを購入した際、前オーナーが家庭菜園用に使っていた土地が余っていたため、土地を分筆し、民泊用の2階建ての戸建てを5戸建設することにした。民泊が盛んな時期だったこともあり、観光需要の高い沖縄で順調に運営していたが、民泊撤退を決意する出来事が起きる。

「民泊新法が施行が決まったんです。沖縄県は法律よりも厳しい県の条例がひかれ、撤退せざるを得ないと考えました」とNさん。そこで、昨年9月に「売却」と「賃貸募集」の両面で活動を開始。内見する人には住みたいと思ってもらうため、最低2週間に1度は物件の清掃に取り組んだ。

「沖縄県は庭の雑草も伸びやすいので、草刈りも行い、見た目は綺麗にするように気を付けました」。民泊用に使っていた家具はすべて撤去し、ハウスクリーニングも行った。

その結果、「この物件に住みたい」と沖縄県の人から5物件に買付けが入った。1戸あたりの売却価格は1990万円。建築コストを考えても、1戸あたり100万円の利益が残った。

もちろん、スピード売却が成功したのには「需要と供給のバランス」が一致していたという理由もある。Nさんは沖縄県の市況からこう語っている。

「沖縄県ではマンションの値上がりが続いていると感じています。今回のような2階建ての戸建てを購入する層が、同スペックで築浅のマンションを購入するとなると、大体3000万~3500万円くらいが価格帯。比較すると、価格が手頃な戸建ては選ばれやすくなるということです」

Nさんは一昨年にも、沖縄県中部の戸建てを「実需向け」にして売却に成功している。実需向けで探している人の目線を知ることも、売却成功への近道だ。

【売却力アップ!】
・実需向けは「利回り」ではなく「見た目」重視! 住みたいと思われる物件に見せよう
・エリアの価格帯と物件の供給状況は必ずチェック! 売れる価格帯を考えよう

■高く売れた後は

ここまで高く売却できた話をしてきたが、売却額はそのまま利益にはならない点には注意してもらいたい。むしろ高く売却できた分だけ「税金」が発生する。売却ででた利益に対する税金はどのように計算していくのか。以下で計算式を確認しよう。

譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

譲渡収入金額には「売却した価格」、取得費には「土地や建物を買い入れた時の購入代金や仲介手数料」、譲渡費用には「売却時に支払った仲介手数料など」が該当する。マイホームを売却する際は税率を軽減する特例もあるが、本記事では割愛する。

こうして計算した譲渡所得金額に税率を掛けて計算するが、「短期譲渡費用」になるか「長期譲渡費用」になるかが大きな分かれ道となる。短期の売買は、長期よりも税率が19%も高くなるため、インタビューした投資家の中には「5年を超えていたから売却を検討し始めた」という人もいた。

高額の税金が発生した場合、税金対策は必須となる。法人で不動産投資をしている戸田匠さんは、同時期に2物件の売却が重なり、約600万円の税金が発生した経験がある。「少しでもなんとかしたい」そう考えた戸田さんは税理士に相談し、さまざまな税金対策を実施した結果、100万円台まで納税額をおさえたそうだ。どんな対策を行ったのか、その一部を紹介する。

(1) 中小企業向けの共済制度に加入

法人の場合、掛け金が「損金」に計上できるため節税になる。また、納付月数が一定期間を超えると全額が返戻される。しかし、返戻時は利益となるため、タイミングには注意が必要だ。

(2) 中古車1台を法人名義で購入

事業で使用できる中古車を購入。減価償却費として計上することで節税になる。ただし、車選びには要注意。「法人の収入に対して高額な車を購入した場合、国税庁から目を付けられやすいと聞いたことがあります」(戸田さん)

(3) 生命保険に加入

各種生命保険を調べ、3分の1が損金として計上できる保険に加入。2分の1が損金になる保険もあるが、返戻率が低くなることから選択せず。「共済制度に比較すると効果は少ないが、これも有効です」(戸田さん)

その他にも、建築士として事業で使用するCADソフトやパソコン、プリンターもこの機会に購入し、できる限りのことを尽くした。ただし、税金は複雑な世界であり、節税対策も「やりすぎ注意」な面もある。合法であることを前提に、出ていくお金を減らしたいところだ。

■節税の代わりに「最後のあがき」

節税ではなく、別の方法で「還付」を狙う投資家もいる。昨年物件を売却したFP大家さんは「できる限りのあがきはするが、税金は払わざるを得ないもの」と考え、税金の支払いをクレジットカードで行うようにしている。

クレジットカードによっては利用金額に応じてポイントがもらえるサービスがあり、さまざまな金券や商品に交換することができる。「カード会社によっては、一定期間以内に100万円を決済すると数万円分のポイントが付与されるところもあります。現金で支払いをしても還元はされないですからね」(FP大家さん)

ただしクレジットカードで税金を支払う場合、納付税額に応じて決済手数料が発生する。その他にも納付済みの納税証明書の発行に時間がかかるなどのデメリットもある。まずは、メリットとデメリットを比較検討していただきたい。



今は融資状況が不安定であり、不動産価格は先安観が漂っている状態。変わりゆく市況の中、この先「売却」をいつ、どのように行っていくのか。ぜひこの機会に考えてみてほしい。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:3月22日(金)15時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

不動産投資の楽待

不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

最新記事を毎日更新

実際に不動産投資を行っている投資家の
「失敗談」や「成功談」をはじめ、
不動産投資をするなら必ず抑えておきたい
ノウハウを記事にして毎日配信!

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

平均年収ランキング

ヘッドライン