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「計画性のない子」の成績を上げる1つの方法

3月21日(木)6時10分配信 東洋経済オンライン

時間にルーズで、計画的に勉強しない高校1年生。いったいどうしたらいいのでしょうか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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時間にルーズで、計画的に勉強しない高校1年生。いったいどうしたらいいのでしょうか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
※石田勝紀先生へのご相談はこちらから

高校1年生の長女についての相談です。
とてもマイペースで時間にルーズです。何時何分に家を出ると伝えておき、途中何度せかしても、時間どおりに出発できたことがありません。本人は学校に遅刻しても、あまり気にしていないようです。それと関係していると思うのですが、計画を立てることができません。
中学時代はそれほど頑張らなくても成績は中の上を保っていたので、やらなくてもできると思い込んでいました。高校受験では本人の希望で入れそうな高校を選びましたが、落ちてしまいました。
これまでいろんな機会に計画を立てて、そのとおりに勉強をする方法を提案してみました。ただ無理やり計画表を作らせても、結局作って終わりになりました。高校に入学する前に宿題がかなりたくさん出されましたが、手をつけていない箇所が多すぎて、間に合わずそのまま提出していました。どのようなやり方をすればいいのでしょうか。
(仮名:森田さん)

■ただルーズというだけの問題? 

 お子さんの遅刻、提出期限が守れないという問題で悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。
 遅刻はよくない、提出期限はしっかり守るようにと学校でも家庭でも、社会でも言われますね。それは極めて正しいことです。通常このようなケースでは、単にだらけていることが原因ということも少なくありません。その場合は仕組みを作ることによって、改善していきます。

 例えば、学校の遅刻の場合であれば、次のような会話をしていきます。

 親から子へ「もし寝坊しても親は起こさない」と前夜に告げたうえで、実際に翌朝、本当に起こさないということをします。子どもは起きるべき時間が過ぎて、例えば8時30分くらいになってびっくりして、起きてきて次のように言うでしょう。
子:「なんで起こしてくれないの!」
親:「だって昨晩、明日から起こさないって言ったよね~」
 もちろん、家では学校に、これこれこういう理由で遅刻しますと連絡は入れておきます。この方法で、多くの子どもが翌日から自分で起きて学校に行くようになったという報告をこれまでたくさん受けています。もちろん、この方法が万能とは言いませんが、かなりの確率で効果を上げています。

 しかし、一方で、単にだらけていることが原因ではない場合があります。そのような場合は先ほどのような仕組みによる解決方法はまったく無効となります。
 そうした子どもに対しては、「時間を守ることの大切さを説く」「改善する仕掛けを作る」「叱る・怒る」「親が監督管理する」はすべて徒労に終わる可能性があります。そして森田さんのお子さんは、ご質問から推察すると、おそらくこの「無効」のケースと考えられます。

 では、いったいこのような子どもにはどのようなアプローチがいいでしょうか。この問題を解決するお話をする前に次のことをまずお伝えできればと思います。

■好き嫌いで判断する「シングルタスク型」
 筆者は30年間で3500人以上の子どもたちを直接指導してきた経験の中で、人にはざっくり大きく分けて2つのタイプがいると感じています。

過去記事でも取り上げたことがありますが、1つ目のタイプを「マルチタスク型」と言い、もう1つのタイプを「シングルタスク型」と言います。マルチタスク型は、企業内で言うジェネラリストで、シングルタスクはスペシャリストのようなイメージです。

 マルチタスク型は、「比較的なんでもこなす、集中型というよりは分散型、無駄を嫌い秩序を好む」傾向にあります。そしてこのタイプの価値基準は「損得」です。損を嫌うために無駄を避け、得なことには飛びつく傾向を持っています。そのため、ノウハウ、仕組み、仕掛け、スケジュール管理については自分が得をすることなので、強い興味を示す傾向にあります。
 一方のシングルタスク型は、「集中力は抜群で、好きなことと嫌いなことがはっきりしている」傾向にあります。このタイプの価値基準は「好き嫌い」です。ですから好きなことは積極的にやるが、嫌いなことはやらないか、後回しにすることが少なくありません。

 もちろん誰しもどちらか一方だけということはなく、両方の価値基準は持っていますが、どちらが優位に出てくるのかで判断してみるといいと思います。

 「優位」とは、例えばお店でランチをするとしましょう。メニューを見て注文する際、値段を先に見てその後に食べたいものを選ぶのか、それとも食べたいもののページを開いて、次に値段を見るのか。どちらが優位かというのはこういうことです。
■森田さんとお子さんは、タイプが違う? 

 さて、ご質問者森田さんのケースをみると、おそらくお子さんはどちらかというと、シングルタスク型に近いのではないかと思います。シングルタスク型の場合、秩序が好きな領域に入っていれば別ですが、そうでないケースのほうが一般的に多いため、時間管理や整理整頓は得意でない傾向にあります。

 そしてもしかしたら、ご相談者であるお母さまは、マルチタスク型かもしれません。マルチタスク型の人は、秩序があることが前提になっているため、森田さんのように子どもの無秩序が気になって仕方がないのです。
 するとここで次のような問題が発生したりします。

【母親がマルチタスク型で、子どもがシングルタスク型という場合】
親:「早くやっちゃいなさい。今、やっておけばあとでラク(得)なんだから」(損得基準)
子:「いや、嫌いだからやらない」(好き嫌い基準)
 価値観がまったく異なるため、こうして両者はずっと平行線です。平行線であるため、親は力業でやらせようとしがちです。するとますます子どもは抵抗し、事態が悪化していくことがあるのです。
 森田さんのお子さんは計画を立てて実行していくという仕組みには関心がなく、場合によっては嫌いな領域に入っている可能性が高いため、それを強いても無駄ということです。親はつい子どもも自分と同じ価値観であると錯覚するため、このような問題が起こったりします。ですからまずは、価値観が根本的に異なっているという状態を理解する、ということが必要になります。

 では、そのうえでどうするか? ということですが、計画を立てるべきと考え、重視する森田さんとしては、子どもの適性と違うと理解したとしても、「計画は立てなくていい」とまでは、なかなか振りきれないのではないかと思います。そこでですが、別の角度からアプローチをするというのはどうでしょうか。
 それは「比較的やってもいい分野だけに絞る→準備などの計画を立てさせる」という形をつくるということです。

 好きな分野が原動力となって、嫌いな計画はそのために必要な手段となることで、実行する可能性があります。

 例えば、あるアイドルグループが好きな子どもがいたとしましょう。その子どもは、アイドルグループの地方コンサートに行くために、チケット、交通ルート、宿泊、グッズの準備など、万全にして行くことでしょう。普段の勉強ではまったく計画などしないにもかかわらず、です。ですから、本来その子どもはどうしても計画が立てられないのではなく、計画を立てる対象が嫌いだというだけのことなのです。
■すべてを一度に計画させるのは無謀

 森田さんのお子さんが、シングルタスク型で、かつ現状は勉強がさほど好きではないと思われる以上、勉強について計画うんぬんという話をしても、効果は薄いでしょう。シングルタスク型の場合のアプローチは「好きな分野」「やってもいい分野」から入って心を満たさなければ次のステップには進まない傾向があります。ですから、「すべての科目を一気に計画を立てて勉強をすることは取りやめて、科目を絞って実行する」という方法をとります。
 通常の中間・期末テストでは、10科目近い科目についてテスト勉強をしますが、お子さんが「やってもいい」と思える好きな科目だけ、極端に言うと1科目に絞って計画を立ててやるのです。そして、ほかの科目はすべて今までどおり、そのままで済ませます。

 この「1科目集中戦略」は、かなり勇気が必要でしょう。しかし、これまで計画を立てず成績もさほど芳しくないようですから、実態はたいして変わらないことと思います。もし、この1科目集中でやってみて成果が出るなら、次のステップに進むことができます。成功したらそれを横展開する、つまり徐々に計画的に取り組む科目の数を増やしていくのです。
 以上をまとめますと次のようになります。

 「比較的やってもいい(少ない)科目に絞り、それだけを試験勉強で集中してやってみる」

 今の状態のままでいいのであれば何もしなくても問題ありませんが、改善したいということであれば、このような対応をしてみるのもいいかと思います。
石田 勝紀 :一般社団法人教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授

最終更新:3月21日(木)6時10分

東洋経済オンライン

 

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