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アップルが「iPad Air」とminiを刷新の深いワケ

3月19日(火)11時30分配信 東洋経済オンライン

アップルは3月18日、iPad AirとiPad miniを発表した(写真:アップル公式サイトより)
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アップルは3月18日、iPad AirとiPad miniを発表した(写真:アップル公式サイトより)
 アップルは3月18日夜、同社の主力タブレット製品であるiPadの新モデルをウェブサイト上で披露した。アップルは3月25日にカリフォルニア州クパティーノでスペシャルイベントを開催する予定だが、その1週間前に先行して、新製品の発表をひそかに行った格好となる。つまりイベントの主題はほかに存在する、ということだ。

 1つは「iPad Air」。64GBストレージのWi-Fiモデルは5万4800円~(税別)で販売される。
■iPad Proのリメイク版で、名前が変わった

 こちらは現在まで併売されていた10.5インチモデルのiPad Proのリメイク版で、名前が変更となった。iPhone XRやiPhone XSと同じA12 Bionicを搭載し、機械学習処理は秒速5兆回を上回る。省電力性にも優れるほか、4コアのアップルが設計したGPUも搭載しており、グラフィックス性能も大幅に高めている。

 それ以外は10.5インチiPad Proに準じる。6.1ミリの薄型ボディと高色域に対応するRetinaディスプレー、指紋認証Touch IDに対応するホームボタン、そしてApple Pencil(旧型)とカバーとキーボードを兼ねるSmart Keyboardにも対応する。ただしカメラは800万画素が搭載されており、カメラ部分の出っ張りはなくなった。
 2つ目は「iPad mini」。こちらは待望の新製品の発表となった。64GBストレージのWi-Fiモデルで4万5800円~(税別)となる。

 iPad miniは長らくファンの多い小型のタブレットで、6.1ミリの薄さと、Wi-Fiモデルなら300.5グラムという軽さが魅力だ。Touch IDに対応するホームボタンと、新たに高色域に対応する7.9インチRetinaディスプレーを採用した。そして、先述のiPad Airと同じA12 Bionicチップを搭載する。
 iPad mini 4は2015年9月に発表された製品なので、3年半ぶりのモデルチェンジということになる。しかも最大のニュースは、7.9インチモデルでApple Pencilをサポートしたことだろう。またステレオスピーカーにも対応した。

 これまでApple Pencilは、iPad Proからサポートが始まり、2018年10月に発売された現行のiPad Proでは第2世代のApple Pencilがリリースされている。その一方で2018年3月に発売された廉価版iPad第6世代でも、初代Apple Pencilが利用できるようになり、iPad製品群の中でApple Pencilが利用できなかったのは2015年以来アップデートされていなかったiPad mini 4のみとなっていた。
 今回のアップデートを整理すると、10.5インチのiPad ProをiPad Airとして改名したうえで最新のA12 Bionicチップを搭載。また7.9インチのiPad mini 4を、ディスプレーやプロセッサー、カメラを改良し、iPad Airと同等のスペックを用意した。これによって、iPadのラインナップすべてがApple Pencilに対応し、「ペンで操作できるタブレット体験」がiPadの標準となった。
■文房具としてのiPadとApple Pencilの活用に期待

 Apple Pencilは当初、グラフィックなどの繊細な作業にも対応できる精度と描き心地を売りにしたタブレットペンで、iPad Proではディスプレーの反応速度を向上させるなどして、魅力を高めてきた。一方でアップルはiOS標準の「メモ」やPDFへの書き込み機能を充実させ、Pages・Numbers・KeynoteアプリでもApple Pencilによる描画に対応させるなど、アートやデザイン以外のApple Pencilの用途を拡大させてきた。
 今回、7.9インチサイズのiPad miniがApple Pencilに対応したことで、さらに文房具としてのiPadとApple Pencilの活用にも期待を寄せたいところだ。

 例えば、Apple Pencilを画面でタッチすると、直前まで手書きしていた「メモ」アプリのページが瞬時に開いてメモが取れる状態になる。紙とペンに迫る直感的なスピードだ。書いたモノはデジタルで保存できるだけでなく、打ち合わせの相手やチームにすぐにメールで送れる。あるいは、届いた書類の赤入れをペーパーレスで行って、そのままメールですぐに返すこともできる。
 企業の中でいちばんペーパーレス化してほしい人にiPad miniを持ってもらうことで、仕事のスピードが劇的に変わる可能性もあるかもしれない。

 今回の刷新では、iPad第6世代は仕様も価格(3万7800円~)も据え置かれた。iPhone 7に搭載されたものと同じA10 Fusionチップを搭載する9.7インチタブレットで、教育市場や企業への大量導入で人気のあるモデルだ。アップルもウェブサイトで「最も人気が高いiPad」と紹介している。こちらもApple Pencilに対応する。
 続いて価格が安いのが4万5800円~の7.9インチiPad mini。そして5万4800円~の10.5インチiPad Airとなる。iPad Airは先述のとおり、iPad Proと同じSmart Keyboardが利用できることから、文字入力を積極的に行いたい、ドキュメント作成の割合が多い人にとっては、iPad Airがおすすめとなる。

 今回、追加された2モデルはA12 Bionicチップを搭載していることから、2~3年程度の息の長い製品となることが期待される。また、これまでのiPadの筆者の使用経験から考えても、家庭であまり持ち出さない用途であれば4~5年、積極的にモバイルする人でも3~4年は第一線で活躍してくれることになるだろう。
 ここで問題になるのがストレージだ。長く使えば、写真やビデオ、アプリ、ゲームなどでストレージ容量を消費していくことになる。64GBモデルと256GBしか用意されておらず、より長く使うことを見据えるなら256GBモデルを選んでおきたいところだ。

■別の視点から見ると…

 今回のモデル展開を別の視点から見ると、新たに追加されたハードウェアは存在していない。iPad miniも、これまで販売されてきたiPad mini 4のデザインをそのまま使っているし、新しいiPad Airは併売されてきた10.5インチiPad Proそのものだ。さらにいえば、iPad(第6世代)は2013年10月に発表された初代iPad Airのボディをそのまま使っている。
 もちろん、それぞれの製品でチップやディスプレーを最新のものに置き換えたり、とくにiPad miniについてはスピーカーをステレオにするなど、細かい仕様変更を行っている。しかし、いったんなくなったモデル名を復活させたり、以前のハードウェアデザインを引き継いでいるなど、非常に効率的に製品ラインナップを拡充させていることがわかる。
松村 太郎 :ジャーナリスト

最終更新:3月19日(火)11時30分

東洋経済オンライン

 

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