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「完全無借金」で家賃年収1500万になった大家の戦略 《楽待新聞》

2月21日(木)15時00分配信 不動産投資の楽待

(PHOTO: iStock.com/SasinParaksa)
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東京都心から離れること200キロ、自身の住む地方都市を中心に1時間圏内を戦場として投資を行い、完全無借金で年間家賃年収1500万円まで規模を拡大させた投資家がいる。楽待でもコラムニストとして活躍する「ゆたちゃん」氏だ。

サラリーマン時代から自主管理を続け、幾度もの売買を経験。不動産投資歴は10年を超える。専業大家となった現在は、鉄骨造の1棟マンションやアパートを含めて7棟50室を所有しているが、どのようにしてここまで規模を拡大することができたのか。その不動産投資人生に迫った。

■1棟目は競売物件、破格の理由は

これまで一切の融資を受けずに不動産投資を行ってきたゆたちゃん氏だが、融資を引き、レバレッジをかけた不動産投資を否定しているわけではない。

実際、自身でも金融機関へ融資の相談に赴いたこともある。「結局、自分の手元の資金で購入できる物件があったので、融資を受けなかっただけです。不動産投資が軌道に乗るまでは、融資を受けてでもなんでも、規模を拡大していかないといけないと思います」。

最初に融資を受けなかったのは、自身の属性などから「受けるのが難しかった」から。貯金や株式投資で得た800万円ほどを元手に、不動産投資に参入した。

後に1棟目となる木造アパートの競売に参加したのは、2005年の年末のことだ。売却基準価額が416万円だったため、わずか5万円を上乗せした421万円で入札。年が明けて開札されると、なんと自分しか入札していない。破格の値段で、木造アパートが入手できてしまった。

入札者がいなかった理由はすぐに判明した。建物の基礎の一部が沈下し、建物自体が傾いていたのだ。競売物件にはお決まりの「残置物」も、当然のように大量だった。

「安価な分、問題の多い物件でした。競売に慣れた人は入札しない。自分は初めてで、何も知らなかったがゆえに入札してしまい、そして落札できてしまったんです」

■妻には内緒で入札、「家族会議」に発展

落札当時で築20年を超えた4戸の木造アパート。残置物の撤去もしておらず、もとより傾いた状態では売却もままならない。かといって、落札をキャンセルするためには、入札時に納めた保証金の約80万円を放棄しなくてはならない。選択を迫られたが、「買えてしまったんだから、それならどうにかしよう。やってみよう」と腹を決めた。

傾いた建物の補修のためにはジャッキアップ作業が必要だったが、ツテのある施工業者に協力してもらい、めどはなんとかたった。修繕には落札価格とほぼ同額の約400万円がかかってしまった。

作業の完了も2006年10月と、半年以上の期間が開いてしまったが、「現金で購入していましたから、マイペースでできたというのは良かったですね」と語る。

「借り入れを行っていれば、一刻も早く家賃収入が発生するように急がなければ、毎月の返済が立ち行かなくなってしまったでしょうから」

1つ問題だったのは、競売への参戦をすべて家族に秘密にしていたことだった。「妻に言えば、『やっちゃだめ』と言われるだろうという確信があったので(笑)」。

だが、落札後に裁判所から通知が来れば隠し通せるはずもなく、ついに妻に打ち明けることに。その時のことを、「もう、大変でした」と回顧する。ゆたちゃん氏の妻も「大げんかです。家族会議を開きました。子供もいるのに、家賃も入っていない、物件はぼろぼろ。売却できるの? 固定資産税どうするの? とパニックになりました」と当時の様子を明かした。

妻が不動産投資に納得したのは、安定的に家賃収入が発生するようになってから。妻に経理関係を任せ、確定申告なども対応してもらっていたが、初の確定申告で税金が戻ってきたことが安心材料の1つになったという。今では、2人で物件を探すまでになっている。

■競売は様子見、「今は無茶してはいけない時期」

この物件では、ほかにも家賃滞納などで苦労したこともあった。しかし、税金を引いても年間の家賃収入は150万円超で、利回りは20%弱。ここから得られた収入を貯め、その資金を活用して2棟目、3棟目…と物件の規模を着実に増やすことを繰り返した。

決してトントン拍子に進んだわけではないが、1棟目でさまざまな苦労を重ねたから、「1棟目でできたんだから、この経験を繰り返せば成功するはず」と堅実に努力を積んだ。競売にかけられた物件をはじめとして、基本的には安価な「ボロ物件」の再生を行ってきている。

競売で入札する際には、近隣で出た同じようなスペックの物件の落札価格を何件も分析。売却基準価額の何倍であれば落札できるかを計算したところ、「だいたい1.66~1.68倍」だったという。

「でも、みなさん同じような価格帯で入札するんですよ。不動産投資の人気が高まってきて、参戦する人も増えたので、端数の差で落札できなかったこともありましたね」

「あと825円足しておこう」。最後の最後まで金額を検討して入札金額を決める。「端数にこだわらないと負けることがよくあるんです」と笑う。

2年半前の入札を最後に、競売に関しては様子見の状態だ。近年は競売での落札価格が高騰しており、それは「再生物件」でも変わらないという。

「今は無茶してはいけない時期ですね。競売ではなく、不動産会社さんをちゃんとまわったほうが、お値打ちの物件が出るような感じがしています」

■売っても売れない物件を買ってしまった

そんな中で、「大きな失敗」をしたのも競売物件だった。まだ1棟目を買って間もないころ、競売を通して80万円ほどの古屋付き土地を購入。駅からも10分圏内で、国道にもほど近い、立地は抜群の物件だった。同じように再生させようとしたが、この物件が抱える課題が予想以上に大きいことに気付く。

「面している道と建物の間に、かなりの高低差があったんです。建物でいうと1階分くらいはあると思います。その高低差を埋めないと、まともな土地にならなかったんです」

売るにも貸し出すにも土地の整備が必要で、そのためには数百万円の費用を要する。最初から問題があることはわかっていたが、その見積もりが甘かったと気づいた時には遅かった。利回りを計算すると魅力的とはお世辞にも言えず、10年近くたつ今も当時のまま放置状態だ。

「売っても売れない物件を買ってしまいました。これまで、再生できればどんな物件でも基本的には購入してきましたが、リフォームにいくらかかるのか算段がつかないような物件は二度と買ってはいけないと、この物件以降教訓になっています」

■念願の鉄骨造マンションで専業大家へ、「見える景色が変わった」

約1年に1物件ペース、10年以上かけてコツコツと所有物件を増やした。何度か売却も経験し、現在は7棟50室のオーナーだ。中でも思い出深いのは、3年半ほど前に購入した、専業大家になるきっかけとなった物件だという。

15世帯が入った鉄骨造のファミリー向けマンション。それまで木造アパートなど小ぶりな物件を中心としていた自身にとって、かなり大きな物件となった。最寄り駅からは徒歩17分ほどだが、国道まで近く、周辺にはスーパーや大手外食チェーンもある。

築年数は30年近いが、現在もほとんど満室が続いている。今は年間家賃収入の3分の1を占めており、「賃貸経営のステージが一気に上がった。見える景色が変わったし、この物件のおかげで今があると言えるくらい、ターニングポイントになった物件です」と語る。

絶賛するこの物件も、もちろん「再生物件」だ。半年以上売れ残り、価格もどんどん値下がりしていった。「はじめは2000万円くらいで出ていたと思います。結局私は1480万円で購入しました」

売れ残りの理由はいくつかあったが、決定的だったのは空室の多さだった。15世帯中、購入時の空室は10室。3分の1しか入居がなかった。

「空室が多い理由は明らかでした。ファミリー向けなのに、3点ユニットバスなんです。外壁も色あせていたり、さびていたりと見栄えが悪かったですね」

この2点を改善できれば入居はつくと確信していた。だが、ネックになるのは高額な修繕費だ。ほかの多くの投資家も、おそらくそこが懸念点となって手を出せずにいたのだろう。だが、ゆたちゃん氏は購入に踏み切った。もちろん融資は受けず、これまでの実績から貯めたキャッシュを使った。

「現金買いでの物件再生のメリットの1つは、購入時とリフォーム時、多額のお金がかかる時期をずらせることですね。購入する時にはこれまでのキャッシュで賄い、リフォームする時はそこからだいたい数カ月くらいずれますから、それまでにキャッシュを貯める期間があるんですよ」と話す。

■中途半端なリフォームでは苦しむ羽目になる

劣化がひどかった外壁はしっかりと塗装をほどこした。これだけでも外観は「生まれ変わった」と思えるレベルだったという。

3点ユニットバスは、せめてトイレだけでも独立させれば入居付けがしやすくなると踏んだ。この作業だけで1戸50万円もの費用がかかったが、自分で業者に発注するなどしてそのほかのリフォーム費を極力抑えた。トータルで1400万円ほどのリフォーム費用がかかってしまったが、かけた分だけリターンも大きい。10室の空室は賃貸に出してから半年ですべて埋めることができ、現在も収益率は20%を超えている。

「物件を購入して、そのままの状態でまわそうとする人は案外多い。もちろんそれでもうまくいく人もいると思いますが、空室が続いて困っている人も同じくらいいます。こうした物件は、前の所有者が『もうこれ以上は無理』と言って売りに出した物件が多いでしょうから、お金を投資して、それを断ち切らないと成り立たないと個人的には考えています」

最初に高額な費用がかかっても、「ある程度、『徹底的に』リフォームする」と決めている。中途半端な物件再生を行ってしまえば、入居がつかなかったり、予想外のトラブルに見舞われたりと、結局数年後に苦しむ時期が来てしまうからだという。リフォーム費用の上限は、「手持ちのキャッシュで賄える範囲」だ。

「どうせ最初に入居者がいないようなボロ物件なら、迷惑をかけずに大きな修繕ができますからね。再スタートも切りやすい」

全空の物件なら、物件名も変更した。そこそこリフォームして、そこそこ入居がつけばいいかー。そんな考えは甘いと断じる。「中途半端に始めれば苦しむことになる。必ず一棟満室にしてスタートする。その覚悟を持っていつも始めています」

■サラリーマン時代から自主管理、市報配布や水道検針も

物件の管理は、基本的に自身で行っている。サラリーマン時代でも、物件は自分で見て回った。仕事帰りに物件を見に行き、共用部の電球交換に勤しんだり、土日を除草に費やしたり、やるべき作業は多岐にわたる。物件を購入するエリアは車で1時間以内に行ける範囲に定めていた。「それを超えちゃうと作業効率も下がるし、自分の目の届くレベルも落ちますからね」。

市報の配布や水道メーターの検針を自分自身で行う場合も。

「面倒と言えば面倒ですが、自身で必ず物件にかかわれるのはいいことだと思いますよ。その時に物件を一通り見ておいたおかげで、早期にトラブルを発見できることもありますから」

退去時の原状回復にかかる見積もりを依頼した業者には、壁の張り替えのみを発注し、それ以外の作業は自分で仕分けして、それぞれ安い業者に自分で発注する。管理費や除草作業も一回にかかる費用は少額でも、積もれば高額だ。小さな積み重ねで、コストを極力削減してきた。

直近では、安定的かつ長期的な入居を実現させるべく、自身の物件に花を植えた。これまで殺風景だった場所が華やかになり、「雰囲気が良くなりました。きちんと管理されていて、『人が住んでいるな』と言う感じが出るんです(笑)」という。加えて「入居者さんにも心理的にプラスになるなら、大家としてはやりがいがありますよ」と笑顔を見せる。

■無借金不動産投資のためにあきらめたモノ

融資を受けずに物件を購入してきた。必然、検討の土台に上がる物件は限定的になる。「RCマンションなんて高いから無理ですよ。鉄骨造の格安マンションがせいぜい」。規模の大きな物件はよほどの「問題」物件でなければ難しい。だが、その一方で「返済がない分、収益率が高いから、手元にお金が貯まるスピードは早い。規模が大きくなるにつれ、その加速度も高まります」。

無借金で不動産投資を行うと決めた時、あきらめたものもあった。新築のマイホームだ。

「給料や不動産収入で得たお金をどうするのかという選択を迫られました。私たちの場合は、子供の学費に充てるのか、不動産投資を続けるのか、家を買うための貯金にするのか…。結局、マイホームをあきらめたんです」

マイホームを買っていれば、不動産投資はできなかった。「妻は『今でも新築のマイホームにあこがれる』とはっきり言っていますから、申し訳ない気持ちもあります。でも、やはり今のこの生活が成り立っているのは不動産投資のおかげでもあると思うので、後悔はしていません」

無借金経営を続けて成功してきた今、今後も融資を受ける考えはない。手持ちの現金でできる範囲の不動産投資をしていくという。「妻にはいつもギリギリだとは言われますが(笑)、今もある程度専業大家として生活は成り立っています。無理をしないでいきたいですね」。

■大家業の、辛抱強くやっていける「良さ」

自身の住む地方都市では人口減少が進む。これまでやってきたことは間違いではないと思いつつ、今後を検討していく場合には、自身の生活圏を出て不動産投資も実践していきたいという。現在は東京都内、特に山手線沿線での物件探しも行う。もちろん、自己資金のみで購入できる物件を探しているため、ハードルは高い。

「なかなか難しいですね。でも、大家業がいいな、と思うのは、長い時間の中で、辛抱強くやっていける部分だと思うんです。今は物件価格が高くても、粘り強く探す中で、チャンスは見つけられると考えています」

辛抱強さを発揮できるのは、融資状況に左右されず、自己資金という強みがあるためでもあろう。

信条は「快適で安価な部屋の供給で、社会に貢献すること」。安く購入できる再生物件がほとんどのため、どうしても家賃は低めだ。だが、「家賃が安いから当然『イマイチ』な物件…ではなくて、確かに新築とは比較にならないかもしれないけど、『この家賃でこのお部屋なら、快適だな、いいな』と、そう喜んでもらえる物件を提供したいんです」と力強く話す。そうした入居者の喜びが大家としてのやりがいでもあり、そして現実的な利益でもある。

これまで自身がやってきた不動産投資の手法については「実践している人が少ないだけで、私以外でもできるはず」と語る。だが、コツコツと堅実に資金を貯め、そして物件を再生させるその辛抱強さと行動力、決断力は、誰にでも真似できるものではないだろう。

無借金の自主管理。ゆたちゃん氏のその柔らかな口調とは裏腹に、胸に抱く思いは熱い。

「これまで融資を受けずにマイペースでやってきましたから、このマイペースさは崩さずにいたい。でもその一方で、入居者さんが私の物件に住んでいるということは、私にはいろんな責任がある。事業者として安全な部屋を必ず提供する、その意識だけは持ちながら、今後もマイペースにやれたらいいなと思います」
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:2月21日(木)15時00分

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株式会社ファーストロジック

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