ここから本文です

高利回りでも油断できない地方物件の「罠」《楽待新聞》

2月19日(火)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© naka-Fotolia)
拡大写真
(写真© naka-Fotolia)
首都圏ではなかなか巡りあえない高利回り物件も、地方であれば購入できる――。その収益性につられて地方投資をはじめてみたものの、大失敗してしまったというケースは多い。「どこで間違った?」「どれだけの損が出ている?」「どうやってリカバリーした?」など、その本音を投資家本人に聞く。

■リーマンショック時、派遣切りで全空に…

埼玉県在住のR・Hさん夫妻は、ご主人が購入、奥様が管理を担当する夫婦分業制で不動産投資を行っている。

「2007年、北関東のとある工業団地のそばに築8年、利回り12%の木造アパートを4800万円で購入しました。築10年未満ということもあってキレイな物件で、カップルや少人数のファミリー向けです。建物の状態も良いので、一目見て気に入りました。頭金を2割入れ、O銀行で融資を受けて購入しました」

10戸すべてが同じ法人に借り上げられていたが、工業エリアで法人借上げが多いということもあり、特に疑問を持たなかったという。

「法人の一括借上げということは、一括退去のリスクもあるということです。今ならそれを理解していますが、その当時は深く考えていませんでした。黙っていても家賃が入るし、自主管理をしていましたが、特にすることもなく、まさに不労所得状態で1年が経ちました」

その後、2008年のリーマンショックで状況が急転する。

「2008年の秋ごろにリーマンショックがあって、年末に近づくにつれて派遣切りがテレビのニュースで話題になってきました。たまたま見ていたニュースで、『この年末には退去しなくてはいけない……』とインタビューを受けている派遣社員がいて、テロップに映し出された工場や地名が、まさにうちの物件のある工業団地でした。あの時の衝撃は今でも忘れられません」

そのニュースが報じられた翌週に、契約している法人から退去の連絡があった。

「テレビで見ていたので、『ああ、派遣切りって本当だったんだ』と思いました。そして、派遣社員の人たちも大変だけど、私たち大家さんもすごく大変なんだなぁ、と。全空ですから、ローンも支払えなくなります。主人と今後どうしたらいいのか相談しました」

そして、退去予告を受けてすぐ現地に行き、客付け会社を回った。

「もう、みんな異常事態といった感じでした。とにかく借りてほしいということを伝えてもらい、新しい入居者を募りました。年末のタイミングで退去だったので、翌年の繁忙期にはなんとか満室にしましたが、家賃は1万円以上も下がりました。リーマンショックの前と後では、年間の収益が100万円以上も変わったんです」

今でこそ大学や工場など、何か一つのニーズに依存するのはリスクが高いというのは常識といえるが、当時はまったく意識していなかったとR・Hさんは語る。また、製造業は景気に左右されやすいという事実や、法人契約の一斉退去のリスクなど、地方の工業団地でのアパート経営の難しさは、直面して初めて知ったことばかりだったという。

「当時は今よりも情報が少なかったというのもありますが、結局いえるのは『無知はリスク』ということ。目先の数字に飛びついてしまったのが、失敗の要因だと思っています。当たり前ですが、家賃が下がれば利回りも下がる。安易に利回り重視で物件を選んでしまいましたが、もっと多方面から物件を分析すべきでした」

R・Hさんはいくつかの物件を所有するが、以降は利回りが多少低くてもリスク要因が少ない物件を選ぶようにしているという。

■高利回り物件のはずが入居率50%に

東京都在住のサラリーマンで、北関東の郊外で築30年のRC造マンションを所有するS・Yさん。約1億円で1K×28戸を購入、利回りは11%強で、条件を聞く限りは今時見かけない高利回り物件に思える。

「購入したのは2014年です。徐々に物件が値上がりしているタイミングで、利回り10%以上、フルローンで購入できる1億円程度の物件を探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。この直前に2~3回買い逃していたこともあり、情報を聞いたときに即決しました。振り返ると完全に『買いたい病』に罹っていましたね。融資はS銀行で、金利は4・5%です。今でこそ複数の金融機関がアパートローンを貸し出していますが、当時はスピード優先で、銀行を選べるような感じではありませんでした」

問題が起こったのは購入して3カ月後。なんと、30戸中半分が空室になった。

「今考えると、売るために無理やり客付けをしていたのかもしれないですね。真相はわかりませんが、どんどん退去が続いて、気が付いたら入居率は50%を切っていました。当然ローンは払えなくて、月々の持ち出しは20万円になりました。『金持ち父さん、貧乏父さん』の本を読んで不動産投資を始めたのですが、お金持ちどころか完全に貧乏です。妻には話せず、誰にも内緒で貯金を切り崩して払っていました」

空室を改善するために管理会社を訪問したところ、まったくやる気がなく、客付けのための提案もない。そこで管理会社を変えることにしたS・Yさんは、地元の会社はもちろん、クチコミで良いといわれる会社など、数多くの管理会社・客付け会社に足を運んだ。

「『中には、あの物件を満室にするのは無理!』とはっきり言われたこともありました。考えてみれば、地方なのに15㎡強の狭小ワンルームで3点ユニット。競争力はまったくありません。結局、不動産投資家の物件を多く取り扱っている管理会社に決めました。その会社は客付け会社とのパイプが太いうえにフットワークも軽く、何より空室対策についてたくさんの提案がもらえたからです」

その後、S・Yさんは管理会社の協力のもと、あらゆる空室対策を行った。

・地元の客付け業者巡り

・空室のリフォーム

・ガス会社を変更して住宅設備を交換

・入居条件緩和(外国人・生活保護OK)

・初期費用負担

・AD増加(相場2カ月→3カ月)

「まずは地元の客付け会社から、どんなニーズがあるのか、どんな条件なら貸せるのかを聞いて回りました。管理会社の中には大家さんが自分で動くのを嫌う会社もありますが、私の管理委託先は投資家向けの会社なので、むしろ協力的でした。その後、ニーズに合わせてリフォームをしましたが、なにせ予算がないので、ガス会社に協力いただいてモニター付きインターフォンを新しくしたり、インターネット通販で安く買った照明を各部屋に付けたりしました」

その結果、なんとか半年で満室になったという。今では8~9割程度で稼働し、黒字経営を続けている。

「家賃は繁忙期を逃したときは下げますが、それ以外は極力下げないようにしています。その代わり、初期費用を負担したり、部屋をキレイにしていることもあって出費が多いですね。今も一応利回りは10%以上をキープしていますが、空室に対するコストがかかっていますから、黒字といっても余裕はそんなにありません。正直言って、金利が高いと利回りが10%あってもラクではないですよ」

現在金利交渉中で、これが成功すればキャッシュフローに余裕が出る。今は3棟の物件を所有しているが、1棟目で客付けの方法をマスターしたせいか、2棟目以降はニーズのある物件を購入して満室稼働させている。

「RC造は確かに融資は出やすいですが、『良い物件を買う』というよりは『融資のつきやすい物件を買う』という風になりがちです。また、1億円くらいの物件は足が速くて、急いで決断しなくてはいけないため、初心者は判断を誤りがち。もう少し都会ならともかく、畑が残るような地方で狭小ワンルームは本当に厳しいと思いました。最低でも地元業者に電話ヒアリングをして、ニーズを聞けば良かったと今でも後悔しています」

■節税対策の新築アパート乱立、家賃が大幅下落

静岡県在住で30代半ば、年収400万円の独身サラリーマンN・Kさんは、同県I市で築24年の軽量鉄骨アパートを所有している。以前、転勤でI市に住んでいた経験もあり、そのエリアについて詳しいことから、購入に踏み切ったという。

「サラリーマンの不動産投資といえば、東京や大阪など大都市圏の投資家が多いですが、僕のような地元投資家も増えていると思います。僕は以前、飲食チェーンに勤めていたこともあり、東海エリア全域に詳しいと自負しています」

そんなN・Kさんは不動産投資を始めるにあたり、当初は賃料の高い静岡市内を狙っていたものの、なかなか物件がなかったという。

「静岡市は地方でありながら、駅中心に商業施設が集まっているので、その立地が厳密に問われます。良い場所を選べば必然的に価格が跳ね上がり、なかなか買えません。そこで、静岡県内でもあえて政令指定都市や県庁所在地などは外し、少しマイナーな地域を狙うことにしたんです」

政令指定都市である浜松市にほど近いI市で、平成築ながらも利回り13.5%というお買い得な物件が購入できたという。

「購入したのは2015年です。大手アパートメーカーの軽量鉄骨で築24年。2950万円という手頃な価格で、リフォームは充分すぎるくらいされていました。どうやら前オーナーは地主さんで、メーカーの提案のまま過剰な設備投資をしていたようです。相続が理由ということで、安く購入することができたのです」

安く購入できる理由といえば、「建物の修繕費が多額にかかる」「空室が多い」「問題入居者がいる」といった物件主体の理由が多いが、「相続による売り急ぎ」といった理由であれば、思わぬお買い得価格で物件購入をできるチャンスといえる。

「アパートを継いだ地主さんは、賃貸経営を面倒に思っていて、残債分で売ることにしたらしいです。そもそも2014年から物件探しをしていましたが、だんだん高くなって、僕のような属性の高くない人が物件を買うのが難しくなっていたことを肌で感じていましたから、これを逃したらもう後がないと思い込んでしまったのです」

こうして、物件購入を決意。融資も地元の信用金庫から2%台で受けることができた。

「特に競争力が秀でる部分はなかったですが、1DKの間取りが10室あり、駐車場も各1台ずつ、基本的なスペックは満たしていると思います。当分、修繕費がかかることはなさそうだし、入居付に問題になることもないと購入に踏み切りました。安くて高利回りのキレイな物件が買えて、本当に良かったと思いました」

購入時の空室は2室で、地元の管理会社に委託して数カ月後には満室になった。問題となったのは、2016年の繁忙期だったという。

「単身向けのアパートですから、ちょこちょこと入退去がありました。それでも9割近くで稼働はしていましたから許容範囲です。異変が起こったのは2016年の春、急に半分くらい退去があったのです。これはたまたまだと思うのですが、空いてしまった後に全然入居が決まらないのです」

これまで多少家賃を下げればすぐ埋まっていたのに、募集をしてもまったくレスポンスがないという。おかしいと思ったN・Kさんが管理会社に出向いたところ、驚きの事実が判明した。

「どうやら2016年の春、近所にたくさんの新築アパートができたようなのです。何棟という単位でなくて、10棟以上は増えています。うちと同じメーカーでもたくさん建てていますし、完全な新築ラッシュですね。需給バランスが崩れています」

相場家賃が大幅に下がったことにより、利回り低下を余儀なくされたN・Kさん。2015年の相続税改正以来、首都圏の郊外、地方でも比較的相続税路線価が高いエリアを中心に、相続税対策のための新築アパート建築が続いているという。

「本来であれば、築古アパートは新築アパートと競合しないといわれていますが、うちのエリアはそもそもマイナーです。新築が埋まらず家賃を下げれば、中古はそれに引きずられる形でもっと安くなります。これまでよりも5000円は下げなくては入居がつかないと言われて、大ショックでした」

物件価格自体は高くなく、借入もそう多くないため、破綻の危険といったことはないが、高利回り物件ではなくて、そこそこ利回り物件になってしまった。

「購入したときには、まさかここまで新築のプランがあるなんて夢にも思わなかったです。今年の春はさらにまた新築が増えて、去年の新築物件の値段が下がったみたいです。今年の春は2部屋程度しか入れ替わりはなかったですが、また家賃が少し下がりました。どんどん利回りが下がりますから、こんなはずではなかった…って思いますよ」

そう嘆くN・Kさんだが、収支はまだプラスということもあり、「次は需給バランスをしっかり研究して購入したい」と不動産投資には意欲的だ。

紹介した3人はいずれも「こんなはずではなかった」という後悔の念を抱いている。しかし、自らの行動力でしっかり経営をリカバリーし、当初の高収益は見込めないものの、収益はプラスの状態で賃貸経営を続けている。

不動産投資のリスクの多くは方法次第で回避でき、想定外の事態が発生しても、ある程度の資金力と行動力があればリカバリーが可能。最後まであきらめず、正しい方法で努力を続けていけば、経営を立て直す道は残されている。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:2月19日(火)20時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

不動産投資の楽待

不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

最新記事を毎日更新

実際に不動産投資を行っている投資家の
「失敗談」や「成功談」をはじめ、
不動産投資をするなら必ず抑えておきたい
ノウハウを記事にして毎日配信!

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

平均年収ランキング

ヘッドライン