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いまだ残る関西独自ルール、「敷引き」って何?《楽待新聞》

2月11日(月)15時00分配信 不動産投資の楽待

(PHOTO: iStock.com/Nikada)
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賃貸契約の際に借主が貸主に支払う費用として、一般的には「敷金」と「礼金」が知られている。一方、関西圏に独特なルールとして「敷引き」というものがあることをご存じだろうか。

■敷金、礼金、保証金、敷引き…それぞれの違い

まずは一般的な「敷金・礼金」の定義について。敷金は、家賃の不払いなどに備えて貸主が借主からあらかじめ預かるもの。退去時には修繕費用などを差し引いて借主に返金される。礼金は文字通り「貸主へのお礼」。家を貸してくれた礼として支払うお金であり、返金はされない。

この「敷金・礼金」に対して、関西では「保証金・敷引き」という名目で費用が請求されることが多い。このうち「保証金」は、家賃不払い等への担保となる金銭であり、「敷金」とほぼ同じ意味合いをもつ。

一方の「敷引き」は「礼金」とは違う。「敷引き」は「あらかじめ決められた退去時の修繕費用」のこと。なお、ここでは「保証金・敷引き」と表記しているが、「敷金・敷引き」という名目で設定されていることもある。

■「敷引き」は何に使われる?

敷引きの具体的な費用負担を数字で見てみよう。

賃料10万円の物件があったとする。募集条件が「敷金3カ月・礼金1カ月」の場合、当初必要な費用は10万円×3+10万円×1=40万円となる。これが「保証金3カ月・敷引き1カ月」だと、当初は10万円×3=30万円となり、同じような表記なのに10万円少ない。

■では退去時はどうなるか?

「敷金3カ月・礼金1カ月」のような「敷金・礼金」方式では、一般的に退去時に必要なのは原状回復費用のみ。敷金、礼金がいくらであったとしても、経年変化と通常損耗を考慮した原状回復費用を負担するケースが多い。

手元に帰ってくるのは敷金3ヶ月=30万円から原状回復費用を差し引いた金額。もし原状回復費用が30万円を超える場合は、敷金は帰ってこず30万円を超える金額を追加負担することもある。

これが「保証金3カ月・敷引き1カ月」だと、退去時費用は敷引きの金額=10万円となる。キレイに利用していても、雑に使っていても退去時費用は同じだ(ただ、過度な損傷があった場合は別途請求される場合もあるが‥‥)。借主には保証金30万円から10万円を減じた20万円が返金される。

また、どの部分を補修するか等を話し合う必要がなく、極端な破損等がなければ追加の補修費は不要。退去時の手間が軽減されるメリットがある。

■敷引きルール消滅の日は近い?

関西のローカルルールである「保証金・敷引き」方式。今は採用件数が少なくなっている。理由は、国土交通省による「現状回復をめぐるガイドライン」の制定だ。

平成10年に発表され、初めは「東京ルール」と呼ばれていた同ガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」が原状回復で、経年変化や通常損耗等の修繕費用は賃料に含まれるとしている。

よって、何年住んでも退去時の負担が一定金額である「敷引き」は経過年数を考慮していないため、短期間に退去する借主に国土交通省のガイドラインに沿ったものではないと主張され、トラブルになる可能性があるのだ。

実際、平成16年に神戸地裁では、敷引きは信義則に違反して賃借人の利益を一方的に害するもので、消費者契約法10条により無効であるという判決を出している。仲介会社によっては、コンプライアンス上「保証金・敷引き」方式を受けない。



徐々に減りつつある「保証金・敷引き」方式だが、全くなくなったわけではない。ポータルサイトで見かける件数は減っているものの、いまだ「保証金・敷引き」方式で募集されている物件も多い。

借主としても、気に入った物件であれば「敷引きはガイドライン違反だ!」と文句を言っても仕方がないので黙って借りるだろう。古いオーナーには「ガイドラインがなんだか知らんが、借りたくない奴は借りなければよい」なんて人も多いようだ。

今後は「敷金・礼金」方式が増え、「保証金・敷引き」方式は減っていくと思われる。今はちょうどその過渡期だ。関西で中古の一棟物件を購入する際は、「保証金・敷引き」方式であるかどうかを確認するとともに、新規募集時に順次切り替えていくのが無難だろう。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:2月11日(月)15時00分

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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