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曙ブレーキが私的整理。好調の自動車業界でなぜ部品メーカーの経営が苦しいのか?

2月7日(木)11時40分配信 THE PAGE

事業再生制度を活用し、経営破綻を回避したい意向

写真:アフロ
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写真:アフロ
 自動車部品メーカー「曙ブレーキ工業」が、経営不振から金融機関を対象とした私的整理を実施することになりました。トヨタ自動車など、同社の販売先である自動車メーカーの業績は絶好調ですが、2017年にはエアバッグ製造のタカタが、リコールをきっかけに経営破綻し、中国企業にたたき売りされるという出来事もありました。活況を呈する自動車業界でなぜ部品メーカーの経営が苦しいのでしょうか。

 曙ブレーキ工業は1月30日、私的整理のひとつである事業再生ADR制度を活用し、経営再建を目指すと発表しました。金融機関に返済猶予などを求め、経営破綻を回避したい意向です。この手法は、金融機関だけを対象としたものなので、製品には影響しない見込みですから、大きなトラブルがなければ、部品の供給が滞ることはなさそうです。

 同社が経営危機に陥った原因は、意外にも絶好調といわれる北米市場での躓きです。主要な納入先だった米国メーカーがセダンの製造を取りやめたり、モデルチェンジに伴う新規受注を逃すなどの事態が相次ぎ、資金繰りが厳しくなりました。

黒字決算でも経営危機 原因は負債の大きさ

 もっとも経営危機といっても同社の直近の半期決算は減収減益とはいえ黒字決算です。黒字であるにもかかわらず、ちょっとした経営環境の変化でいきなり私的整理になってしまう最大の理由は負債の大きさです。

 これは経営破綻したタカタにも共通する話ですが、曙ブレーキは黒字経営ではありますが、利益が小さく、事業から得られる利益で設備投資をする余裕がありませんでした。このため金融機関から多額の借り入れを行っており、常に返済を迫られている状況です。こうした状況で、計画の一部が狂ってしまうと、入るはずのお金が入らなくなり、たちまち資金繰りに窮してしまいます。要するに十分な利益を上げてこなかったことが最大の原因です。

 当然ですが、自動車部品メーカーの顧客の大半は大手自動車メーカーです。曙ブレーキはトヨタ自動車が筆頭株主ですが、独立色が強く、トヨタだけでなく、日産や米GM(ゼネラルモーターズ)にも製品を納入しています。

 自動車メーカーは絶好調ともいうべき米国市場の躍進を背景に、ここ数年、巨額の利益を上げてきましたが、その分、市場からの期待は大きく、安倍政権も脱デフレを実現するため自動車メーカーの大幅な賃上げを強く望んでいました。期待値が大きかった分、逆に部品メーカーに対する値引き要求も激しかったものと思われます。

 部品メーカーへの支払いを手厚くすれば、今回のような事態は回避できますが、今度は自動車メーカーの利益が減ってしまいます。一方、優秀な部品メーカーのレベルが下がってしまうと、自動車の品質そのものに影響してきます。北米市場は頭打ちとの予想もありますから、今後の自動車業界は難しい舵取りが求められそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2月7日(木)11時40分

THE PAGE

 

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