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ぐっちーさん「米中新冷戦は他人事ではない」

1月13日(日)5時50分配信 東洋経済オンライン

メキシコ国境を訪れるトランプ大統領。2019年はついにこの人が最大のリスク要因になってしまった(写真:AP/アフロ)
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メキシコ国境を訪れるトランプ大統領。2019年はついにこの人が最大のリスク要因になってしまった(写真:AP/アフロ)
 昨年末からあちこちで書いていますが、アメリカのマクロ経済における要素そのものには、何一つリスクもありません。これも何度も言っているように、「米中貿易戦争」についても、「絵空事」に等しいのではないでしょうか。

 事実、制裁関税導入後もアメリカの対中貿易赤字は過去最大に拡大しています。また、アップル株が急落して「いよいよGAFAなどの巨大企業のオーバーバリューが訂正される!!」などと騒いだ某マスコミもありますが、時価総額トップは今やアマゾンで8021億ドル。以下マイクロソフト(7892億ドル)、アルファベット(7373億ドル)と続いているわけですから、大まかに言えば確かに一時期よりは株価は落ちましたが、これはGAFAの問題というよりは、単に時価総額トップだったアップルがこけただけ(7203億ドル)、の話ではないでしょうか。
■今年の最大のリスク要因はついにトランプ大統領に

 しかし、だからと言って今年のアメリカ経済にリスクがないとは言えないのが頭の痛いところで、今年の場合、最大にして唯一のリスク要因は……そう、ドナルド・トランプ大統領そのものです。

 これは前も書きましたが、トランプ政権誕生後ここまでの2年間、市場は、彼のやることをほぼ無視してきました。というのも、自分のことしか興味がない、ナルシスティックで、わがままで、騒いでいたと思ったら、次の日はみんな忘れている……というとんでもないおっさんの権力者は、ウォールストリートというところにはたくさん生息しているわけです。
 ですから、ワタクシを含め、そういうところで働いている連中にとってはあまり珍しい物ではなく、「あ、あの種族ね…」という感じで、誰も本気にしていなかったというのがホンネでしょう。実際にこれまでやってきたことを見ると、減税の効果もはっきりしませんし、まして米中貿易摩擦なんて、それ自体なんの影響も出ていないわけです。メキシコと揉めるかと思いきや、あっという間にUSMCA (アメリカ・メキシコ・カナダ協定)はまとまりましたし、なんだかんだ言っても、周りのブレーンがうまく動いてくれている、という印象が非常に強かった……。
 ところが、ついにジェームズ・マティス国防長官が辞任してしまい、彼を含めて影で支えてきたMMT(ハーバート・マクマスター氏とレックス・ティラーソン氏)がこれですべて閣外に去ることになりました。

 ウォールストリートとしても「さすがにこれはまずいのではないか」、と思い始めた、というところが真相でしょう。今まではMMTがいたので、トランプ大統領の意思とは別に、複雑な案件はうまく処理されてきました。しかし今や、アフガニスタン撤退やISIS問題をめぐってトランプ大統領の意思が見えてしまったわけです。これは深刻です。
 ですから、市場から見ると、今年の最大のリスクはやはりトランプ大統領そのものと言ってよく、その延長線上に昨年末からの株式市場の混乱があるとみていい、と思います。

■「米中新冷戦」は米中だけの問題ではない

 米中に関して言えば、貿易問題などは言って見ればどうでもよく(あまりにも事態を矮小化しすぎている)、むしろ「新冷戦」であらわされるような新たな敵対関係、いわば米中関係の「デカップリング」という観点から見ることが非常に重要だと思われます。
 冷戦というのは第2次世界大戦後の米ソ関係を表したものですが、その対決の中身はマルクス・レーニン主義と資本主義という、いわばイデオロギーの対立に過ぎず、経済的観点からは何の影響もなかったわけです。

 つまり、ソビエト連邦という国は軍事力を背景に、政治的には力を持っていましたが私がモスクワに駐在していた1985年まで見ても経済的には西側諸国に対しては「全く無影響」の状態でした。事実、その後ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦自身が解体しても、われわれには経済的にはほとんど何ら影響はありませんでした。
 しかし、中国の場合は話が違います。単なるイデオロギー闘争のレベルでも、単なる貿易紛争のレベルでもなく、根本的な米中デカップリング化、ともなれば、サプライチェーンからはたまたデジタル技術規制に至るまで、その影響はとてもじゃないですが「没問題」というわけには行きません。

 例えば先ほどお話したUSMCAについてみても、なぜか日本ではほとんど報道されていませんが、「参加国が非市場経済国とFTA(自由貿易協定)を結んだ場合、他の2カ国は6カ月後に協定を離脱し、2国間の協定を結ぶことができる」という一文が入っています。
 この非市場経済国というのは中国を指すのは明らかで、間違いなく、日本や欧州とのFTAにおいてはこの一文を入れることにアメリカは固執するでしょうし、そうなるとこの「デカップリング」に日本を含めたアメリカ友好国全体が巻き込まれる可能性は十分で、その意味では安易に「冷戦」という言葉を使うことも当たらないような気もします。

■日本企業にとっても「難儀」な状況に

 すでに一部で報道されているように、「トランプ大統領は早ければ1月中にも、イランなどへの制裁に使ってきた国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、アメリカ企業が中国のハイテク企業であるファーウェイとZTEの通信機器利用を禁止する大統領令を出す」との話まであります。
 ここにきて、いわばノーブレーキ状態のトランプ政権が暴走し始めるとこういうことが起きて来る。日本が良い例ですが、すでに5Gの実証実験にはファーウェイなども参加していたため、こういう話になると同盟国はかなり難しい立場に追い込まれることになります(政府は中央省庁の情報通信機器調達で、事実上2社を排除する方針)。米中はすでにもうお互いの「面子」を掛けた戦いになり、そう簡単に退けるものではありません。われわれ日本企業にとっても「難儀」な状況が続くことになり、昨年までと異なり、今年の最大のリスクはまさにトランプ大統領ではないでしょうか。
 こういうアメリカの状況のルーツは元々あったわけですが、私は「まさにカップが満タンになってしまった…」と表現しています。MMTが閣外に去った今、まさにカップは満タン状態。どこからこぼれて来るのか、市場はかなり緊張して見ているはずです。

 なお、最近のアメリカにおけるトランプ大統領を取り巻く環境、国民感情(特にトランプ支持者)ついて非常に良く書けた本があります。他社の本で恐縮ですが、朝日新聞出版社「記者、ラストベルトに住む」(金成隆一著)はお勧めです。
 トランプ本はアメリカに住んだり、実際に仕事をしたりしている私から見ると、違和感ありまくりの本が多いのですが、これはかなり現実に近い。著者の金成さんは朝日新聞のニューヨーク特派員ですが、ラストベルト地帯などに実際に住んでみるなど、記者魂は健在です。そのあたりにご興味のある方には、是非お勧めしておきたいと思います(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
 ここからは恒例の競馬コーナーです。

 「搾りかす世代」の戦いか……。

 競馬では品格(馬格)の選択と、世代間競争の視点が欠かせない……と言ったのは、大橋巨泉さんでしたか…。昨年の有馬記念ではこの「世代間競争」という点が見事にはまりました。その視点が落ちていたことで、頭(ブラストワンピース)を取り損ねました。

 2018年度の代表馬になったアーモンドアイの世代(今年4歳)はまさに選ばれしエリート世代。それに比べると、下の「今年3歳世代」のしょぼさは、今のところ「こりゃいかになんでも……」と思わざるを得ません。失礼かもしれませんが、「搾りかす」世代であります。
 これは人間世界にもあてはまるかもしれません…。みんながみんなとは言えませんが、例えば、どの企業でも、例えば「バブル世代」は後ろから追ってくる優秀な「がりがり世代」にやられまくって苦労しているようです。

■京成杯は「4頭ボックス」で3連単勝負

 ということで、週末は京成杯(14日、中山競馬場11R)。3歳牡馬を中心としたクラシックレースの1冠目・皐月賞(4月14日)やその前哨戦の弥生賞(3月3日)の舵一缶弥生賞と同コース、同距離、という例年ならば「ココロオドル」レース。しかし、アーモンドアイのせいで、昨年に比べるとあまりにもしょぼいレースが予想されます。力入らん……。
 まあ、順調に昨年12月の葉牡丹賞を勝ってきたシークレットラン、同9月野路菊ステークスの勝利馬を評価してカテドラル。さらに東スポ2歳ステークスで好走したダノンラスター、さらにはラストドラフトは「デムルメ」(鞍上がそれぞれM・デムーロ、C・ルメール騎手)ということでしっかり抑えておきたいところ。外国人ジョッキーは特に新馬に近い若駒に妙な力を発揮させるパワーがあり、ここは4頭ボックス3連単! で勝負してみたいと思います。
 あ、ただこのレースなぜか外枠に位置する「ピンクの帽子」がすっ飛んで来るイメージがあります。データを調べて見たら、2012年から4年連続でピンクの帽子が馬連に絡んでいました。中山の外は不利、ってんだけど、これは何なんだろうかね……ということで、ピンクはついでに押さえた方が良さそうです! ご検討を祈りますぞ! 
ぐっちーさん :投資銀行家

最終更新:1月15日(火)19時00分

東洋経済オンライン

 

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