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元日経記者が教える、いまさら聞けないチャートの読み方の基本のキ

1月12日(土)15時31分配信 HARBOR BUSINESS Online

(ハーバー・ビジネス・オンライン)
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◆投資効率を高める「チャート分析」

 株価の動きをグラフにしたものを「チャート(罫線=けいせん)」と言います。株式市場では、過去から現在に至る株価の動き(足取り)から将来の動きを予想するチャート分析に根強い人気があります。

 チャートには、いろいろなタイプがあります。日々の株価の動きをグラフ化した日足(ひあし)、1週間の株価を表した週足(しゅうあし)、さらに月足(つきあし)、年足(ねんあし)などがあります。

 日足や週足を見ることで、比較的短期の株価の動きが分かります。月足、年足からは長期的な株価動向を知ることができます。投資家がチャート分析をするのは、さまざまなチャートから売りと買いのタイミングをつかみ、投資効率を高めることを目指すためです。

 参考までに、情報サービス会社、クイックが作成した日経平均の最近の日足、週足、月足の動きを見てみましょう。

◆期間の違いによって、図形はかなり違って見える

 期間の取り方によって図形がかなり違っているのが分かります。日足チャートを見ると、昨年12月から1月初めに底を着けた後、この数日反発してきた姿が伺えます。

 次に週足チャートを見ると、昨年10月初めに2万4000円を超え27年ぶりの高値を付けた後、12月下旬には2万円を割り込み、1万9000円近くまで下落した姿が読み取れます。10月初めのピークから12月下旬のボトムまで約3カ月で日経平均は5000円を上回る暴落となりました。その荒れ模様が読み取れます。

 次に、月足チャートで見てみましょう。日足、週足の日経平均はボトム周辺で推移していますが、過去5年程で比較してみると、2013年頃の日経平均は1万2000~1万4000円で推移していて、12月下旬に2万円を割り込んだとはいえ、まだ高値圏にあることが分かります。

 チャートの一つに「移動平均線」があります。これは一定期間の株価の平均値を計算してグラフ化したものです。例えば5日移動平均線とは、過去5日間の終値を合計して5で割って平均値を出します。翌日の平均値は最も古い日の株価を外し、今日の株価を足して5で割ります。

 このようにして作成したグラフが5日移動平均線です。先ほどの日経平均の日足チャートで赤線が5日移動平均線を示しています。

株価は日々の特殊要因で変動するケースが多いため、特殊変動要因の影響を和らげる狙いで作成されています。

◆株価とさまざまな「移動平均線」との関係

 移動平均線には、5日移動平均線の他に25日移動平均線など比較的短い期間のもの、13週移動平均線や26週移動平均線など中位の期間のもの、さらに12か月移動平均線や24か月移動平均線など、年単位の長期間のものなどいろいろあります。

 長短のさまざまな移動平均線は、目的によって使い分けられています。日々の株価の変動を分析するためには、5日移動平均線や25日移動平均線が役に立ちます。中長期的視野に立って、過去の株価がどのような変化をしてきたかを知るためには長めの移動平均線が参考になります。

 株価は似たような波動を描きます。過去の最高値・最安値はどの水準だったか、最安値から最高値までどのくらいの時間がかかったかなどを全体的に俯瞰するためには、12か月、24か月などの長めの移動平均線が参考になります。

 ネット株取引の場合、毎日の株価の動き(日足)はパソコン画面に表示されています。この日足線が移動平均を大きく上回れば、相場は過熱感から近い将来調整する公算が高まってくると判断できます。逆に大幅に下回れば、売られ過ぎの状態なので、近い将来持ち直す可能性が大きくなったと判断します。

◆押し目買いのタイミングはここを見ろ

 短期の短い移動平均線と長期の長い移動平均線がともに右上がりの状態で、短期線が長期線を下から上に突き抜けることを「ゴールデンクロス」と言います。逆に、両線が右下がりの状態で、短期線が上から下へ長期線を下げ抜ける状態を「デッドクロス」と言います。ゴールデンクロスは相場が中長期的に上昇局面にあるシグナル、デッドクロスは逆に下落局面にあるシグナルとされています。

 株価が上昇トレンドにある場合、押し目買いのタイミングを判断する一つの指標として5日移動平均線や25日移動平均線が参考になります。株価が移動平均線より高値で推移しているが、何かの理由で移動平均線近くまで落ちてきた場合は、押し目買いのチャンスです。

 しかし数日で勝負する場合は、移動平均線まで落ちるのを待たず、自分が想定する水準まで下落した場合は、購入する決断が求められます。躊躇(ちゅうちょ)しているうちに、移動平均線まで下がらないうちに上昇してしまうケースも少なくありません。そのための適切な判断が相場観です。

 株価チャートは多くの投資家が利用しています。見た目も分かりやすいため、読み方を知っておくと便利です。とはいっても、チャートはあくまで過去の株価の足跡です。将来も当てはまるわけではありません。過去と似た動きをする場合もあるし、逆に過去と全く異なる動きを見せるかもわかりません。

 株価は生き物。その時代の経済状況や流行、技術革新、国際情勢の変化などを色濃く反映します。その点で、チャート分析には当然限界があります。それを承知の上で、チャート分析から学ぶことが必要でしょう。

◆石橋叩きのネット株投資術 第25回

<文/三橋規宏>

みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『ゼミナール日本経済入門』(同)、『環境経済入門』(日経文庫)、『環境再生と日本経済』(岩波新書)、『サッチャリズム』(中央公論社)、『サステナビリティ経営』(講談社)など。
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最終更新:1月12日(土)15時31分

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