ここから本文です

「利回り10%物件も多い」が……石川県はねらい目か《楽待新聞》

1月10日(木)15時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
拡大写真
(写真:不動産投資の楽待)
2015年3月に北陸新幹線が開業して以来、観光客が増大し、地価やそのブランド力が瞬く間に成長した石川・金沢。「間違いなく景気が良い」(同地の投資家)という同県だが、不動産投資の分野では、また違った動きもあるようだ。石川在住の不動産投資家3人への取材を通して、その実態に迫りたい。

■「加賀百万石」を誇った石川県

石川県は北陸地方の中部に位置している。日本海や白山をはじめとした大自然を擁し、輪島塗や加賀友禅、九谷焼などの伝統産業も有名だ。「加賀百万石」の言葉が表す通り、前田利家が開いた加賀藩は、江戸時代、大名としては最大の石高を誇っていた。

2018年11月末時点の人口は約114万人。都市別でみると約45万人で県庁所在地の金沢市が最も多く、次いで日本三名山にも数えられる「白山」を抱く白山市、そして、小松空港があり、歌舞伎の演目「勧進帳」の舞台としても有名な小松市が続く。

■土地の値上がり、「1坪200万円でも殺到」

石川・金沢のホットトピックと言えば、3年半たった今もやはり「北陸新幹線開業」だ。石川県内を中心に16棟以上のアパートやマンションのほか、倉庫やリゾートホテル、複数の1棟ビルなどに投資している河上伸之輔さんは「金沢駅前やオフィス街、繁華街の土地の値段が異常に上がっています」と指摘する。河上さん自身も金沢市中心部にビルを所有しているが、新幹線開業前のことを次のように回顧する。

「新幹線が通る前は、駅前の土地を1坪100万円で買うなんて言ったら『そんな高い値段で買うなんて…』と思っていたくらいでした。しかし、今や1坪200万円でも皆買いたいと殺到するくらいです。そもそも売り地もなかなか出ません」

その一方で、住宅地の土地値の上がり方自体は「そんなに変わらない」。河上さんによると、金沢市の住宅地の土地値は1坪20~30万円程度が多いそうだ。だが、「富山県なら需要が高いエリアでも、その半値くらいで買える物件が多いので、金沢の大家さんでも富山県で投資する人は多いですよ」という。

■金沢市内の実態は? インバウンドがもたらす需要

県内でもっとも需要が安定しているエリアは金沢市内であることは間違いない。石川県内に1棟アパートを複数所有するKさんは「よほど変な物件でなければ金沢市内のどこでも検討します」という。

ただし先述した通り、現在金沢市内の土地価格は高騰しており、また、その高まる需要を受けて物件価格も値上がりし続けている。

金沢在住の別の不動産投資家・柳谷信行さんは「中心部は特に、もう手が出せない価格のものが多いですね。必然的に利回りも下がってきています」という。金沢大学近隣のエリアも人気は高いが、土地の値上がりと新築の供給ラッシュで「今後は厳しいかもしれない」と分析する。

そんな市内では、インバウンド需要の高まりを受けて、民泊(簡易宿所)経営を始める投資家も少なくない。河上さんも簡易宿所を所有する1人。「規制が厳しいので、あえて住宅事業宿泊法(民泊新法)でやるうま味はありません。観光地の近くや駅の近くなど、エリアを間違えなければ簡易宿所も稼働は良く、収益も問題がありません」と話す。

こうした点で、人気があるのは江戸時代に建てられた「町屋」物件だ。京都でも人気が高まっているが、これは金沢市内でも同様。だが、「町屋は取り合いになっている」(柳谷さん)という一方で、「住民が猛反対しているエリアもある」(河上さん)という声も。リターンもあるが、リスクが大きく、手間のかかる投資であることは間違いがなさそうだ。

インバウンド需要がもたらすのは民泊(簡易宿所)への利益だけではない。多くのホテルが駅前に建設されているが、こうした観光産業で働く人々の賃貸需要も高まることを意味する。こうした人々をターゲットにした賃貸物件も、今後需要が高まる可能性はある。

■「利回り10%」物件も出回るが……

金沢以外も含め、石川県内の不動産投資市況はどのようなものだろうか。河上さんは「市場には中古で10%に乗るような物件も出回りますね」と話す。自身ではさらに厳しく「RC築20年の1棟物件であれば12~13%、木造であれば15%」という検討ラインを設けている。

同じく前述のKさんも、「自身の物件では15%が平均の利回り」としつつ、「出回るものは表面利回り10%前後のものが多いです」と話しており、すべてではないものの、10%を超える利回りの中古物件もまだまだ眠っていそうだ。

ただし、あくまでもこれは満室想定の表面利回り。Kさんは「書かれた利回りは10%でも、その実ガラガラというものも多々ある」と明かす。

「開業してすぐのころは、東京などの都会の人が、電話一本でかなりの数の物件を買っていったようです。現在、そちらはだいぶ落ち着いたようですが、相変わらず新築ラッシュは続いているというのが印象ですね。『こんなところによく建てるな…』というような立地にもアパートが建ち始めているので、やりすぎだという印象があります」(Kさん)

■金沢のベッドタウン、野々市市の人口増続く

柳谷さんも、供給過多の実情に困惑する1人。「街中と呼ばれる、金沢市の中心部も含めて大手メーカーのアパートがかなり建っています。中古物件には空きが出て、家賃もちょっと下がってきていると感じています」という。

金沢市も5年前に比べて人口は増えているものの、実は、その伸び率は0.58%とそう多くはない。人口が大きく増加しているのは、金沢市の近隣自治体だ。特に野々市市は3.53%と目立つ。

野々市市は金沢市と白山市に挟まれた、人口約5万人(2018年11月末時点)の金沢市のベッドタウンだ。子育て政策にも力を入れているため、近年、「住みよさランキング」の上位にも名を連ねている。

実需が競合になってくるものの、ファミリー向け賃貸物件の需要が高いエリア。野々市市と隣接する白山市にも大きなショッピングセンターが進出する計画もあり、「アクセスの良さも抜群で、こういった場所は不動産投資家としてはねらい目」(Kさん)だ。

ただし、注意点も。前出の河上さんによると、「例えば野々市市の金沢工業大学前は要注意エリア」。競合が多い上、単身者向け物件の家賃相場も約1万5000円程度とかなり安めだと話す。人口が増えている市内であればどんな物件でも、どのエリアでもいい、というわけでもないということは念頭に置きたい。

■注意したい金沢学院大学周辺

大学でいうと、金沢学院大学の近隣エリアも注意が必要になってくるという。同大は金沢市内にキャンパスを置く私立大学だが、この大学周辺も金沢工業大学周辺と同様、家賃相場が安い上、学生向け物件が供給過剰の状態だ。

さらに大学自身も学生向けの寮を複数設置しており、2018年春にも新しい女子学生寮を新築。Kさんもこの近辺に物件を所有していたが、こうした状況を見て売却した。

河上さんも「この大学の学生向けの物件は本当にキツイ」と漏らす。これらの大学だけにとどまらないが、セールストークに『大学近くで、満室利回り10%』と書かれているのを見たら、良い物件に見えてしまいがち。

だが、「その地域は苦労せずに埋められる地域なのか? 得られる家賃は適正か? ということは、特にそのエリアを知らない方であれば十分にリサーチしたほうがいいと思います」(河上さん)という。

■「小松市」がいま熱い3つの理由

そんな中、県内の注目エリアはどこだろうか? 3人の不動産投資家がまず名前を挙げたのは小松市だ。北陸新幹線開業までは、空港を擁し、北陸の玄関口としてその存在を示してきた。大手機械メーカー「小松製作所(コマツ)」の創業の地でもあり、今も同市内に工場を抱える。

柳谷さんは「工場の景気が良く、雇用促進が進んでいるんです。小松市内は賃貸物件が足りていないという話も聞いたことがあります」と話す。河上さんも「入居付けに苦労するという印象はありません」。

Kさんはさらに、これらに加えて「3つの要素が重なったこと」が、小松市が現在注目される理由だと指摘する。

1つ目は、小松市内に大型のショッピングセンターができたこと。利便性が向上し、隣接する福井県からも人が流入しているという。

2つ目は、公立小松大学の新設だ。2018年に設置された同大には、現在約240人の学生が所属。次年度以降も学生が入学してくるため、中央キャンパスのある小松駅周辺をはじめとして、多くの物件が建てられている。

そして3つ目が、北陸新幹線の延伸工事。2022年度に金沢―敦賀間が開通する予定で、小松にも新幹線は停車予定。そのため、工事関係者が小松周辺に賃貸物件を求めているとKさんは話す。こういった状況から、以前の小松市に比べ、単身者向けの物件の供給が足りていないというのも頷ける。

もちろん、注目されているからと言って小松市が安全なエリアである、というわけではない。小松大学周辺に新築ラッシュが起こっているということは、今後競合が乱立する、ということも示唆している。北陸新幹線の工事需要も、持ってあと数年だろう。

同市内に物件を買おうと調査を続けているという柳谷さんは、「いずれブームは終わるとは思っています。その時にもきちんと経営を維持できるように、底堅い需要のある物件やエリアを見極めたいと思います」と語る。

■「地主系大家」が競合なら勝機も

JRの延伸工事需要があるのは加賀市も同様だ。山代温泉など温泉郷が有名な加賀市は、現在「温泉街で持っていた町で、昔ほど景気が良くない」(Kさん)のも事実だが、「需要は少ないけれど、しっかりとした物件を供給できれば埋めやすい」(河上さん)という側面もある。

河上さんは、「加賀市であれば1坪8万円ほどで土地を買えますが、家賃相場はそこまで金沢市と変わらず、単身者向けで5万円ほどを設定できます。利回り9%を超える新築が建てられますし、5年ちょっとくらいは需要も高いと思うので、あえて狙う、という戦略もあると思います」と話す。

一般的には需要が少なく、不動産投資を行うエリアとしては難しい能登地域。昔ながらの地主系大家が持つ賃貸物件も多いため、河上さんは「原状回復すらしていないような物件もいくつかあります」と指摘する。

「そういう物件が競合なので、管理会社と密に連絡をとり、広告料をつけたり、フリーレントをつけたり、適切な家賃を設定した上でリフォームも施せば、満室経営をすることも不可能ではありません」

■融資状況、実は富山の銀行がねらい目?

石川県の地銀は「北國銀行」だが、取材した不動産投資家らによると、北國銀行よりも富山県高岡市に本拠を置く「富山銀行」の方が「相談に乗ってくれる」のが現状だという。

「数年前に金沢に出張所を作ってから、融資を拡大していこうと積極的です。現在の状況ですから、もちろん『イケイケ』とまでは言えませんが、まだまだ強気の姿勢はあると思いますよ」(河上さん)

逆に北國銀行は石川県内の不動産投資向け融資に関して多少締め付けを厳しくしており、自己資金を2割入れることはほぼ間違いなく求められると思っていいそうだ。また、柳谷さんによると県内の信金は実績によってはまだまだ融資もするものの、「今後の新規案件は難しい」との話だという。

■北陸一の都市でも駐車場は必須

河上さんは「石川県内に限った話ではありませんし、エリアにもよりますが」と前置きしつつ、「駅徒歩○分、というのは、需要にそう大きく影響する話ではありません」と指摘する。

それより重要なのは駐車場の台数で、街中であっても単身者向けで1世帯1台、ファミリー向け物件なら1世帯1.5~2台分の駐車場が必須になってくるという。北陸の中では都会のイメージも強い石川・金沢だが、やはり「車社会」は根強い。Kさんが所有する物件は駐車場がなく、それがネックとなって、購入当初は空室に苦労したと振り返る。

大学生がターゲットであれば駐車場がなくても駐輪場、あるいはバイク置き場を設ければまだ見込みはあるというが、それ以外は駐車場の設置がマスト。「幹線道路沿いのような立地であれば、多少古くても満室にしやすいので、車社会であることが実感できます」(柳谷さん)
日本海に面してはいるものの、石川県内での積雪はそこまで問題ではない。融雪装置などは「ほとんど求められない」(河上さん)という。この辺りは、降雪の多い富山や福井とは違う一面だ。



伝統産業の息づく石川・金沢。北陸新幹線の開通によって新たな発展を遂げつつも、やはり多くの石川県民はその歴史に誇りを持っている。

「不動産賃貸業は、街づくりに影響している。未来にどのように街を残していくか、という視点で取り組めば、大家業は違った面白みがある」というのは河上さんの言だが、特に遠隔地から石川県に投資をしようと考える場合には、地元の不動産会社などときちんと連携をとらなくてはならない。

そのエリアがどのような需要を持っているのか、注意点はどこにあるのか、きちんと把握しながら、収益と街の発展、双方に寄与できる投資活動を行っていきたい。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:1月10日(木)15時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

不動産投資の楽待

不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

最新記事を毎日更新

実際に不動産投資を行っている投資家の
「失敗談」や「成功談」をはじめ、
不動産投資をするなら必ず抑えておきたい
ノウハウを記事にして毎日配信!

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

Yahoo!ファイナンスの特集

平均年収ランキング

ヘッドライン