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建築業界ってどれだけ忙しいのか? 一級建築士が業界の「真実」を明かす!

1月7日(月)15時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© tatsushi-Fotolia)
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(写真© tatsushi-Fotolia)
建築業界は現代における3K(きつい・汚い・危険)の代表職業でもあるでしょう。常に人手不足、休日不足、残業当たり前、劣悪環境、低賃金などなど、悪い状況を挙げたらキリが無いほどです。

これは本当なのでしょうか? 今回は実際に建築工事現場で監督にも携わる私が真実を公開します。

■請負形態の重層構造に問題がある

何事においても一番良い思いをするのは上の方に存在する人々です。仕事においては経営陣に近い者がより有利であり、ギャンブルにおいても元締めが儲かる仕組みができています。ネズミ講においても本当に儲かるのは上層の人たちのみです。建築業界においてはまさしくこの上層有利の原則が当てはまります。

建築現場と言うものはご存知の通り重層構造が基本となり、皆さんがご存知の○○建設なんていうゼネコンはこの最上層に当たります。このゼネコンを頂点に下層には一次下請け、二次下請けと続きます。大きな現場となると五次、六次なんて業者に達することも珍しくありません。

基本的に五次(5時)六次(6時)なんてのは帰る時刻です! 仕事をするものではありません(笑)

この重層構造には基本的に上には逆らえないという呪縛があります。逆らうと次の仕事がなくなるからです。そのため、多少無理な金額で無理な工期を要求されても請けてしまうのです。この無理な金額の傾向は下層下請けに行くほど厳しいものがあります。

なぜならば下層に行くに従い、各次下請け各社が自社のマージンを確保していくからです。元請が100万円の予算を組んでも五次下請けでは50万円以下でないと仕事がもらえなくなっているのです。このように仕事は下層へ行くに従い金額(利益)が下がるので利益が出難くなるのです。

反面、利益が下がると言うことはその分多くの仕事をこなさねば経営が行き詰るため、無理して仕事を増やすので忙しくなってしまうのです。

■熟練職人の減少

最近の建築業界においては熟練職人の減少が顕著になってきました。この熟練職人は「団塊の世代」と呼ばれる方々の占める割合が非常に多く、現在ではちょうどこの年代の方々が高齢化してきたのです。

70代でもまだまだ現役で仕事されている方々も現場では多く見られますが、さすがに70代後半になってくると無理な仕事もできなくなります。そして徐々に引退されていくのが現状です。

では減っていくのであれば補充すれば良いのではないかと思われますが、これがそう簡単に対応できる問題ではありません。職人と言う仕事は「じゃ、明日から職人やります!」といって簡単にできる仕事ではありません。数年から数十年修行をしてはじめて一人前みたいな職種も多くあります。

そもそも建築職人は3Kの代表的な職種ですので若者がなかなかやりたがりません。そしていまだに体育会系の上下関係が根強く残っている職場です。ただでさえ少子化の上、敬遠職業となると人材不足を解消するのは難しいでしょう。

しかし、職種によっては一般サラリーマンよりも高収入で独立性も高い場合もありますので、面白くない仕事をストレス溜めてやっているよりもむしろ職人の道が良い場合もあるかもしれません。私が若かりし時代は少し体が大変でも高収入だからと職人を選択する若者も多くいましたが、最近では高収入よりも体の楽さを求める若者が多いようです。これが現状です。

■時期的な忙しさ

建築工事は「工期」が決められています。○月○日までに工事を終わらせて欲しいといった要望があります。工期初期は終了日までの日数があるように感じるためか比較的余裕があります。ただ、大自然の中での作業が多い建築作業は天候次第で工程が遅れることがあります。

また工期中には製作品の納品が間に合わなかったり、現場で起きたトラブルで作業ができない日なども発生します。こういった作業の遅れが積み重なると工程末期で調整が必要となり、忙しくなります。

また、公官庁の仕事を多く請負っている建設会社は年度末、ちょうど今の時期は忙しくなります。公官庁というところは年度ごとに予算が付きます。そしてその予算は年度内に使ってしまわなければ次年度の予算を減らされるようです。

そのため3月以内に工事を完成させて予算を使い切らなければなりません。3月はこのようなカラクリで公共工事が集中するのです。国からの補助金をもらって行う工事も3月末が工事完工日となっている場合も多く、工事が集中し易い傾向です。

特にこの傾向は土木系の職種は顕著であり、不動産投資における所有物件で外構や舗装工事を依頼したい場合は、4月以降の新年度にお願いすべきです。この時期は業者の仕事も減っているので安価でよい品質の工事が期待できます。

■近年ではコンプライアンス(法令遵守)の問題も重視される

前述していますように私は現役で建設工事現場監督を行います。その現場は総工費数千万円から数十億円まで担当します。私の所属する会社はゼネコンではないので、数百億円の物件責任者はやったことはありません。現場が大きくなれば監督員が増えるだけの話です。

以前は小さな現場であれば1人の監督が複数担当していました。いわゆる現場の掛け持ちです。しかしこの現場の掛け持ちは今も昔も建築業法違反となります。昔は良かった訳ではないのですが、あまりコンプライアンスを重視していませんでした。私の所属会社でも以前は平気で複数の現場を掛け持ちしていましたが今は1現場1人以上です。

仮に現場代理人と呼ばれる現場責任者(監督)の不在時に重大な労災が発生した場合、元請責任が発生していたらその現場代理人は大きな過失を問われます。最悪懲役刑も十分にありえるのです。「会社の指示で他の現場へ行っていた!」なんて言い訳は通用しないのです。

このような現状から、最近のコンプライアンス重視の会社では現場の掛け持ちはさせません。こうした1現場1人以上の徹底は、私達現場監督をする側ではとても良い結果なのですが、同時に人手不足が発生するのです。しかも以前は国家資格が必要な現場であっても、平気で無資格者に担当させていたのですが、やはりこれもコンプライアンスに抵触するということで基本的にはやらなくなりました。

建築系の資格には「実務経験」が必要なものも多くあり、監理技術者となりうる施工管理系資格は建築系大学指定学科卒でも3年、建築系高校指定学科卒で10年、中卒者に至っては15年以上の経験年数が必要になります。また実務経験は持っていても試験の合格は簡単なものではありません。

以上のように現在の社会ではコンプライアンスの重視は当然のこととなってきましたが、その反面人手不足を生んでいます。近年では新卒者の就職難も大分良くなってきたようですが、まだまだ希望する職種に就職できる世の中ではありません。

でもその就職難は売手と買手のミスマッチによるものが大きいと感じます。建築業においてはいつでも人手不足です。職人にしても監督員にしても人手が足りていません。

私の所属する会社でも常に建築現場監督を募集しています。でもなかなか良い人材が集まりません。建築現場監督というのはある程度仕事を覚えるまでは大変です。前述した資格なども取得しなければなりません。私のようにたたき上げで一級建築士を目指すと最低でも10年は暗黒の時代になります。

まぁ、現場監督であればそこまでの資格は必要ありませんが、そこそこの大変さは覚悟しなければなりません。でもそれを乗り越えれば、普通のサラリーマンにはない「束縛されない」という大きなメリットがあります。

そして何よりも不動産投資においては建築物に対する知識量のアドバンテージが大きいでしょう。

■最後に

現状建築業界は、仕事量増加と人手不足などの原因で多忙な会社が多いです。これからは少子高齢化が進み、この現象は更に厳しくなるかと思います。希望する工事を希望する金額で希望する期限までに希望する品質で……。

こんな希望がなかなか叶えられない時代が、もう間もなく来るかと思います。いえ、既にそういった時代に突入しているのではないでしょうか。

今できることは優良業者を見つけて親密になっておくことかもしれません。工事業者も人間です。好きなお客さんの工事は優先的に対応してくれます。いつも良心的な対応をしていればいざと言う時の無理も聞いてくれます。

自分の損得ばかりを優先せずに、業者さんにも気持ちの良い仕事をしてもらうのがポイントではないでしょうか。そうすれば多少忙しい時期でも何とか融通してもらえるものです。
戸田 匠

最終更新:1月7日(月)15時00分

不動産投資の楽待

 

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株式会社ファーストロジック

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