◆ポンド、離脱案をめぐる不透明感は払しょくされず反発の余地は小さい
◆加ドル、引き続き1月利上げ期待の後退と原油のさえない動きが重しに
◆世界的な景気減速懸念を背景とした一段のリスクオフの円買いに警戒
(為替情報部・金 星)
予想レンジ
ポンド円137.00-144.00円
加ドル円80.00-85.00円
12月24日週の展望
英国の欧州連合(EU)離脱案をめぐる不透明感が続くなか、足もとでポンドの反発の余地は小さく、下方向への警戒感は根強い。英国は2016年の国民投票を経て前例のないEU離脱の道を選択し2年半近く経過したものの、先行きは未だに不透明なままである。一番の問題点は、離脱問題がどんな形で決着しようとも、大半の英国民が納得し、先行きの英経済に期待感を強める結果になることは厳しいことだ。無難な決着といえばEU残留だが、その選択には第2回目の国民投票が必要となる。
最近の世論調査ではEU残留派が離脱派をやや上回っているといわれているが、拮抗状態は2年半が過ぎても大きく変わっていない。だからどんな結果になっても半分近くの人が不満になることは避けられない。離脱案の承認か、合意なき離脱か、国民投票のやり直しかを早い段階で決めて、次の道を早く決めて進んだほうが英国にとって良い選択であろう。メイ首相は延期した離脱案をめぐる議論を来年1月7日の週に再開し、翌週に「意味ある」投票を行うことになると発表した。また、向こう数週間で英・北アイルランドとアイルランド間の国境管理を避ける「政治的・法的確証」を確保すると説明した。ただ、議会が延期になっても承認の期待感は高まっておらず、英国は合意なき離脱か2度目の国民投票の選択を迫られる可能性が高い。メイ首相は国民投票のやり直しに反対しているが、首相が腰を上げなければ、議会が実施に動く可能性もある。メイ政権の閣僚のなかでも2度目の国民投票を準備する動きも出ている模様。メイ首相は悪い離脱合意よりは合意なき離脱の方がましと言い続けてきたが、今は合意なき離脱の方が経済に深刻な悪影響を及ぼすと警告している。メイ首相が今後、再び心変わりし、国民投票に賛成の意を表明したとしても、英国民は驚かないだろう。
イングランド銀行(BOE)は今週、政策金利を0.75%に据え置くことを全員一致で決定した。声明では、ここ1カ月で英国のEU離脱をめぐる不透明感が著しく高まったと懸念を示し、原油安を背景にインフレが近いうちに目標の2%を下回るとの見方を明らかにした。第4四半期の成長率を前期比+0.2%と、11月時点の予想の+0.3%から小幅に下方修正し、19年第1四半期も同様な状況とした。
加ドルはさえない動きが続くか。1月利上げ思惑の後退や原油安が引き続き重し。カナダ銀行(BOC)のポロズ総裁は政策金利が2.5-3.5%の中立レンジに到達する必要性を改めて示した一方、世界的な景気減速懸念が高まっていることを最大のリスクと指摘し、今後は利上げを中断することも加速することもあるとの見方を示した。世界的な景気減速を背景に一段のリスクオフの円買いに注意すべきか。
12月17日週の回顧
ポンドドルは下げが一服するも、離脱案をめぐる不透明感で上値は重く、戻りは1.27ドル近辺にとどまった。加ドルは原油安も重しとなり、ドル/加ドルは昨年6月以来の加ドル安水準となる1.35加ドル台まで上昇した。世界的な景気減速懸念を背景に株安・リスクオフの円買いが進み、ポンド円は140円台、加ドル円は82円割れまで下落し、それぞれ8月、4月以来の安値をつけた。(了)
◆加ドル、引き続き1月利上げ期待の後退と原油のさえない動きが重しに
◆世界的な景気減速懸念を背景とした一段のリスクオフの円買いに警戒
(為替情報部・金 星)
予想レンジ
ポンド円137.00-144.00円
加ドル円80.00-85.00円
12月24日週の展望
英国の欧州連合(EU)離脱案をめぐる不透明感が続くなか、足もとでポンドの反発の余地は小さく、下方向への警戒感は根強い。英国は2016年の国民投票を経て前例のないEU離脱の道を選択し2年半近く経過したものの、先行きは未だに不透明なままである。一番の問題点は、離脱問題がどんな形で決着しようとも、大半の英国民が納得し、先行きの英経済に期待感を強める結果になることは厳しいことだ。無難な決着といえばEU残留だが、その選択には第2回目の国民投票が必要となる。
最近の世論調査ではEU残留派が離脱派をやや上回っているといわれているが、拮抗状態は2年半が過ぎても大きく変わっていない。だからどんな結果になっても半分近くの人が不満になることは避けられない。離脱案の承認か、合意なき離脱か、国民投票のやり直しかを早い段階で決めて、次の道を早く決めて進んだほうが英国にとって良い選択であろう。メイ首相は延期した離脱案をめぐる議論を来年1月7日の週に再開し、翌週に「意味ある」投票を行うことになると発表した。また、向こう数週間で英・北アイルランドとアイルランド間の国境管理を避ける「政治的・法的確証」を確保すると説明した。ただ、議会が延期になっても承認の期待感は高まっておらず、英国は合意なき離脱か2度目の国民投票の選択を迫られる可能性が高い。メイ首相は国民投票のやり直しに反対しているが、首相が腰を上げなければ、議会が実施に動く可能性もある。メイ政権の閣僚のなかでも2度目の国民投票を準備する動きも出ている模様。メイ首相は悪い離脱合意よりは合意なき離脱の方がましと言い続けてきたが、今は合意なき離脱の方が経済に深刻な悪影響を及ぼすと警告している。メイ首相が今後、再び心変わりし、国民投票に賛成の意を表明したとしても、英国民は驚かないだろう。
イングランド銀行(BOE)は今週、政策金利を0.75%に据え置くことを全員一致で決定した。声明では、ここ1カ月で英国のEU離脱をめぐる不透明感が著しく高まったと懸念を示し、原油安を背景にインフレが近いうちに目標の2%を下回るとの見方を明らかにした。第4四半期の成長率を前期比+0.2%と、11月時点の予想の+0.3%から小幅に下方修正し、19年第1四半期も同様な状況とした。
加ドルはさえない動きが続くか。1月利上げ思惑の後退や原油安が引き続き重し。カナダ銀行(BOC)のポロズ総裁は政策金利が2.5-3.5%の中立レンジに到達する必要性を改めて示した一方、世界的な景気減速懸念が高まっていることを最大のリスクと指摘し、今後は利上げを中断することも加速することもあるとの見方を示した。世界的な景気減速を背景に一段のリスクオフの円買いに注意すべきか。
12月17日週の回顧
ポンドドルは下げが一服するも、離脱案をめぐる不透明感で上値は重く、戻りは1.27ドル近辺にとどまった。加ドルは原油安も重しとなり、ドル/加ドルは昨年6月以来の加ドル安水準となる1.35加ドル台まで上昇した。世界的な景気減速懸念を背景に株安・リスクオフの円買いが進み、ポンド円は140円台、加ドル円は82円割れまで下落し、それぞれ8月、4月以来の安値をつけた。(了)
最終更新:12月22日(土)4時58分
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