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42歳独身、貯金1600万円。52歳で早期リタイヤしたい

12月7日(金)22時20分配信 あるじゃん(All About マネー)

◆開業もしくは転職しても資金的に大丈夫ですか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、52歳で退職を希望する40代会社員。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんがアドバイスします
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皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、52歳で退職を希望する40代会社員。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんがアドバイスします
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、52歳で退職を希望する40代会社員。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんがアドバイスします。

▼相談者

ラフティング大好きさん(仮名)
男性/会社員/42歳
埼玉県/社宅

▼家族構成

独身/一人暮らし

▼相談内容

大卒で大手企業に勤務、勤続19年目です。10年近く前に病気入院で約1年の欠勤があり、現在も病弱で給与アップが望めません。会社の福利厚生は行き届いていますが、定期的な転勤も多く、仕事でのストレスが強いです。転職すると手取りが減るのは分かっているので、60歳まで勤めるつもりですが、可能であれば10年後を目途に退職して、開業または転職したいと考えています。

とは言え、有望な資格も持っていないし、具体的な計画もありません。転職についても、周囲の失敗例を多数見ているので不安もあります。60歳で退職、あるいは52歳での退職が経済的に可能でしょうか。

▼家計収支データ

「ラフティング大好き」さんの家計収支データ
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「ラフティング大好き」さんの家計収支データ


▼家計収支データ補足

(1)開業について
士業の資格はあるが、具体的なプランはなく、開業しても収入は最悪ゼロの前提で考えている。退職後は生活費を削減することが前提です。

(2)加入保険の内訳
・本人/医療保険(65歳払込満了終身保障、入院5000円、がん入院1万円)=保険料1万円
・本人/共済(病気死亡400万円、病気入院4500円)=保険料2000円
・本人/終身保険(死亡保障1000万円)=一時払済み
・本人/個人年金保険(60歳から10年確定、年金額60万円)=保険料1万2000円

(3)公的年金と退職金の金額について
60歳まで勤続した場合、厚生年金が65歳から年に200万円程度。他に加算部分として厚生年金基金があり、60歳から月5万円程度の受給。60歳定年で2000万円。

(4)退職後の住居について
現在保有のリゾートマンションを売却し、住宅購入予定。ただし、同物件は兄との共有名義。資産価値は十分にあるとのこと。

(5)結婚ついて
予定なし

▼FP八ツ井慶子からの3つのアドバイス

アドバイス1 52歳で退職しても資金的には余裕あり
アドバイス2 開業ありきではリスクがあることを認識
アドバイス3 なぜ10年後の転職かを再考してほしい

◆アドバイス1 52歳で退職しても資金的には余裕あり

まずは希望されている10年後の退職について試算してみます。現在の貯蓄および投資ペースが年間276万円。この貯蓄ペースが続けば、10年後は2760万円になっています。したがって、52歳の退職時に、貯蓄と投資商品(評価額が変わらないとして)で合計4410万円。これに退職金が上乗せされるということになります。

また、リゾートマンションを買い替えし、退職後の住宅を確保するとのこと。売却額や新たな物件の価格、売却額のお兄さんの取り分等、不確定な点は多々ありますが、結果的に貯蓄から不足分を補うことなく、新居を手にしたと仮定します。

退職後すぐに再就職をした場合は、収入が現在より下がったとしても、収入の範囲内で生活することができれば、退職時の貯蓄は減らすことなく、そのまま60歳以降の老後資金に充てられます。かりに開業した場合であっても、会社登記や設備購入等の開業資金は必要ですが、生活費を賄えるくらいの売り上げが実現できれば、やはり4410万円+退職金の多くは老後資金に回せることになります。

どちらにしても、60歳でリタイアとするなら、公的年金支給までの5年間は貯蓄を取り崩すことになります。生活費を月20万円とすれば、不足額は5年間で1200万円。60歳時から支給開始となる個人年金保険(年60万円が10年間支給)がありますね。これを前倒しで一括で受け取れば、この間の不足分のおよそ半分はカバーできます。となると、資産は約3800万+退職金となる計算になります。

かりに退職金を1000万円とすれば、手元に残る資産は4800万円。老後90歳まで生きるとして、この資金を90歳までの25年間で取り崩した場合、月16万円に。さらに公的年金があります。65歳以降、受給できる公的年金(厚生年金+厚生年金基金)は22万円程度とのことですが、52歳でリタイアすれば、もう少し額は下がるでしょう。かりに月20万円、さらに手取りを18万円と想定しても、合計で月34万円となります。ざっくりとした試算ではありますが、生活資金としては十分ではないでしょうか。

実際は、葬儀資金を残しておいたり、病気やケガの医療費への備え、あるいは介護費用などの懸念もあるでしょう。ラフティング大好きさんの場合、すでに加入している一時払いの終身保険があります。先述の計算には入れていないので、いざというとき、解約して充当させることもできます。解約する時期にもよりますが、リタイア後であれば1000万円近くになると考えられますので、そう困ることもなさそうです。こう考えると、総じて52歳で現在の職場を退職しても資金的には可能ではないかと思います。

◆アドバイス2 開業ありきではリスクがあることを認識

ただし、気になる点がないわけではありません。ひとつは、開業について「まだ具体的な計画はなく、開業しても収入は最悪ゼロを前提で考えている」という点。もしそうなら、実質52歳からの収入はゼロとなりますから、60歳までの8年間で、1920万円(生活費月額20万円として)を貯蓄から取り崩すことになります。収入ゼロならまだいいかもしれません。損失を抱えて借金が加わるとしたら、より事態は困難になります。

曲がりなりにも独立開業している一先輩として、少しだけアドバイスさせていただくと、「売上ゼロを前提」とするような開業はしない方がいいと思います。私自身、多くを稼ぎたいとは思いませんが、きちんとお仕事をしたら、その分の対価はいただきたいと考えています。

逆にいうと、きちんと対価をいただけるようなお仕事をしたいと考えています。ボランティアでない限り、収入ゼロでいいお仕事が本当に社会に必要な仕事なのでしょうか。しっかり対価をいただける仕事を検討されてはいかがでしょうか。

◆アドバイス3 なぜ10年後の転職かを再考してほしい

開業同様、転職についても、10年後と決めていらっしゃるようですね。その理由は分かりませんが、開業も転職もご自身にとって“いい時期”というのは、前もって「いつ」と決めるのは難しい気がします。

私のことばかりで恐縮ですが、FPになる時期も、独立の時期も、結果的にとてもよかったと思っていますが、いずれも前もってその時期を決めていたわけではまったくありません。「こうしたい」というのだけありましたが、時期は決めていませんでした。独立に関しては、あまりに急に決まったことで、自分でも戸惑いがあったくらいです。

時期を決めるよりも、ご自身がどうありたいかを優先的に検討されてはいかがでしょうか。そのあるべき姿を目指すには、いまからどういった行動が必要なのか考えることで、おのずと時期も見えてくるかもしれません。資金的には52歳のリタイアで大丈夫そうでしたので、当然、60歳まで現在の職場で働けば、老後資金はさらに余裕が生まれるでしょう。これは、とてもすばらしいことです。

ラフティング大好きさんご自身ががんばって働いてきたからこそ、こうして転職等の選択肢が考えられるのですから、どうぞ自信を持ってください。あとは結論を焦らず、ぜひじっくり考えてみてはいかがでしょうか。

◆「ラフティング大好き」さんから寄せられた感想

漠然とした不安感から相談いたしましたが、漫然と管理してきた毎月の収支や自分の資産内容を振り返る貴重な経験ができました。その一方で、自分自身の考えの甘さを痛感したところもありました。先生の助言を肝に銘じ、自信を持ってしっかりと選択肢を検討していきます。この度は丁寧なアドバイスをいただき、ありがとうございました。


教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん

ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める

取材・文/清水京武
あるじゃん 編集部

最終更新:12月7日(金)22時20分

あるじゃん(All About マネー)

 

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