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サウジ記者殺害事件は何をもたらすのか? 暗雲の中東情勢・原油価格の行方 <株探トップ特集>

10月23日(火)19時30分配信 株探ニュース

日経平均が600円を超す大幅安に沈んだ23日東京株式市場。新たな警戒材料として浮上したサウジ情勢の影響を探った。
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日経平均が600円を超す大幅安に沈んだ23日東京株式市場。新たな警戒材料として浮上したサウジ情勢の影響を探った。
現在値
国際帝石 1,259 -32.5
石油資源開 2,338 -67
クラレ 1,787 +23
出光興産 4,070 -65
丸一管 3,295 +40
―WTIは目先調整も高止まり観測、シェール関連など注目―

 23日の東京株式市場で日経平均株価は、前日比600円を超す大幅安となった。米国や中国市場への先行き警戒感は強く、TOPIXは年初来安値を更新した。そんななか、市場の警戒材料のひとつとして浮上しているのがサウジアラビア情勢だ。著名記者、ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で殺害された事件を巡り、欧米とサウジの対立が表面化。その行方を巡り原油市場が左右される状況にある。米国のイラン制裁の猶予期間の終了も近づくなか今後の展開が注目されている。

●記者殺害で米・サウジ関係に緊張、WTIは一時70ドル半ばに上昇

  原油相場が市場の関心を集めている。原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、今月3日に一時1バレル=76.90ドルと14年11月以来、3年10ヵ月ぶりの水準に上昇した。ただ、その後は軟調な値動きとなり、22日は69ドル台で推移している。原油価格上昇の背景となったのが、米国によるイラン制裁で設けられた猶予期間である11月4日が迫り、需給が引き締まるとの観測が浮上したことだ。さらに、足もとで世界的な関心を集めているのが、米ワシントン・ポストのコラムニストも務めた著名記者カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で殺害された事件だ。

 同記者殺害事件に対して、欧米はサウジアラビアを批判。米議会は厳しい姿勢を示しており、米国はサウジ制裁の可能性も示唆した。その一方、サウジが制裁を受ければ報復すると警告したことで、原油供給の減少などによる混乱が懸念された。その後、報復による原油減産の可能性は否定されたものの、米国とサウジの関係悪化が深刻化すれば、中東情勢の混迷をもたらし、それが原油価格の高騰を招くとの懸念が浮上している。

●トランプ大統領は苦しい立場、トルコによる声明を注視

 そんななか、トランプ米大統領はサウジに厳しい姿勢を示したものの、同国への武器輸出の停止など制裁論には慎重な態度をとっている。一方、トルコのエルドアン大統領は、記者死亡事件に関する声明を23日に出すことを表明。その声明内容が市場の関心を集めている。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「トランプ米大統領は来月の大統領選を控え、サウジに対してあまり融和的な姿勢も見せられず苦しい立場にある」と指摘。ただ、「基本的には、トランプ大統領はサウジとの関係を荒立てることは望んでいないと思う」とし、今後の情勢次第ではあるが、問題は徐々に終息していくことを予想する。

 一方、上田ハーローの山内俊哉執行役員は「トルコの声明がサウジに厳しい内容になった場合、米国が同国へ制裁を科すことはあり得る」と予想する。具体的には、イエメンからの米海兵隊の引き上げなどの可能性もあり、「状況次第では中東の反米感情に火が付き原油価格に影響が出ることも考えられる」とみる。

●原油相場は下値60ドル、上値80ドルのレンジ相場も

 今後の見方に関して強弱感は対立しているものの、目先的には原油相場には調整懸念が出ている。米中貿易戦争の余波が株式市場の下落をもたらした場合、景気後退懸念から原油価格には下落への警戒感が膨らむ。特に、中国の景気後退は原油市場にはマイナスに働く。イラン制裁の猶予期間終了に関する影響も、ある程度原油市場に織り込んだとみられる。

 もっとも前出の芥田氏は、WTIの見通しに関して「70ドルを中心に上下10ドルの値幅で動くレンジ相場」とみる。下値は60ドル、上値は80ドル前後との見方だが、気になるのは市場の一部に「100ドル説」も飛び出す原油市場の需給のタイト感だ。同氏は「サウジやロシアを中心にイラン制裁に伴う影響を補う程度の増産は可能だが、主要産油国に増産余力はなくなっている。米国経済は好調であり、原油供給を妨げる何らかの突発的な事件があった場合、原油価格が急騰する素地は残る」とも警告する。

●国際帝石やクラレなど個別銘柄には再評価余地

 今後の原油相場の中心レートをWTIで70ドル前後とみれば、個別の石油関連銘柄には再評価余地が出てくる。国際石油開発帝石 <1605> の今期想定原油レートは北海ブレントで下期70ドルとされている。足もとの北海ブレントは80ドル前後であり、同社の想定水準を上回っている。石油資源開発 <1662> のほか出光興産 <5019> など大手元売りを含め、現状の原油価格では強含みの業績が期待されている。

 また、米国のシェールオイルの採算ラインはWTIで1バレル30~40ドル前後とみられており、活発な生産が続けられている。米国は今年、シェールの増産で世界最大の原油生産国になるとの観測もある。こうしたなか、市場ではシェールオイル関連株・シェールガス関連株が注目されており、PGA(ポリグリコール酸)樹脂が掘削材料などに関係するクラレ <3405> 、シェールガス向けパイプを生産する丸一鋼管 <5463> 、シェールガス生産に使用する遠心分離機を手掛ける巴工業 <6309> 、掘削に使うフラッグサンドの製造装置を手掛ける新東工業 <6339> なども注目されている。

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:10月24日(水)9時19分

株探ニュース

 

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