■ラッセル2000の下落が予言していたのは…?
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今週(10月8日~)トレーダーの間で話題になっていたのが、ラッセル2000の下落。
この中小型株の軟調な展開が、早晩、ほかの米国株の急落を誘引するのではないか? との憶測が拡大していたわけです。以下は、10月5日(金)にブルームバーグが配信した記事の一部を抜粋したものです。
米中小型株の軟調、米景気減速伝える炭鉱のカナリアか
10月に入って米中小型株の株価指数であるラッセル2000が下げ足を速め、8月末の高値から一時5.7%下落した。
S&P500で割ったレシオも6月をピークに、2日には一時8%余り低下。GDPとの相関も高い同レシオの下落は、これから年末にかけての米景気減速を示している可能性もある。
出所:Bloomberg
■底堅さを見せていたNYダウが急落
日経平均の日足チャートも、個人的にチェックしているデマーク(※)インディケーターがカウントダウンを点灯し、反落を示唆。(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
NYダウも、ダブルトップを示唆しています。
これに、前述のラッセル2000の動向から考えると、なぜ、米国株が大幅に調整しないのか? の方が違和感があったほど、先週(10月1日~)までの米国株は底堅い動きを見せていました。
それが、10月10日(水)のNY市場でマーケットは一変し、米国株は急落。NYダウは前日比831ドル安となり、3.15%急落。ナスダック総合指数はさらにひどく、4.08%暴落しました。
■米国株の急落に特に大きな要因はない
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この、10月10日(水)の米国株の急落に関しては、特に大きな要因はありません。
これまでの米金利の急騰、米中貿易戦争の激化などが要因に挙げられています。
逆に言えば、株の調整要因は数多く挙げられていたものの、米国株に対する強気な見方が多いために調整が遅れていたことが、かえって調整の値幅を大きくした展開。
米国株の急落を受け、本稿執筆時点の日経平均は、前日比900円安の2万2600円レベルで推移しています。
呼応して、米ドル/円は112.05円、豪ドル/円は79.20円、ユーロ/円は129.55円と円全面高。
■米ドル/円はトップアウトし、調整局面入り
米ドル/円は、前回のコラムでご紹介させていただいたように、114.55円でいったんトップアウトして調整局面入り。米国株、日経平均に先行して下げていた上海総合指数も急落しており、本稿執筆時点では3.3%安となっています。
上海総合指数の急落に呼応して、豪ドル/円の下値余地が拡大しており、75円がターゲットに。米ドル/円に加え、豪ドル/円を筆頭とるすクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の続落に警戒が必要です。
■EUサミットが近づくにつれて英ポンドは持ち直す
英国とEU(欧州連合)の離脱条件合意が、なかなかまとまらないため、週初こそ、英ポンド/円は147.35円まで下落したものの、来週(10月15日~)、18日(木)~19日(金)に開催されるEUサミットが近づいてくると、Brexit(英国のEU離脱)条件の合意に向けての公算が高まって、英ポンドは持ち直しています。EU首席交渉官「ブレグジット交渉、来週合意の目処付けたい」
10月10日、英国の欧州連合離脱交渉について、EUのバルニエ首席交渉官は、来週の首脳会議での合意が「手の届くところにある」と述べた。
出所:ロイター
個人的にはEUサミットまでの「バイ・ザ・ルーマー(ウワサで買う)」的な動きと認識していましたが、EUサミットに向けて、英国とEUの離脱条件合意が現実的になるとの見方も増えてきており、中期で英ポンドが急騰するという意見も増えてきました。
英ポンドは歴史的な急騰も、EU離脱合意は近い―ジェン氏
英国は欧州連合(EU)離脱でEUと合意に近づいており、通貨ポンドは歴史的な急騰を演じる可能性がある―。ヘッジファンドを率いるスティーブン・ジェン氏がこのような見方を示した。
出所:Bloomberg
個人的には米国株、日本株のみならず、中国株に対して弱気であるため、EUサミットまでは豪ドルに対して英ポンドをロングにする、つまり、英ポンド/豪ドルを強気で見ています。
米銀大手のモルガンスタンレーは、このところ一貫して英ポンドに対して強気であり、それは英ポンド/豪ドルに対しても同様で、ターゲットを1.9500豪ドル、ストップを1.7900豪ドルと推奨しているようです。
来週(10月15日~)のEUサミットに向け、反発に転じている英ポンド(特に、株安の環境下において、英ポンド/豪ドル)、そして、日経平均、上海総合指数の下落に呼応し、米ドル/円、豪ドル/円を筆頭としたクロス円の下落に注目です。
西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
最終更新:10月12日(金)0時06分
情報提供元(外部サイト)
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