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米中“新冷戦時代”の株価の行方――NYダウ連夜急落の意味するもの <株探トップ特集>

10月12日(金)19時30分配信 株探ニュース

クッキリと引かれた大陰線。2日連続の大幅安となった米国株式市場が意味するのは、米中が激突する“新冷戦”の織り込みではないか――マーケットの見方を追った。
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クッキリと引かれた大陰線。2日連続の大幅安となった米国株式市場が意味するのは、米中が激突する“新冷戦”の織り込みではないか――マーケットの見方を追った。
―長期化する激突、“帰ってきた1950年代”マーケットは織り込みへ―

 米国株式市場の波乱局面が続いている。 NYダウは11日も545ドル安と2日連続の大幅安となった。この背景には、米長期金利の上昇があり、米国株はバリュエーション調整が求められている。これは2月の「VIXショック」との類似性が強い。しかし、今回の調整の意味はそれにとどまらない。米国と中国は新冷戦とも呼べる状況にあり、「この歴史的な環境の変化を相場は織り込もうとしている」との見方が出ている。米中冷戦下での新たな株価構造とは何か――。

●NYダウは2日間で1300ドル強安、米長期金利上昇警戒

 NYダウは11日、前日に比べ545ドル安の2万5052ドルへ下落。10日の831ドル安に続く急落で米株式市場は2日間で1300ドル強の下落となった。この米株下落を受け、12日の 日経平均株価は朝方こそ下落したものの引けにかけ切り返し、結局前日比103円高で取引を終えた。

 10月初旬までNYダウは最高値を更新、日経平均株価も27年ぶり高値に上昇していた。しかし、10日の米国発の株価波乱は、東京市場を含む世界同時株安を招いた。この要因として市場には、米長期金利の上昇を背景とする株式市場の株価調整を指摘する声は少なくない。アップルやアマゾン・ドット・コムなど主力テクノロジー株が先導役となり米株式市場は急上昇を続けてきた。しかし、米長期金利が3.2%を超える水準となるなか、急成長を背景とする高PERは許容されにくくなりつつある。金利上昇の影響が警戒され株価が調整局面を迎えている点では、2月の「VIXショック」と類似性が指摘されている。

●中国「為替操作国」指定や11月米中首脳会談はあるか

 一方、「市場は米中貿易摩擦の影響をより強く探ろうとしている。この点は2月のVIXショックと違う点だ」とサクソバンク証券の倉持宏朗チーフマーケットアナリストは言う。市場関係者からは「米中貿易摩擦に対して、市場はこれまで本来織り込まなければいけない局面で素通りしてきた面がある」(中堅証券調査部長)との見方は少なくない。

 米国と中国は互いに追加関税をかけ合うチキンレースを繰り広げているが、最近では南シナ海での軍事衝突が懸念される状況にあるなど、両国の衝突はエスカレートしている。この米中摩擦を巡っては、市場では11月末に予定されている20ヵ国・地域(G20)首脳会議に合わせて米中首脳会談が開催されるかどうかが関心を集めている。

 また、10月15日頃にも米国が発表を予定している為替報告書で、中国が為替操作国に指定される可能性も指摘されている。この為替操作国指定に関して上田ハーローの山内俊哉執行役員は「人民元の不当な引き下げなどの要件を満たす必要があり、現状では指定は難しいのではないか」とみている。第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストも「指定される可能性は低いと思う」と予想している。

 しかし、もし中国が為替操作国に指定された場合、「中国株安が進行し、日本には円高圧力が働く」(山内氏)ことが予想されるだけに、新たな波乱の芽となる可能性を潜ませている。

●1950~60年代と類似性、例年10月の押し目は絶好の買い場

 より長期的な視点から米中問題を捉える声もある。SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、「米国の対中政策の背景にあるのは、米国を押しのけて中国が世界トップの地位につくことを許すことはできないという、米トランプ政権の意思の表れだろう」とみる。これまでは、中国の経済成長が世界経済に与えるメリットが評価されてきた。しかし、いまは米国と中国が“新冷戦”時代を迎えたことのリスクが考慮されつつある、というわけだ。

 11月の米中間選挙の結果にも左右されるものの、世界貿易機関(WTO)をベースに形成された自由貿易主義を含め、「時代は大きな転換点を迎えた可能性」(鈴木氏)が指摘されている。例えば、年3~4%の成長をみていた世界の経済成長も、新冷戦下ではややペースダウンする可能性がある。

 これは米ソ冷戦が繰り広げられた1950~60年代と似た局面を意味するが「冷戦下で日本は高度成長を遂げた。今回も同様にメリットを享受する立場に日本は立っている可能性がある」と鈴木氏はみる。例えば、日本が中国に代わる製造拠点となり、米中冷戦時代の“漁夫の利”を得る可能性もあるというわけだ。

 超長期的な相場認識は別として、短期的視点からも「例年10月の押し目は格好の拾い場となった」(倉持氏)という。特に、今月中旬からの米国や日本の決算発表は好調な内容が見込め、この好決算を背景に株価は出直るとの見方は多い。

 いずれにせよ、2月の「VIXショック」の再来にとどまらない米中衝突リスクの高まりが今回の米株安の背景にはあることには注意が必要だが、米国経済は依然堅調であり、昨年同様に日米株式は一時の調整を経て、年末ラリーに向かう期待は高まっている。

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:10月15日(月)9時07分

株探ニュース

 

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