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焦点:日本車メーカー、高関税や数量規制なら死活問題 交渉注視

9月26日(水)17時05分配信 ロイター

 9月26日、日米首脳会談では、通商問題が大きなテーマとなる。国内自動車メーカーにとって、25%の高関税や輸出数量規制の発動は、経営への大きな打撃となる。写真は2010年、横浜で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
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 9月26日、日米首脳会談では、通商問題が大きなテーマとなる。国内自動車メーカーにとって、25%の高関税や輸出数量規制の発動は、経営への大きな打撃となる。写真は2010年、横浜で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
現在値
日産自 1,006.5 -3
トヨタ 6,641 +29
三菱自 716 -4
マツダ 1,279 -8
スバル 3,303 -23
[東京 26日 ロイター] - 26日にニューヨークで開催される日米首脳会談では、通商問題が大きなテーマとなる。対米貿易黒字の6─7割を占める自動車・同部品を生産する国内メーカーにとって、25%の高関税や輸出数量規制の発動は、経営への大きな打撃となるだけに、緊張感を持ってその動向を見守っている。

「数量規制も困るが、追加関税だけは絶対に避けてほしい。一度発動されたら半永久的に残りかねない」──。日本車メーカー幹部は、米政府が発動を検討している高関税が実施された場合、その打撃が大きくなることを懸念する。

日本の自動車メーカーにとって、対米輸出は経営を支える大きな柱だ。2017年の日本から米国への輸出は約174万台と国内生産の約18%を占め、自動車部品を含む輸出額は5兆5000億円を超える。

現在の乗用車と自動車部品の関税は2.5%だが、米国は安全保障への影響を理由に、通商拡大法232条を適用し、最大25%の追加関税を課すかどうか政府内の手続きを進めている。追加関税が発動されれば、日本メーカーは合計で1兆円規模の負担は免れない。  武藤敏郎・大和総研名誉理事(元財務次官・元日銀副総裁)は21日、ロイターとのインタビューで、日本から米国への直接輸出、メキシコなど第三国から米国への日本ブランド車輸出、日本からの部品輸出を合わせた対米自動車関係輸出に20%の関税が課された場合、関税額は「1兆7000億―8000億円」になると指摘している。

日本メーカーとして対米輸出が最大のトヨタ自動車<7203.T>は、昨年の米国販売(約243.5万台)のうち、日本からの輸出が約70.9万台と3割を占める。

同社は8月の決算会見で、自動車や部品を対象に最大25%の追加関税が発動された場合、日本から米国へ輸出する完成車1台当たり平均で「6000ドル(約67万円)」のコスト上昇につながると説明。単純計算で約4700億円規模のコスト増になる。

SUBARU<7270.T>は米国工場がフル生産状態のため、米国販売の約半分に相当する32万台を日本からの輸出に頼っており、エンジン部品なども日本から輸出している。

日産自動車<7201.T>も米国に工場があるが、日本から米国へ約3万台を輸出。15年に米国生産から撤退した三菱自動車<7211.T>も米国販売はすべて輸出車だ。

マツダ<7261.T>は、トヨタと21年稼働予定で年産30万台(トヨタ分15万台)の合弁工場を約16億ドル(1700億円)かけて米国に建設中だが、今は日本とメキシコから米国へ輸出する。

メキシコ生産は同国が合意したNAFTAの新しい条件によって、部品の現地生産比率が引き上げられ、新たな対応を強いられる。

同社はエンジンを日本とタイ、トランスミッションも日本でしか生産しておらず、新たに米国がこうした部品に25%の関税をかければ「もうお手上げだ」(同社幹部)と説明する。

日米間の貿易不均衡にいらだってきた米政府は、7兆円を超す対日貿易赤字の圧縮を日本に求めている。複数の関係筋によると、米側は今回の日米通商協議(FFR)の前段階で、非公式に日本からの自動車輸出削減と米現地生産の増加を要請してきたという。

ただ、日本メーカーにとって、米現地生産の増強はかなり高いハードルだ。一般的に、米国での完成車工場新設には年産24万台規模で1000億円ほど投資が必要とされる。

SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは「通常フル生産でも黒字に約5年はかかる」と指摘、「生産車種のロットが小さかったり、緻密な生産技術が必要な車種なら黒字までさらに時間を要し、固定費の上昇にもつながりかねない」と話す。

また、高級車の輸出比率が高い日本メーカーにとって、対米輸出の削減は大幅な減益要因となるばかりでなく、国内の雇用問題にも直結しかねない。

25日朝(日本時間同日夜)、ニューヨークで茂木敏充経済財政相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が2回目となるFFRを開催。終了後、茂木経財相は、両国の貿易を促進する方策や枠組みについて「基本的な認識は一致した」と表明。詳細な中身は「首脳間で議論し、合意した上で発表したい」と語った。

このため、自動車業界関係者の注目は、26日に予定されている安倍晋三首相とトランプ大統領の日米首脳会談に集まっている。

関係筋によると、日本側は米国が自動車に対する25%の関税について、適用回避を約束すれば、農産品を中心にした市場開放などについて、米国との2国間交渉に応じる姿勢を米国側に示し、理解を求める交渉スタンスを取っているという。

ただ、11月の米中間選挙を前に、下院で共和党が過半数を失うとの情勢判断が広がっており、トランプ大統領が米国内での支持拡大を目指し、日本に対して強い姿勢を打ち出す可能性を危惧する日本政府関係者の声もある。

首脳会談の決着内容によっては、日本メーカーの業績に大きな影を落とす展開も予想される。

*写真を更新しました。

(白木真紀 取材協力:竹本能文、木原麗花 編集:田巻一彦)

最終更新:9月26日(水)22時36分

ロイター

 

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