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必要であり有望と思われた事業なのに、利益が出ない、出せなかった理由

8月31日(金)15時40分配信 HARBOR BUSINESS Online

freeGraphicToday via pixabay(cc0 PUblic Domain)
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 マーケット関係者から有望であり、必要な事業だと思われながら、利益がまだ出ない、あるいは、出せなかった企業・事業がある。なぜそのような状況にあるのか? あるいは、状況に至った理由は何であろうか?

 今回は、サイバニクス技術を駆使して医療や介護・福祉ジャンルで展開しているサイバーダインと、石油や天然ガスを掘り当てる海洋掘削を行う日本海洋掘削を事例に考えてみたいと思う。

◆赤字幅が減らない「サイバーダイン」

 2014年3月26日、サイバーダインは、ロボットスーツHALに代表される「メイドインジャパンの最先端ロボット医療機器/最先端人支援機器/最先端医療機器」の研究開発を通じて、先端機器開発と先端サービス事業を推進し、健康長寿社会への貢献をしていくとして、東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たした。

 サイバーダインの公募価格3700円、初値8510円であったのだが、その後、分割が2回行われており(2014年7月:1株→5株、2015年7月:1株→2株)、分割後の株価を基準とすると、2014年3月の終値は752円であった。2016年5月から6月にかけて、2600円台まで株価は上昇した。しかし、その後、株価は下がり続けた。2017年12月、株価は1900円台まで急騰したものの、再度、下落に転じた。2018年7月は1300円台であったが、8月に急落し、8月27日の終値は840円である。当初の期待は高かったものの、4年超経過して、サイバーダインの株価は、右肩上がりとはならず、ほとんど騰がっていない。

 今年8月の株価急落の原因は、8月14日に発表した2018年4~6月期の連結決算(国際会計基準=IFRS)であった。(参照:四半期報告書)

 この決算で、最終損益が1億9500万円の赤字であったと発表されたのだ。前年同期は、1億9400万円の赤字であったので、赤字額はほとんど変わらずであったのだが、依然として赤字であることが嫌気されたようである。ちなみに、サイバーダインは、上場以来、決算が黒字になったことが一度も無いことも投資家にネガティブな印象を与えたと思われる。

 売上が前年同期比5%減の3億3500万円となったことも、嫌気されたと考えられる。(参照:四半期報告書、P.4) 昨年は一時的な売上増(厚生労働省補助金事業)があったので、その反動という面があるが、ベンチャー企業として、売上が伸び続けてもらわないと、投資家に対して不透明感と不安を増大させるということはあるだろう。医療用ロボット「HAL」の稼働台数が増加トレンドにあれば、不透明感と不安は払しょくできたことだろう。

 ただ、筆者から見ると、サイバーダインの「2018年3月期 決算説明資料」(2018年 5月15日)を読むと、事業内容や事業進捗は、「数字無しで」という条件では非常に魅力的だと感じられるが、サイバーダインは2019年3月期通期の業績予想を開示していない。

 営業利益、経常利益、当期利益の全てにおいて、この2期でサイバーダインの赤字幅が大きく縮小していないことや、業績予想を開示していない点は、ネガティブな材料であるには違いない。

 しかし、会社四季報によると、サイバーダインは、2018年3月期の売上17億2600万円が、2020年3月期には売上35億円に倍増し、一株利益が初めてプラスになるとしている。今度は、サイバーダインの業績は良くなると予想されている。

◆市況の読み誤りで失敗した日本海洋掘削

 日本海洋掘削株式会社は、海底石油・天然ガス田の試掘や生産井掘削を受託する企業である。設立は、1968年4月。2009年12月から2018年7月まで、東証一部上場企業であった。2018年6月22日、東京地方裁判所に会社更生手続きの申し立てを行い、受理されたと発表した。負債総額は単体で約904億円、子会社のJDNが約321億円。7月23日、東京証券取引所1部上場廃止。7月25日、東京地方裁判所から会社更生手続開始決定を受けた。

 日本海洋掘削の「有価証券報告書」によると、2015年3月期まで、財務諸表に特に問題があったようには見えない。(P.2~3)

 一方、2016年3月期から2018年3月期までの3期連続で、経常損失、当期純損失を計上し、1株当たり当期純損失金額を拡大させた。2018年3月期は、155億円の債務超過となった。

 債務超過に陥った理由として、日本海洋掘削は、“予想を超えた海洋掘削市況の長期低迷に起因する、2016年3月期から2018年3月期までの3期連続の営業赤字、並びに最新鋭リグ「HAKURYU-14」および「HAKURYU-15」の特別損失の計上に伴い2018年3月期に債務超過になったことにより、弊社を取り巻く事業環境は極めて厳しくなりました”としている。(参照:記者会見冒頭メッセージ 会社更生手続開始の申立て等に関するご説明とお詫び)

「予想を超えた海洋掘削市況の長期低迷」および「掘削装置(リグ)への過剰投資」が債務超過となった2つの要因とされる。「予想を超えた海洋掘削市況の長期低迷」に関しては、本業で稼ぎ出す現金を示す営業活動によるキャッシュ・フローは、本来、プラスの数字になるはずであるが、2017年3月期に8億円のマイナス、2018年3月期に39億円のマイナスとなった。また、「掘削装置(リグ)への過剰投資」に関しては、投資活動によるキャッシュ・フローが、2017年3月期に57億円のマイナス、2018年3月期に39億円のマイナスとなっている。(参照:「有価証券報告書」P.2)

◆サイバーダインの命運は今後の売り上げ次第

 サイバーダインによるサイバニクス技術を駆使したロボットスーツHALを、医療・介護・福祉、重作業、エンターテイメント等で展開する事業は、依然として、将来有望な事業であろう。日本海洋掘削による巨大なリグを使って海洋掘削を行い、石油や天然ガスを掘り当てる事業も今後も継続してニーズがあり、必要な事業である。

 サイバーダインは、2020年3月期の業績が会社四季報の予想通りだとすると、売上が2年で倍増しなければ利益が出ない。何よりも、売上増加が必須だと考えられる。しかし、現状は、売上が足りない。8月28日のプレスリリースで発表された、「【ニュース】NECフィールディングが、当社のHAL(R)腰タイプの販売を開始。HAL(R)下肢タイプの保守サポートに関する基本合意も締結」のような取り組みが奏功するか? 今後も注目していけば「成長への転換」期に乗じられる可能性もまだ残っている。

 日本海洋掘削は、「予想を超えた海洋掘削市況の長期低迷」および「掘削装置(リグ)への過剰投資」が失敗の原因であった。

<文/丹羽唯一朗>
ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8月31日(金)15時40分

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