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“トルコ通貨危機”と“米中貿易摩擦”左右、低迷「金価格」のこれから <コモディティ特集>

8月22日(水)13時30分配信 株探ニュース

minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行
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minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行
―価格低下で実需筋は買い意欲、東京金は玉整理進む―

●金はドル高で1年半ぶりの安値、米中の通商協議再開で買い戻しの可能性も

  金の現物相場は今月16日に2017年1月以来の安値1160.82ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや米中の貿易戦争に加え、トルコの通貨危機をきっかけにリスク回避の動きが広がり、換金売りが出たことが圧迫要因になった。

 ただ、米中の通商協議再開に対する期待感からドルの利食い売りが出ており、ドル高が一服するようなら、金は買い戻し主導で上昇する可能性が出てくる。また、価格急落を受けてアジア勢の安値拾いの買い意欲が強まっており、実需筋の買いが続くと、下支え要因になるとみられる。

●トルコ危機や米中の通商協議の行方が焦点

 金はトルコの通貨危機をきっかけに1200ドルの節目を割り込み、一段安となった。米国の制裁や関税引き上げがトルコリラ下落を加速させる要因となったが、トルコリラ安の主因はエルドアン大統領が再選し、トルコ中央銀行が利上げに反対する同大統領の圧力に屈し、7月の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたことにある。

 市場では17.75%の政策金利を引き上げる必要があるとみられているが、エルドアン大統領は景気を冷やすとして利上げに反対している。国際通貨基金(IMF)に支援を要請する選択肢も拒否しており、トルコからの投資資金流出が加速すると、他の新興国市場や欧州に波及するとみられている。

 一方、トランプ米政権はテロ容疑で拘束されている米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の解放を要求し、トルコ閣僚2人に制裁を科した。解放交渉が決裂すると、トルコからの鉄鋼・アルミニウム輸入の関税率を倍に引き上げる決定を下し、圧力を強めた。

 この措置に対し、トルコは乗用車やアルコール、たばこなど一部の米国製品に対する関税を2倍に引き上げ、貿易摩擦に対する懸念が強まった。ムニューシン米財務長官は米国人牧師を解放しなければ、同国に追加制裁を科す用意があると述べたが、トルコの裁判所は牧師釈放を認めず、先行き懸念が強い。

 中国商務省は16日、王受文商務次官が率いる代表団が通商協議のため8月下旬に米国を訪れると発表した。6月上旬以来、公式な協議は見送られていたが、11月の国際会議で、米中首脳会談を開催し、通商問題の打開を目指すとされた。

 米国が7月6日に340億ドル相当の中国製品に25%の関税を発動させ、中国が同規模の報復措置を取ってから米中の貿易戦争は激化しており、摩擦解消で合意できるかどうかが当面の焦点である。23日には米国の第2弾となる160億ドル規模の中国製品に対する追加関税が発動し、中国も報復措置を取る。また、トランプ米政権は9月に2000億ドル相当の中国製品に25%の輸入関税を計画し、中国は600億ドル相当の米国製品に追加関税を課す報復措置を取るとしている。

●ファンド筋の先物売りが投げ売りを招く

 金の内部要因では、ニューヨーク先物市場でファンド筋が売り圧力を強め、他市場での手じまい売りを促す格好となった。米商品先物取引委員会(CFTC)建玉明細報告によると、8月14日時点で大口投機家はニューヨーク市場で金先物を3688枚売り越し(前週1万2688枚買い越し)、2001年12月以来の売り越し水準となった。売り玉が6月12日時点の7万2512枚から8月14日時点は21万5467枚に急増した。一方、世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は同期間に828.759トンから776.653トンに減少し、換金売りが進んだ。21日時点では768.702トン。

 また、東京金先物市場の非当業者の買い玉を見ると、7月23日の11万6792枚をピークに減少し、8月17日は9万0296枚となった。特に14日の1万0068枚、16日の6696枚減少が目立ち、追加証拠金が払えず、強制決済されたもよう。相場としては因果玉が整理されると当面の安値をつけることになるが、金ETFからの投資資金流出が続いており、引き続き圧迫要因になるとみられる。

 また、これまでドル高をけん制していたトランプ米大統領がドル高を容認しており、ドル高が続くようなら、金は軟調に推移する。ただ米大統領は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利上げを継続する方針であることについて「気に入らない」と述べており、ドル高が一服すると、ファンド筋の買い戻し主導で上昇する可能性が出てくる。

●実需筋は価格急落で買い意欲が強まる

 金価格急落を受けて、アジア勢の実需筋の買い意欲が高まっていることが伝えられた。インドの金プレミアムは前週、1ドルとなり、前々週の1.5ドルのディスカウントから上昇した。ルピー建て金価格は1月10日以来の安値2万9268ルピーをつけた。またムンバイで9~13日に開催されたインド国際宝飾展で需要堅調が指摘されており、引き続き買われると下支え要因になりそうだ。7月のインドの金輸入は75トンとなり、7ヵ月ぶりに増加した。宝飾業者にとって在庫手当を進めるのに魅力的な価格水準であり、8月も7月同様、増加するとみられている。また、中国や香港でもプレミアムが上昇し、買い場との見方が強い。前週のプレミアムは中国で3~5ドル(前々週2~3ドル)、香港で0.9~1.5ドル(同0.7~1.3ドル)となった。

(minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:8月22日(水)13時42分

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