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世界需要100兆円取り込みへ、政府後押し「水インフラ関連株」の今 <株探トップ特集>

8月15日(水)19時30分配信 株探ニュース

政府は日本企業による海外での水インフラ事業を後押しする。
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政府は日本企業による海外での水インフラ事業を後押しする。
現在値
NJS 1,729 -10
東レ 870.3 +3.7
神鋼環境S 1,849 +23
クボタ 1,860.5 +12.5
荏原実業 2,215 +17
―技術力高評価も水メジャー後塵、公的支援拡充で受注拡大後押しへ―

 政府は日本企業による海外での水インフラ事業を後押しする。内閣官房によると、上下水道や海水淡水化、産業用水などをあわせた海外市場規模は2016年度時点で約67兆円あるものの、日本企業の受注額は約2878億円と全体の0.4%にとどまっているのが実情。国内の企業・自治体は高い技術やノウハウを持っているが、海外市場で強みを十分に発揮できていないため、政府は支援を広げることで輸出拡大につなげる構えだ。

●30年には水資源が40%不足

 水を巡っては、世界的にみて2つの課題がある。ひとつは、人口増加や経済発展、生活水準の向上によって水需要が増加していること。経済産業省の資料では、15年時点で約6億6000万人が基本的な給水サービスを利用できず、約24億人が基本的な衛生施設を利用できない状況で、30年には全世界で水需要に対して利用可能な水資源が40%も不足すると試算されている。もうひとつが、水害への対策で、気候変動に伴う大雨や渇水などのリスクが増加していることが背景にある。現在、世界の全災害の被災者数の95%が水関連災害で、特にアジア地域の水害が目立っている。こうしたなか、15年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、水分野が主要な目標として設定され、水へのアクセスや水質・価格の改善に加え、水関連災害による死者や被災者数を大幅に削減することが求められている。

●「水メジャー」の壁を切り崩しへ

 世界のインフラ需要のうち、水分野は全体の3割超を占める最大の分野(2位は電力、3位は通信)で、内閣官房の試算では水インフラの世界需要は20年に100兆円を超える見通し。このうちアジア地域は約37兆円(15年は約30兆円)に拡大することが見込まれている。必要な水を確保するためには取水から排水処理に至るまでの総合的な資源管理が欠かせず、技術力を持つ日本企業の活躍場面はさらに広がりそうだ。日本の水処理プラントは世界でもトップレベルの水質と低い漏水率を誇り、その事業運営を担う自治体、機器供給を行うメーカー、施工を手掛ける建設会社などが高度なノウハウを保有。特に、膜技術や濾過技術などの素材や部材における要素技術、環境対策、省エネ技術は高い国際競争力を持っている。

 ただ、現状ではフランスのヴェオリア・ウォーターやスエズ・ウォーターといった、いわゆる「水メジャー」をはじめとする欧州企業や、新興国企業および地場企業が市場の大半を占めており、日本企業の技術力が十分に生かされていない。そこで、政府は7月27日の経協インフラ戦略会議で、技術・ノウハウのパッケージ提案や幅広い海外パートナーとの連携、公的支援の拡充などを掲げた海外展開戦略を策定。日本が強みを持つ分野を後押しすることで、水インフラ市場の取り込みを図る。

●上下水道で日本企業が持つ強みは?

 水インフラ需要の大部分を占めるのが上下水道の整備で、内閣官房では市場規模が15年の67.5兆円から20年には81.6兆円に膨らむと予測している。上水道で日本企業が強みを持つのが「オゾン処理・膜処理」の機器で、オゾン発生装置ではメタウォーター <9551> 、膜処理では水道機工 <6403> [JQ]に注目したい。

 汚水処理では、膜によって汚れを分離・除去し、再利用可能な水質の処理水が得られる「膜分離活性汚泥法」で優位性がある。これを手掛けているのが神鋼環境ソリューション <6299> [東証2]、荏原実業 <6328> 、三菱化工機 <6331> などで、東レ <3402> は2月に膜分離活性汚泥法の省エネ基礎技術を開発したことを発表している。

 これ以外では、各種プラントの設計・建設を行うクボタ <6326> 、オルガノ <6368> をはじめ、浄水・排水処理設備を提供する月島機械 <6332> 、コンサルティング業務のNJS <2325> 、上下水道機材を製造する前澤化成工業 <7925> 、上下水道関連の掘進機を手掛けるラサ工業 <4022> の活躍も期待される。

●海水淡水化技術を持つ企業にも商機

  淡水化の技術を持つ企業も要マークだ。世界にある水の大部分は海水で、淡水はわずか2.5%に過ぎない。この淡水のほとんどは南極や北極などの水や氷河として存在し、利用しやすい状態で存在する淡水に限ると、その量は0.01%といわれている。海水を淡水化する方法で現在主流となっているのが、海水を蒸発させず塩素イオンを除去できる逆浸透膜(RO膜やNF膜)を使ったもので、この分野では東レ、東洋紡 <3101> 、日東電工 <6988> が大手。

 このほか、野村マイクロ・サイエンス <6254> [JQ]やササクラ <6303> [東証2]も逆浸透膜の技術を保有。海水淡水化の需要が一段と高まれば、ポンプを供給する酉島製作所 <6363> や電業社機械製作所 <6365> [東証2]、RO膜処理薬品を提供する栗田工業 <6370> にも商機が広がりそうだ。

 また、ナガオカ <6239> [JQ]の高速海底浸透取水システム「HiSIS(ハイシス)」も見逃せない。このシステムは、独自の取水スクリーン「ナガオカスクリーン」を応用して、日立造船 <7004> と共同開発したもので、海水淡水化プラントの大幅なコストダウンが可能になるといい、需要がさらに拡大する可能性がある。

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:8月16日(木)9時14分

株探ニュース

 

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