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日本はマシ?世界の政治家の汚職はヤバい

7月22日(日)15時00分配信 東洋経済オンライン

政府ファンドから5000億円相当を横領した罪に問われているマレーシアのナジブ前首相(写真:ロイター)
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政府ファンドから5000億円相当を横領した罪に問われているマレーシアのナジブ前首相(写真:ロイター)
 大衆迎合の政治家が各国で大躍進している。だが、民主主義は死んだと決め付けるのはまだ早い。マレーシアのナジブ前首相が汚職で逮捕されたのは、まだ民主主義が生きている証拠だ。

 独裁者のように振る舞うデマゴーグ(扇動家)たちは権力欲や金銭欲に突き動かされ、仲間内で私腹を肥やしている。歪んだ世の中を正すには、反動政治家たちが深く不正に手を染めている実態を暴露しなければならない。

■トルコでは資金洗浄で4人の官僚が辞職
 たとえばハンガリーでは、オルバン首相の友人や家族が政府融資や公共事業を通じて財を成している。オルバン氏の地元、フェルチュートの町には総人口の2倍を超す4000人収容の豪奢なサッカースタジアムが建設され、“お友達”の一人が巨万の富を手にした。各国の腐敗を監視する国際非政府組織、トランスペアレンシー・インターナショナルによると、汚職は「今や(同国の)システムの一部にすらなっている」という。

 トルコでは与党・公正発展党の幹部を含むエルドアン大統領の側近がマネーロンダリングに関与し、閣僚4人が辞任。不正に得た資金を処分するようエルドアン氏が息子に指示しているように聞こえる音声も暴露されたが、同氏は容疑を「でっち上げ」と一蹴。結果的に検察は事件化を見送った。
 マレーシアではナジブ氏とその仲間が、政府系ファンド「1MDB」から45億ドル(約5000億円)超を横領した罪に問われている。米司法省によると、横領したカネは米ニューヨークやロサンゼルスの高級不動産、モネやゴッホの絵画、ジェット機、ヨットなどを購入するのに使われたという。

 そして米国では、トランプ大統領とその一族に対して利益相反の疑いが渦巻いている。

 (皮肉なのは、政治腐敗への怒りがポピュリズムに火をつけ、大衆迎合的な政治家が台頭し独裁者に転じていることだ。大衆迎合の政治家は格差に対する人々の不満に付け込んでいるが、汚職に立ち向かえば、特権階級が不正で肥え太るのを防ぎ、格差拡大を抑えることができる。政治的に分断されてしまった社会を一つにする力が、反腐敗運動にはあるかもしれない。
 確かに、反腐敗運動は権力者によって政治の道具にされることがある。中国の習近平国家主席は汚職摘発を巧みに使って政敵を粛清、事実上の絶対権力を手に入れた。だが、このような暴挙が行われているからこそ、私たち民主主義の守り手は、これまでの倍の力で不正に立ち向かわなければならない。

■トランプ氏は海外腐敗行為防止方を敵視している

 反腐敗運動の効果は証明済みだ。米国では約40年前に成立した海外腐敗行為防止法(FCPA)のおかげで、世界中の汚職を摘発し、盗まれた巨額の資産を取り戻すことができた。トランプ氏はFCPAを敵視しているが、まだ法律を骨抜きにするには至っていない。
 英国は最近、英領の租税回避地(不正資金の逃避先として有名だ)に籍を置くダミー企業に対して、本当の所有者を2020年末までに公表するよう義務づけた。不正を取り締まるには国際的な連携を強める必要がある。もっと多くの政府が英国に続くべきだ。

 不正と戦うには、腐敗を暴くジャーナリストを脅したり殺したりする者の仕業を白日の下にさらし、訴追していく必要もある。開かれた社会には言論の自由が欠かせないからだ。篤志家は、政治家の汚職を追及する市民団体やメディアをもっと強力に支援すべきだ。
 もちろん、腐敗を取り締まるのは簡単ではない。だが、ポピュリズムを勢いづかせているのは腐敗に対する怒りだ。何もしなければ民主主義は死んでしまう。反腐敗運動は権力の監視につながるだけではない。民主主義を守るためにも腐敗を許してはならないのだ。
ジェームズ・ゴールドストン :オープン・ソサエティ財団ジャスティス・イニシアティブ理事

最終更新:7月22日(日)15時00分

東洋経済オンライン

 

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