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「飲むクリスピーサンド」、不思議飲料の衝撃

7月21日(土)16時00分配信 東洋経済オンライン

“飲むクリスピーサンド”とはいったいどのようなものなのか(筆者撮影)
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“飲むクリスピーサンド”とはいったいどのようなものなのか(筆者撮影)
 日本のアイスクリーム市場を見ると、過去10年、販売量も右肩上がりだが、販売金額もほぼ毎年伸び続けている。2017年の販売量は約89万キロリットル、金額は5114億円で前年比103.5%増だ(日本アイスクリーム協会調べ)。

 このアイス市場の拡大は、客層が子どもから高齢者までと広がっていることや、さらに、嗜好の多様化を背景に、食品業界全体の傾向である高級化、プレミアム化の流れに、アイスクリームも追随していることが要因として挙げられるだろう。たとえば小学生の味方「ガリガリ君」(税別70円)さえ、「ガリガリ君リッチ」(税別130円)や、「大人なガリガリ君」(税別100円)といった、リッチ志向の商品をラインナップして、プレミアム化の潮流に身を投じている。
■ハーゲンダッツの新たな取り組み

 そんななか、高級アイスの代表として確固たるイメージを築いてきたハーゲンダッツが、新たな取り組みを始めている。7月10日より、「クリスピーサンド」の新商品「ほうじ茶和の菓~黒糖仕立て~」(294円/税込み)を期間限定販売。それに合わせ、ポップアップショップとして「ハーゲンダッツ クリスピーサンド ビーチカフェ」を表参道のカフェ「モントーク」内にて、7月10~29日の期間限定でオープンしている。
 実は同社では近年、プロモーションの一環としてポップアップショップに力を入れている。1984年に青山店を開店以来、ハーゲンダッツのショップは販売のチャネルとしてだけでなく、ブランド発信拠点としても機能してきた。最も多い時で全国に95店舗を展開していたという。

 そして前述のようにリッチなアイスクリームとしてのイメージが定着。コンビニやスーパーでも簡単に購入できるようになった。この時点で、ブランド発信という役割をいったん終え、2013年4月の新浦安店閉店を最後に、ハーゲンダッツをショップで味わうことはできなくなった。
 ただし、よく言われているように消費の動機や価値観が「モノからコトへ」とシフトしてきた現在、同社は再び消費者とのリアルな接点として、ポップアップショップに注力し始めたと考えられる。

 ポップアップショップの大きな特徴は、ハーゲンダッツの商品をオリジナルのスイーツメニューとして味わえることだ。たとえば2017年7~8月に3週間ほどの期間限定でオープンした「ハーゲンダッツサマーリゾート」では、ハーゲンダッツをさらに凍らせ削ってかき氷にし、フルーツとともに味わうオリジナルかき氷などを提供した。そのほかにもポップアップショップは2016年から年に1~2度ほど開催しているという。
■クリスピーサンドの新しい楽しみ方

 ポップアップショップの展開について、同社の担当者は次のように説明する。

 「ポップアップショップについては非常に好評で、長いときは2時間の行列ができるぐらいです。なかには毎回来てくださるリピーターの方もいらっしゃいます。『店舗がなくなったが、久しぶりにショップに来られてうれしい』『すてきな体験ができた』といったお声をいただいています」(ハーゲンダッツ ジャパン マーケティング本部の山城晴美氏)
 そして今回は、クリスピーサンドとしては初めてポップアップショップでの提供となる。2001年に販売開始されたクリスピーサンドは「直接持ってかじる」という手軽かつちょっとワイルドさも感じられる食べ方や、サクサクとした食感が特徴の定番商品だ。いちばん最近のリニューアルは2017年の6月で、定番フレーバーであるキャラメルクラシックの味わいに変更を加えている。

 今回発売された期間限定商品では、アイスクリーム、コーティング、ウエハースそれぞれにほうじ茶を使用している。また、コーティングにはほうじ茶と相性のよい黒糖を用いてスッキリとした甘みを持たせた。
 「最近トレンドとなっている和のテイストのなかでも、ほうじ茶は特に人気です。昨年4月には、ミニカップ『ほうじ茶ラテ』という商品を発売しています」(山城氏)とのことだ。

 そしてこのたびのポップアップショップについては、「より幅広いお客様にクリスピーサンドの魅力を知っていただきたいということで、クリスピーサンドの新しい楽しみ方をご提案します。クリスピーサンドはサクッとした食感が魅力ですが、今回のポップアップショップでは、“飲むクリスピーサンド”として、丸ごとシェイクしたメニューをご提供しています」(山城氏)と説明している。
 では、今回のカフェで新たに体験できる “飲むクリスピーサンド”とはどのようなものなのだろうか。

 メニューは、テイクアウト限定の「クリスピーサンド シェイク」と、イートインのみの提供で、1日100食と数が限られている「クリスピーサンド シェイク パフェ」だ。シェイクとパフェはそれぞれ「ほうじ茶 和の菓~黒糖仕立て」「キャラメルクラシック」「3種ベリーのレアチーズ~ベリーとビーツのウエハースと~」の3種の味わいが用意されている。
 基本形は、クリスピーサンドを丸ごとミキサーにかけたシェイクに、半分にカットしたクリスピーサンドやトッピングをプラスしたものだ。シェイクは700円(ベリーのみ800円)だが、パフェは1296円と価格的にもぜいたくなだけあって、フルーツやジュレ、お菓子などが美しくトッピングされている。たとえばほうじ茶のパフェでは、メロン、小豆、あめ細工、白玉、ほうじ茶ジュレなどが使用されている。

 今回試食したのはテイクアウト限定のシェイク3種。まずは最も味わいが繊細と予想される、ほうじ茶のシェイクから味見することにした。気温が30度近くある蒸し暑い日だったということもあり、まずはシェイクの部分をストローで味わってみる。ほうじ茶の苦みとさわやかな香りが広がって、スッキリと味わえた。
 シェイクの中にはもちろん、細かく砕かれたウエハースも含まれているので、かすかに食感が感じられて面白い。次にクリスピーサンドを指でつまんでいただく。こちらは予想どおりのパリッとした歯応えと、やはり口いっぱいに広がるほうじ茶の香りが印象深い。

 商品説明によると、ほうじ茶の初摘み茶葉をアイスクリームに用いているらしい。初摘み茶葉とは“その年の最初に生育した新芽を摘み取った茶葉のこと”で、二番茶や三番茶に比べてうま味が多く、渋みや苦みが少ないのだそうだ。
 キャラメルクラシック、ベリーのシェイクについても、ハーゲンダッツのリッチさは生かしながら、スッキリとした味に仕上がっている。

■すでに完成形のあるものをどうアレンジするか

 「オリジナルスイーツの開発で難しかったのが、すでにウエハース+アイスクリームという形で完成形となっているものをさらにどうアレンジするか、ということでした。カップのアイスであれば、トッピングをプラスしたりとイメージがしやすかったのですが」(山城氏)
 なお、トッピングしてあるクリスピーサンドは時間が経つとウエハースに水分がしみ込んで、手でつまめなくなってしまう。早いうちに食べてしまうのがおすすめだそうだ。

 また、クリスピーサンドを使ったシェイクは自作も可能とのこと。好みの分量の牛乳などとともにミキサーでシェイクすればよい。バランスに苦労したという限定メニューと同じ味を目指すのは無理だとしても、甘さや濃さを自分好みにしたり、豆乳や氷を加えてみるなど、さまざまなアレンジが楽しめそうだ。
 どの程度の集客を見込んでいるかについては、

 「店舗は80席ですが、モントークもカフェとして通常営業しているなかでの展開ですので、ポップアップショップのみの客数を割り出すことができません。ただ、パフェは100食が上限ですが、テイクアウトのシェイクは材料を潤沢に用意しています。プロモーションも効率化しながら、できるだけ多くのお客様に味わっていただき、クリスピーサンドの魅力をより幅広いお客様に伝えたいと考えています」(山城氏)
 今回のポップアップショップでしか味わうことができない「クリスピーサンド シェイク パフェ」は、3種類合わせて1日限定100食、開催期間は20日なので、全部で2000食ということになる。かなり狭き門と言えるかもしれない。その後入った情報によると、ショップオープン後初めての週末には、潤沢に用意されているはずのテイクアウトの商品さえ売り切れたというほどの人気ぶりだ。さらなるプレミアム感を伴って、スイーツ好きの注目を集めそうだ。
圓岡 志麻 :フリーライター

最終更新:7月21日(土)19時43分

東洋経済オンライン

 

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