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すでに「夏の上昇相場」が始まっている?

7月17日(火)5時00分配信 東洋経済オンライン

「米中貿易戦争」は米国の勝利に終わり、夏の株式市場も上昇へ向かうと筆者は読む(写真:ロイター)
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「米中貿易戦争」は米国の勝利に終わり、夏の株式市場も上昇へ向かうと筆者は読む(写真:ロイター)
■2000億ドル相当の「トランプ再報復」で見えたこと

 前回の本欄で「7月6日はいよいよ米中貿易戦争第1弾が発射される日だが、投資家の体勢はすでに固まっているはずだ。余裕を持って辛抱していよう」と書いた。

 そして予定通り6日(金)340億ドル追加関税は発動され、直ちに同額の中国からの報復関税も発表されたが、市場は「織り込み済み」として売り材料にはならず、逆に第1弾の買い戻しのきっかけとなった。結局、5日の日経平均2万1500円割れが底になった。まだ残りの160億ドルがあるにしても、しばらく「あく抜け相場」があるだろうと、筆者はにんまりしたものだ。
 しかし、舌の根も乾かぬ11日に、アメリカのトランプ政権は2000億ドル相当の対中関税リストを公表した。筆者としては思わず「早いよ!」と叫びそうになったが、当日の日経平均は、オプションSQ算出日(13日、SQは特別清算値)の週の水曜日という波乱になり易い日と重なったこともあり、一時452円安となる場面もあったが、結局引けは252円安だった。

 その日のNYダウも結局は219ドル安。日米双方の「200ポイント程度の下げ」が、2000億ドルのトランプ政権再報復措置に対する市場の反応だったと言える。予想よりは早く出て人々を驚かせたものの、下げは限定的だった。
 
このような楽観的な反応は、米中貿易不均衡が4倍ほどにも達する中での報復合戦は、もともと中国から見れば「米国へ報復すべき関税額(輸入額)」が圧倒的に不足しており、「勝負にならない」ことにもよる。実際340億ドルの時はすぐさま反応した中国の対応が、今回の2000億ドルでは極めて鈍い。

 実際、中国の取るべき道は限られている。そのことを証明したのが、先週末13日のファーストリテイリング(ファストリ)と安川電機の株価の動きだ。
 両社とも12日に好決算を発表したが、ファストリは大きく買われ、安川電機は大きく売られた。安川電機は中国へモーションコントロール等、ロボット関連技術を通して「ハイテク中国」を支えている企業の1つだからだ。トランプ政権の標的が、進出企業のブラックボックスの中まで手を突っ込んでハイテク技術を吸い上げて来た中国の構造そのものだから、安川電機への影響は大きいと考えられる。

 では一方で中国のユニクロの店舗数(608店、5月末現在)が国内の70%を越えて来た「バリバリの中国関連株」とも言えるファストリが買われたのはなぜか。おそらく、トランプ政権との全面対決を避け、「中国製造2025」「製造強国2045」に向け、内需を喚起し米国からの輸入を増やして矛先をかわす中国の作戦が見えているからだ(もちろんファストリの値動きは日銀のETF(上場投資信託)買いで需給がひっ迫し、日経平均への寄与度が高くなっているためもあるが)。
■米国の一人勝ちが日本の「サマーラリー」を呼ぶ

 一連の米中貿易戦争で、結果的にドルに世界の資金が集まり始めた。これは米国独り勝ちの象徴だ。1ドル=111円40銭前後にあるテクニカルポイントを越えたこともあるが、予期しないタイミングでの1ドル=112円台突入によって、日経平均のサマーラリーが一気に見えてきた。

 当初、強いサポートラインだった日経平均の75日、200日移動平均を7月に入って割れた時には、「今年のサマーラリーはなしか」と思われた。だが、13日の409円高で、上値抵抗線のラインに変わっていた75日、200日だけでなく25日移動平均まで一気に突き抜け、俄然サマーラリーの期待が高まって来た。
 サマーラリーとは、米国の株式市場において、7月4日の独立記念日から9月第1月曜日のレーバーデー(労働者の日)までの期間に、相場が活況になるアノマリー(経験則)を言う。日本でも昔から「夏相場」はあったが、「夏枯れ相場」と言う相場用語もあり、「夏相場=高い」とは自動的にはならない。特に夏の甲子園野球が始まると相場が閑散になる悪いイメージの方が強い。しかし今年は、活況な日本のサマーラリーが期待される。いや、サマーラリーはすでに始まったと言えるのではないか。
 とにかく日本株は下げ過ぎた。下落の過程で日経平均がPER(株価収益率) 12倍台に突入したことや、騰落レシオが80%を割れたことなど複数の指標でもわかるが、多くの個人投資家が保有している中小型株の下げがひどい。ここだけを見ているとまだサマーラリーは始まっていない。だが、逆に言うと、日経平均が先行指標としてのサマーラリー開始のシグナルだとしたら、中小型株のリバウンド相場は「半端ない」ものになる可能性がある。
 今週の予定表を見ると、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言(17~18日)が目につくが、12日のロイターなどによると、パウエル議長はかなりドナルド・トランプ大統領を「リスペクト」しているようだ。「トランプ政権の減税と歳出拡大策で経済は少なくとも3年間は押し上げられ、今の米経済は非常に良い位置にある」とコメントしている。こうしたことから見れば議会証言は「ポジティブイベント」だと思われる。
 今週(17日-20日)の日経平均予想レンジは2万2300円―2万3000円とする。
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

最終更新:7月17日(火)10時30分

東洋経済オンライン

 

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