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貿易摩擦の影響はいったいどこへ?「アク抜け相場」と「株高」の背景を探る

7月17日(火)12時11分配信 THE PAGE

 株式相場は、時として一般の人が理解に苦しむような動きを見せる。米中貿易摩擦がヒートアップし、「貿易戦争」突入リスクが高まった7月初旬以降、米国株と日本株が市場関係者の警戒論を尻目に急速に切り返しているからだ。とりわけ、米国の小型成長株の影響が大きいナスダック総合指数は7月13日、2日続けて史上最高値を更新。貿易摩擦どこ吹く風、といった感じで上値を追っている。なぜ、このような状況になったのだろうか。その底流を探ってみよう。 (解説は証券ジャーナリスト・駿河一平)
米・新興企業向け株式市場ナスダック(写真:ロイター/アフロ)
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米・新興企業向け株式市場ナスダック(写真:ロイター/アフロ)
 マーケットが悲観ムード一色になったとき、株価は強烈なカウンターパンチを放ち、巻き返し相場への一歩を踏み出す――。株式市場では古くからこうした値動きを「アク抜け」、または「悪材料出尽くし」と呼ぶ。このうち、アクとは灰汁(あく)のこと。株価の上澄み部分がキレイに取り払われ、相場の「旨味」が引き立つ状態に急変するのが、アク抜け相場だ。

 面白いのは、このアク抜けが、「もはや一巻の終わり」といった感じで懸念材料が襲来したタイミングで起こる、という点だ。万事休す、と投資家があきらめたところで、ペロッと舌を出すようにして、株価が復活の狼煙(のろし)をあげるケースは、株式市場ではめずらしくない。

 7月6日、米トランプ政権は知的財産権の重大な侵害を理由に、中国に対して340ドル相当の輸入製品へ25%の制裁関税を実施。中国も対抗措置を繰り出し、両国の全面対決による貿易戦争の様相を呈した。トランプ政権は10日、今度は総額2000億ドル規模となる6031品目に追加関税を課す原案を公表。これに対しても中国は反発し、米中貿易摩擦は激しさを増す一方だ。

 通常であれば、株価はこうした動きに敏感に反応して、株安が加速する、と見るのが普通。しかし、現実はまったく違った。

制裁関税実施直後から動きに変化

 米国の代表的株価指数のNYダウ工業株30種平均は6月11日、取引時間中に2万5402ドルまで戻したあと、ズルズルと下落し、6月28日には2万3997ドル安値を付け、その後も数時間低迷を続けていた。ところが、制裁関税を実施した7月6日の終値は181ドル高。その後も順調に上値を追い、7月13日には6月15日以来、約1カ月ぶりに2万5000ドル台を回復した。同日のナスダック総合指数は2日連続で史上最高値を更新。16日、17日も頑強な足取りを続けている。

 日経平均はどうか。制裁発動の前日となる7月5日に2万462円まで下落したが、発動日の6日から反転を開始。7月13日には2万2692円と前日比504円高まで買い進まれる場面があった。アク抜けを絵に描いたような動きだ。

 一方、中国・上海総合指数は7月6日の2691ポイント安値を付けたところでボトムアウト。その後は比較的、落ち着いた動きを示している。

根っこある「景気・企業収益」の強さ

 米中貿易戦争によって、米中間はもとより、グローバルサプライチェーンへの影響から、他の先進国や新興国にも被害が広がり、収益下押し圧力で株価は一段安が避けられない、という制裁発動実施直前の市場関係者の読みは見事に外れた。

 こうした読み違いは、ただ単に、相場のアク抜けという側面とは別に、もう一つ、意外なほど強い景気・企業収益動向が大きな要素になって作用している。

 米国株式市場では7月第2週から本格化している4~6月期決算が堅調。米主要500種ベースの4~6月期の純利益は前年同期比2割増ペースが観測されている。景気についても、6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比21.3万人増と2カ月連続で20万人台に乗せ、市場のコンセンサス予想である19.5万人を上回った。米国の場合、トランプ減税効果が景気・企業収益に及ぼすプラス効果が今後も続くとの見方が有力だ。

ソニー、トヨタの決算に注目

 景気・企業収益の強さという点では、日本は米国ほどではないにしても、まずまずの足取りである。とりわけ注目されるのが設備投資動向。7月3日に日銀が発表した6月調査分の日銀短観(短期経済観測調査)では、大企業製造業・全産業ベースの18年度設備投資計画が前年度比13.6%増となり、「6月調査時点としては90年代以降、最高の伸び率」(銀行系証券)だ。

 国内の上場企業の4~6月期決算は7月24日ごろから発表が本格化するが、今期立ち上がりの時点で打ち出した通期予想の前提レートが1ドル=105円前後という輸出型企業は多いため、「4~6月期決算は通期見通しに対する上振れ期待を抱かせる内容になりそう」(中堅証券)との見方がある。

 ちなみに、コマツ(6301)、ファナック(6954)、日本電産(6594)、三菱電機(6503)は1ドル=100円が前提レート。日立(6501)、富士通(6702)、トヨタ(7203)、ホンダ(7267)は1ドル=105円を前提にしている。7月初旬までの株価低迷局面ではこうした収益面での期待材料が無視されていたため、地合いの好転とともに見直しムードが高まっている。

 ソニー(6758)は3連休明けの17日、2008年1月以来、10年半ぶりの6000円台を奪回した。この銘柄も今3月期収益予想の上方修正期待が株価を突き上げている。ソニーが7月31日に、また時価総額トップのトヨタが8月3日にそれぞれ発表する4~6月期決算の内容いかんでは、好業績実力株の上げ潮相場がさらにスケールアップする可能性がある。

 今年の夏相場は機敏な攻めが奏功しそうだ。
 
(解説:駿河一平)

最終更新:10月2日(火)14時43分

THE PAGE

 

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