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米中貿易摩擦の激化で日本株はどうなる? 

6月23日(土)23時01分配信 会社四季報オンライン

(写真:Road17 / PIXTA)
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(写真:Road17 / PIXTA)
 ここにきて上海総合指数の下落が加速し、年初ピーク比では、ほぼ2割の下げとなっている。その背景には中国経済の先行きへの不安があり、そこに米中貿易摩擦への懸念が大きくのしかかっていることは言うまでもない。

 米中貿易摩擦は、次第に米中貿易“戦争”と呼ぶべき状態に陥りつつある。米国が仕掛ければ中国は必ず反撃し、米国経済にも打撃が及ぶのだから本格的な貿易戦争にはならないという見方もあるが、現在のトランプ政権は確信犯的に行動しているよう見える。ムニューシン財務長官など、適当なところで刀を鞘に納めようとする、やや国際協調主義的な勢力はここにきて発言力を弱めており、筋金入りの対中強硬派であるナバロ大統領補佐官が主導権を握っているようだ。

 多少の向こう傷を負ってでも、経済や先端技術などで中国を封じ込める必要があるというナバロ氏の考え方は、米国内の保守層だけでなく、株式市場でも支持を得つつあるようである。米国株価は、米中貿易戦争への懸念で多少は頭が重くなっている部分も見られるが、テック関連を中心に基本的に堅調な動きを続けており、とくにナスダック総合指数などは高値を更新し続けている。貿易戦争の影響は限定的ということだろう。

■ 上海株の下落をどう読むか

 一方で、中国ではもともと国内の投資や消費に陰りが見られていたところ、さらに輸出に打撃を受ければ景気減速が本格化しかねない。上海株の下落傾向はそうした懸念を反映しているのである。市場は、貿易戦争に関して米国に軍配をあげつつあるといえる。

 中国にとってさらに懸念すべきは、中国ではここ数年で債務残高が急速に膨れ上がっており、潜在的な金融リスクが積みあがっているという点だ。政府もその点は十分に認識しており、そのため多少経済成長を犠牲にしても債務残高の伸びや金融リスクを抑制することに重きを置いた構造改革を進めようとしてきた。だが、貿易戦争の激化で景気が落ち込むようなことがあれば、そうした長期的な課題は棚上げにされる可能性が高い。
 もちろん米中貿易戦争の余波は日本にも及ぶ。ここのところ、日本株の米国株に対する相対パフォーマンスはさえない動きが続いている。一つには、米国株ではFAANG(フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、グーグルの親会社アルファベット)に代表されるテック株の上昇傾向が続いているが、日本株はその波に十分には乗れていないということがあげられる。第2が、ここで取り上げた貿易摩擦激化への懸念である。

 グラフに示した通り、米国S&P500に対するTOPIXの比率は、ここ数年0.6~0.8程度で推移している。直近ではこの数値が0.63にまで下がっており、日本株の低調ぶりが鮮明だ。ここで注視すべき点は、TOPIXの相対パフォーマンスが、中国株の相対パフォーマンスにほぼ連動しているという点だ。(ここでは、中国株の相対パフォーマンスとして上海総合指数のS&P500に対する比率を使用している。上海総合指数は金融やエネルギー関連企業が多く、やや偏った指標といえるが、一部の中国テック銘柄を含んだ香港ハンセン指数で比較しても基本的には同じ傾向がうかがえる。)

 これには2つの要因があるだろう。まず、中国経済の好不調が日本経済に直接的な影響を及ぼすという点だ。次に、中国も日本も国際貿易への依存度が高く、それが両国の株式市場のパフォーマンスが連動しやすい要因になっているのだろう。

 いずれにしても、米中貿易戦争の激化で日本株は“割を食う”可能性が高い。一段の中国株の下落には十分な注意が必要である。

 田渕 直也(たぶち・なおや)/1985年、一橋大学経済学部卒業。日本長期信用銀行(現新生銀行)で主にデリバティブのトレーディング、ポートフォリオマネジメントに従事。UFJパートナーズ投信(現三菱UFJ投信)債券運用部チーフファンドマネージャーとして、社債やストラクチャード・プロダクトへの投資運用体制を構築。『ファイナンス理論全史』、『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』など著書多数。現在、ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
田渕 直也

最終更新:6月23日(土)23時01分

会社四季報オンライン

 

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