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四季報夏号で「変化」発見! 10倍株投資は今だ

6月20日(水)21時06分配信 会社四季報オンライン

TBSホールディングスによる2010年のベイスターズ売却騒動ではLIXILグループ(5938)も一時手を挙げるなど大混乱した(2010年10月撮影:今祥雄)
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TBSホールディングスによる2010年のベイスターズ売却騒動ではLIXILグループ(5938)も一時手を挙げるなど大混乱した(2010年10月撮影:今祥雄)
 先週15日発売の2018年3集夏号をもって、私の『会社四季報』読破歴は21年、83冊目となった。例によって読破したての「夏号」についてインプレッションをまとめてみた。まずはポイントからだ。

 夏号の最大の特徴は、全上場企業の80%のデータやコメントなどが、春号から大きく「変化」する非常に重要な四季報であるということである。「変化」といっても会社の事業内容が記載される【特色】欄が大きく変わるということではなく、財務や業績などのデータ情報が変わるのだ。

 なぜデータ情報が大きく「変化」するかというと、上場会社の10%が2月決算、70%が3月期決算で、合わせて80%の企業の決算が4月から5月に発表され、その最新データが夏号に反映されるからである。特に【業績】欄の数字の変化は重要で、3月期決算企業でいえば、春号まで「今期予想」となっていた数字は「前期」の確定値となり、「来期予想」は「今期予想」として見直され、さらに会社四季報独自の「来期予想」が新たに加わってくるのだ。

 当然【コメント】も変わるが【従業員】欄にある年収など見落としがちなところにも変化が出ており、たとえば前回のコラム(成長企業「従業員持ち株会」のド迫力)でも話題にしたキーエンス(6861)の年収は、前回春号の1861万円から夏号の2088万円へと10%以上もアップするといううらやましい変化を遂げているところもある。このように数字の並び方が「変化」するだけで、今まで気にもしていなかった銘柄に「あれっ」と感じることもあるし、「年収アップ」という変化から「年収アップ→気持ちが大きくなる→消費の拡大」というテーマにもつながるので、些細な「変化」も見逃さないよう注意したい。

 さて気になる2018年3集夏号を読破しての第一印象は、「1.前号に引き続き“非常に難しい”四季報だが、2.新興市場など中小型成長株はチャンス」ということであった。
 まずは2018年の新春号→春号→夏号の各号の四季報発売日終値でみた3カ月毎の市場別の株価パフォーマンスから確認したい。

 日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)を「主力株」、ジャスダックとマザーズ指数を「中小型株」として考えると、新春号→春号のパフォーマンスは「主力は下がり、中小型が上がる」2極化の展開だった。3カ月前の2集春号を読破した直後の印象では、この2極化が引き続き拡大するとの見通しをたてたが、そのわけは四季報3ページにある市場別決算業績集計表である。以下に最新号の3集夏号の数字をチャート化した。

 株式市場は常に先見性があり、先にある業績予想を見る必要があるため、3カ月前の春号では「来期予想」に注目してきた。夏号ではその来期予想は今期予想になっているが、その数字を見る限りでは、売上高の伸び率(増収率=図上段)も利益の伸び率(増益率=図下段)も「新興市場(オレンジ色線)」の数字が最も高い。つまり株価は業績を反映するのならば、増収率も増益率も高い新興市場の株価が上がると踏んだわけだが、結果は春号→夏号のパフォーマンスは「主力は上がり、中小型が下がる」と真逆になった。

 また1部市場(青線)の集計は、今期予想で「3.3%増収、5.2%営業増益」とかなり保守的だったが、四季報の個別記事を読んでボトムアップから感じた業績はもう少し強いと感じた。そこで時価総額1000億円(6月15日終値現在)以上の銘柄(赤色線)の増収率・増益率を、加重平均ではなく「単純平均」で計算したところ「7%増収、10%増益」と集計数字のほぼ2倍の結果となった。

 この感覚が実態の業績だとすると、主力株の業績もそこまで悪くはないということになるが、では堅調な主力株が良いのか、それとも絶対的に増収増益率が高い中小型株が良いのか、その判断の難しさが「夏号は非常に難しい四季報」という第一印象につながったのである。株価や業績見通しにちぐはぐな感じはあるが、私は今後の相場は業績集計表のとおりに「主力は下がり、中小型が上がる」と想定しているため中小型成長株に注目という結論である。特に「テンバガー(10倍株)」の投資タイミングは、株価が大きく下がっている時こそチャンスなので、まさに今がそのタイミングなのではないかと感じている。

 ところで2018年夏号で感じた「変化」の中でも特に気になった点が大きく二つある。

 一つ目は、会社記事で2ページ目、銘柄として3番目に登場するマルハニチロ(1333)で、同社の今期純利益は1986年1月期以来「33年ぶり」の最高益更新が見込まれていることだ。同社は民間で初めてクロマグロの“完全養殖”に成功。世界初の商業出荷も実現し、今では年間3400トン(国内シェア25%)の出荷を誇るため、これまでも四季報コメントで「養殖クロマグロ」のネタが何度も書かれていて注目していた。
 同社は2007年、マルハグループ本社とニチロが経営統合して誕生した。その歴史は古く、マルハは1880(明治13)年に創業者の中部幾次郎が鮮魚仲買運搬を開始したところを、一方のニチロは1906(明治39)年に前身の堤商会が設立されたところを起源としている。

 ニチロは1913(大正2)年に、「あけぼの印(DAY BREAK BRAND)」の鮭缶の生産を開始し、今日に続いている。つまり鮭缶は100年以上の歴史があることになる。缶詰にも「変化」が起きており、日本缶詰びん詰レトルト食品協会(日缶協)が発表した2016年の国内の缶・ビン詰、レトルト食品の生産統計によると、サバ缶は3万7117万トン(前年比15.8%増)と2002年以降で最高となり、なおかつツナ缶を抜いてトップに輝いた。背景には健康志向の高まりがあり、「水産缶詰はほとんどの品目で減っているが、サバ缶は需要が高く、異例の伸びをみせている」(同協会)という。「サバ缶」もテーマといえそうだ。

 またマルハはかつて球団も保有していた。1949(昭和24)年に設立した「まるは球団」は、のちに「横浜大洋ホエールズ」となり、現在は「横浜DeNAベイスターズ」に引き継がれている。同球団は1960(昭和35)年に球団結成以来初のセ・リーグ優勝を果たし、日本シリーズでも大毎オリオンズを下し初の日本一に輝いた。

 その後は低迷するが、1998(平成10)年、「38年ぶり」2度目のセ・リーグ制覇に続き日本シリーズでも西武ライオンズに勝利し2度目の日本一となった。今回の33年ぶりの最高益更新は、38年ぶりの球団日本一と同じぐらいお祭り騒ぎをしてもよい「大変化」といえるかもしれない。

 二つ目の変化は、銘柄記事では最終ページに当たる1937ページの「日本銀行(8301、出資証券)」である。日銀のチャートを見ていただくとわかるが、ずるずる下げてきたあとに「大陽線」が大きく立っている。このような「大陽線」が立ったのは2012年12月以来のことである。

 2012年11月はアベノミクスがスタートし、金融市場では大規模緩和が始まった時でもあるが、当時の四季報を見ると日銀の総資産は150兆円、保有国債は103兆円、発行銀行券は81兆円だった。それが2018年夏号ではそれぞれ、528兆円、448兆円、104兆円と膨張したわけだが、今回の大陽線は「ABEXIT(アベグジット、アベノミクスからの離脱)」とささやかれる金融市場の大転換を示唆しているのかもしれず要注目である。

 最後に日銀の記事の下の広告欄を見て欲しい。そこには私の人生初の本となる『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』の広告が出ているので、ぜひこちらも購入して読んで欲しい。

 渡部 清二(わたなべ・せいじ):大手証券会社に23年間在籍。中堅企業、個人投資家向けの資産コンサルティング、世界の運用会社向けの日本株セールスに携わる。2014年四季リサーチ設立、16年「複眼経済観測所」設立、18年4月「複眼経済塾」に社名へ変更、塾長。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
渡部 清二

最終更新:6月21日(木)16時31分

会社四季報オンライン

 

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