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株価水準に追いつかない投資家心理の実態

5月17日(木)13時01分配信 会社四季報オンライン

(撮影:梅谷秀司)
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(撮影:梅谷秀司)
 株価水準と投資家心理のギャップが広がっているように感じる。

 14日、日経平均は107円高の2万2865円と戻り高値を付けた。昨年末の2万2764円を3カ月半ぶりに超えて年間パフォーマンスはプラス圏に浮上、東証1部の売買代金も2兆6千億円近くとまずまずのレベル。市場関係者の見立てにも強気が増えている状況だが、個人投資家を中心に白けムードが深まるばかりというのが実感だ。

 2市場信用買い残は4週連続で減少(5月11日申し込み現在)、やれやれで売れた向きもいたとは思われるが、買い残は3兆3630億円と直近半年のピークである3月23日の3兆6759億円から3千億円程度減少したに過ぎず、やはり直近半年のボトムである昨年11月10日の2兆7896億円よりも6千億円程度膨らんだ水準で高止まりしている。利益確定ができた銘柄の少なさが窺える。

 日経平均は3月23日の2万0617円を下値としてジリジリと値を戻している。その過程での新規株式公開(IPO)の株価動向を振り返ると冒頭のギャップが浮き彫りになる。

 3月及び4月に22銘柄のIPOが行われた。この内、5月15日時点で株価が初値を上回っているのは僅か5銘柄。上場日の古い順では以下のようになる。

 前回、公募・売り出し価格比の初値上昇率で新記録として紹介したHEROZ(4382)などは初値4万9000円に対して5月15日は2万0100円と半値以下に沈んでいる。初値時点からすれば、あくまで評価に過ぎないが、1千億円超も時価総額が消えた格好だ。これをワーストに4銘柄が初値比で半値近辺となっている。
 決算発表は新興企業にとって鬼門という構図が長く続いて来た。市場の期待に応えられる決算数値を開示できる企業が限られているからである。そもそも赤字の企業であっても上場=資金調達の機会を与えようとの理念の下で運営されているのが新興市場。短期的な視点で臨むべきではない筈なのだが、値動きの良さが個人投資家を惹きつけ、過熱と反動を繰り返してきた。

 この5月もそーせい(4565)を代表例として決算を受けて急落する新興市場銘柄が頻発した。これにIPOの極端な不振も加わって日経平均が上がっても自身の懐はさっぱりという、投資家が多いように感じるのである。

 昨年のマザーズ市場の売買代金は3月期決算発表が始まる直前の4月24日に723億円という、年前半のボトムを付けた。その後、夏枯れの8月にはこれを下回り9月11日に547億円という年間のボトムを付け、年末に向けては漸増傾向を辿った。今年これまでのところは5月7日の543億円が最小となっている。信用の買い方の絶対期日は8月辺りになると推測され、今年も新興市場は夏枯れを余儀なくされようが、年末に向けて下値拾いの好機と捉えることも出来るだろう。夏枯れの程度を測る観点からマザーズ上場が6月19日に決まったメルカリの株価動向に注目したい。

 日本株は海外勢による先物のショート・カバーを原動力にかなり戻してきた。現時点で今期の企業業績の見通しは僅かながらも減益となってはいるが、PERで13倍台というバリュエーションの低さと、100円~105円という想定ドル円レートよりも実際には円安に振れていることなどによって相殺されている。焦点は「ギャップ」がどういう形で解消されるかではないかと考えている。

 センチメントの実態にすり寄るように日経平均の水準が切り下がるのか、シコリ感の強い銘柄群が息を吹き返してセンチメントが日経平均の水準に相応しいものへと改善するのか、ということではないか。

 個人的には後者が有力と考えているが、その時期はもう少し先、秋頃なのかもしれない。

 せがわ・つよし●新日本証券(現みずほ証券)に入社後、株式投信の運用業務、情報部門、自己売買部門のマネージャーなどを歴任。さくら証券にエクイティ部部長として勤務後、2001年4月に新光証券(現みずほ証券)にストラテジストとして入社。独立後は経済番組のコメンテーターとして活躍し、現在は瀬川投資研究所代表。市場関係者への丹念な取材や緻密なデータ分析に基づいた独自の相場解説で人気。 

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
瀬川 剛

最終更新:5月18日(金)15時41分

会社四季報オンライン

 

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